JR新神戸近く。
閑静な住宅街に突如現れる、モノクロームな外観。
新神戸「BONGU」
念願の訪問でした。
素敵メンバーは後ほど紹介させていただこう。
まず空間がナイス。モルタル剥き出しのスペースには
アペリティフを楽しめるスタンディング・カウンター。
あー、別の店でアペろうと思っていたのをグッと堪えてよかった。
先客・
平井直人さん(テレビ番組・映像制作「ダイズ」代表取締役・プロデューサー)と
一緒に、お疲れさまです〜!な至福の一杯は…
大好きな生産者の泡。
「Cremant D'Alsace Brut Nature Selectionne Par Marc Tempe」
素直な果実味、伸びやかな酸、身体がスッと包み込まれる感覚。ずっと飲み続けられる。
そして奥の部屋へ移動。今宵のストーリーが幕を開ける。
オーナーシェフ谷本光さんは、パリでの修業経験も。
かの「Restaurant Sola」吉武広樹シェフの元で経験を積み、
地元・神戸へ戻り「samwells」のシェフを務めた後、23年8月に自店を構えたという。
熱源は「Sola」で会得した、薪火が中心。
よって、お肉とワインと薪焼きを軸に展開する。
*淡路和牛のタルタル エメンタール
ふわんふわんのチーズから、妖艶なタルタルが顔を覗かせる。
頬張れば、ねっとり、澄んだ旨みと共に、薪の香りがふうわりと。
チーズの木の実やナッツに通ずる香ばしさが寄り添う。
「Marc Tempe」の泡、2杯目がそろそろ空く、ピッチ早まるわ。
「ウチはペアリングじゃないんです。蘊蓄なしで楽しんでほしいし
どちらかといえば“フリーフロー”」と谷本シェフはニヤリ。
そんなん言われたら、スピード加速するやないの。笑
お次はオーストリアのマーティン&アナ・アンドルファー。
「Riesling handcrafted 2021 Martin & Anna Arndorfer」
じんわりやさしい旨みが花開く。
パン職人・山ちゃんが焼き上げる天然酵母のライ麦パン
もうね、しみじみ味わい深くって。
棗バターをたっぷりのっけて頬張り、ワインを煽り、のループにハマる。
*藁焼きカンパチ
蕪の漬物や、胡麻ドレッシングで和えたクレソン、不知火のソースと共に。
カンパチ、ムッチムチ。炙りの香り実によく、
そこに漬物という意外性や
クレソンの苦味、不知火(柑橘)の鮮やかな甘酸っぱさが共鳴。
のっけから唸りますわ。
「Vin Nouveau Blanc Pierre Olivier Bonhomme」
Sauvignon Blanc 100%
トロリとしたテクスチャー、伸びやかに広がるアロマが印象的。
*朝挽き鶏のササミ ホワイトアスパラガス 北寄貝
ササミは軽く脱水をした後、薪火で炙っている。
断面はウルウル艶やか、噛むほどに広がる上品な旨み。
鶏と蛤のダシでさっと熱を通した白アスパラと、
北寄貝のピュアな旨みに、
サフランを仄かに利かせたソースの妙味、堪らんかった!
ここでSASSAIAが登場やなんて、嬉しいね。
「Sassaia 2022 /La Biancara」
*河豚
潮騒河豚(ショウサイフグ)のフリット(天ぷら)には
「天つゆのイメージで」と、フグアラを煮出しただしをスープ仕立てで。
天ぷらはザクッホクッ。ツヤットロのスープの深くやさしい旨みが広がった。
*鴨 新玉葱
いずれの素材も、薪火やその熾火で火入れ。
鴨肉は、赤身旨っ。ガリッと香ばしい皮目とのコントラストも美しい。
ソースは2種。新玉葱の白いソースは透き通った甘み、
もう一種は、バルサミコに通ずる酸味とコクを感じる。
食べ進めるほどにもっと食べたくなる感覚に突入。
ここらでロゼ。
「Tia Tia 2022 Les Prevert」
杏っぽい果実味、たおやかな味わい。
鴨はもちろん、新玉葱ならではのピュアな甘みが合うてたなー。
目の前ではまさに次の料理、完成間近。
眺めながら飲む幸せ。
*淡路牛 フィレ モモ
流石の火入れ。肉汁を蓄えた、艶っぽい断面に見惚れるわ。
モモはカリッと焦げた表面に反して、中はどこまでもジューシー。
赤身の澄み渡る旨み、程よい酸味もいい。
フィレは歯がいらん。ってくらい柔らかで味わい濃厚。
レアと見せかけてそうではない熱の通し方に脱帽でした。
五穀米リゾットで健康的な気分に浸りながら、
このワインと共に。「Vino Rosso NV Dario Princic」
Dario Princicの白やオレンジには馴染みあったけれど赤はお初。
フリーフローのおかげで、このあたりからもうヘベレケです。笑
*苺アイス ブッラータ
アイスとチーズ、しかもこの組合せは新鮮!
ミルキー同士、苺の甘酸っぱい爽やかさを引き立たせていた。
主素材の個性を引き出す薪焼きの凄みを感じながらも、
漬物や柑橘、スパイス…アクセントの利かせ方が素晴らしい
谷本シェフらしいクリエーションがじつに痛快。
空間のかっこよさも、アペから始まる過ごし方も、皿の中も
ナチュラル基軸のワインの数々も
何しろシェフ自身のキャラにどっぷり引き込まれました。
すぐにでもリピートしたい。
しかもお会計でびっくり。
え?ほんまにワイン込みの価格!?
コースの料理代だけじゃないんですか?(にしても値打ち)と
一瞬目を疑った……。
この夜は、
「BONGU」の常連であり、神戸の食ならこの男に聞け、な
「三宮一貫楼」
安藤孝志さんに導いていただいての訪問。
神戸っ子で敏腕編集者の森ちゃんと一緒に。
安藤さん、平井さん
素敵な出会いをありがとうございました!
「BONGU」