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「Chefs for the Blue」フィールドワーク in 福井・小浜

「日本の豊かな海をとり戻し、食文化を未来につなぐ」ことを
目標に活動をする「Chefs for the Blue」。
https://chefsfortheblue.jp/
温暖化による水産資源の減少、過剰漁獲など
日本の水産資源の危機感を抱く
フードジャーナリストとトップシェフたちによる料理人チームだ。


この日は私の故郷・小浜で、
フィールドワークが開かれ参加。
Chefs for the Blue京都チーム・中東篤志さんをはじめ
シェフの皆さんと共に巡る小浜は、
悪天候で漁の出船取りやめなど
予定変更は多々あったけれど、それ以上に学びが多かった。
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競り見学〜市場見学〜養殖現場の視察。
さらには、海の男たちによる
よっぱらいサバ・マガキ・ワカメなど
若狭の養殖の現状についての説明も。
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小浜よっぱらいサバ(養殖サバ)を育てる
「田烏水産株式会社」の代表・横山拓也さん。
この後、「鯖のへしこ」づくりで名を馳せる
小浜・矢代「釣り船・民宿 かどの」角野高志さんによる
カキとワカメの垂直(並行?)養殖のお話も。



小浜では、産官学がタッグを組み、
高水温に強いサバやカキなどの研究が行われていて。
産官学という横の繋がりが非常に強いと感じたし、
今後の展開についてはしっかり定点観測してゆきたい。

ちなみに小浜の養殖魚はまだまだある。
阿納の若狭ふぐ、若狭まはた、八百姫ひらめなどなど。
詳しくはヘベレケ日記「若狭ふぐの宿 下亟 @フグ&マハタ三昧」で。


さて。
市のキーパーソン下仲さんからは
鯖街道が繋ぐ若狭と京都の食文化の話など。
小浜の魅力を再認識しつつ、水産現場の現状と課題を
共有させていただく貴重な機会になりました。
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その後は、道の駅若狭おばまに併設
「和久里のごはんや おくどさん」の
「さば三昧定食」を味わう至福。
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衣に矢田部ねぎを混ぜ込んだ揚げ物は「さば竜田揚げ」。
ザクカリ、身はふっくらジューシー。

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羽釜で炊き上げた地元の「ひまわり米」。
艶やかで、広がるは溢れんばかりのピュアな甘み。

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塩鯖のアラと大根を使った潮汁「船場汁」は懐かし味がした。
角野さんが仕込んだ「さばへしこ」は白ごはんが止まらない美味しさだったし
お芋のさばマヨ和えもあり、さばのオンパレード!幸せでした。


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食後は“食の革命家”と称される
アリス・ウォータース氏のドキュメンタリー上映。
「WE ARE WHAT WE EAT」
食べることは生きること ~アリス・ウォータースのおいしい革命~
https://unitedpeople.jp/alice/


人と人のつながり。大地と海と人とのつながり…。
食べ物がもつ力は偉大だし、食べることと世界の関わりについて。
アリスさんから改めて、多くの気づきをいただいた。

この上映が、小浜で開かれたというのも貴重だったし
篤志さん、本間さんをはじめ
「Chefs for the Blue」の皆様ありがとうございました。
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最後に。
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小浜・仏谷地区でカキ養殖に携わる、未来を担うホープを紹介しよう。
写真右、坂田凱斗さん(19歳)は「カキの養殖を学びたい」と小浜にやってきた。
地域おこし協力隊(水産)として、カキ養殖に携わっていて
将来は、小浜でカキ養殖の会社を設立したいと、にこやかな笑顔を見せてくれた。

その左隣、石田律貴さんはハイパーすぎる大学生!
福井県立大学の海洋生物資源学部・先端増養殖科学科の現役の学生で
カキ養殖を研究している。
さらに休日は「WAKASA蔵の宿」で民宿を管理し
「和久里のごはんや おくどさん」でバイトもしている。

石田さん曰く「小浜は、海底湧水、つまり海の中からも栄養分が湧き
山々からは栄養分が流れ入ってきます。
この水域はカキをはじめ水産養殖をするには最高に恵まれた場所です。
小浜の魚の魅力を全国に発信したいと」。そう言って目をキラキラさせていた。

10代の社会人や学生たちと一緒に、
左には「Chefs for the Blue」メンバーのひとり
「MOTOI」前田 元シェフの姿も。

気候変動をはじめ水産資源の現状、
さらには漁業者の高齢化など、水産現場が抱える課題は多い。
だけど持続可能な水産養殖の担い手がいる、小浜の未来は明るい。



100年後の豊かな海と食文化のために活動をする
「Chefs for the Blue」
詳しい情報はこちら。

■Chefs for the Blue
https://www.instagram.com/chefsfortheblue/
https://chefsfortheblue.jp/

■THE BLUE CAMP(運営:Chefs for the Blue)
https://www.instagram.com/the_bluecamp/
https://thebluecamp.jp/



「和久里のごはんや おくどさん」
https://www.instagram.com/wakurino_gohanya_okudosan
https://www.okudosan.jp/


# by writer-kaorin | 2024-12-11 09:45 | =OBAMA= | Comments(0)  

「POIRE」 -ポアール- 55th anniversary!

久しぶりにブログ更新。
旅芸人でいて修行僧のような日々を送っています。笑


この日は、束の間の休息ってことで帝塚山へ。
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大阪が誇る洋菓子店「ポアール」が創業55周年を迎えられた。
グランシェフ・辻井良樹さん、スタッフの皆さん
おめでとうございます✳︎

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2階にあるサロンスペースへ。
個室を覗くと、創業当時からのセピアな写真が額におさめられている。
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古き良き情景。忘れたくない、大切な何かを思い出させてくれる大切な場所。
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↑↑↑辻井シェフ発見!笑




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いつもお世話になりありがとうございます!
辻井シェフが手を添えている椅子は、なんと…

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今年3月、惜しまれつつ閉店された「なかたに亭」で
長年、使い続けられていた椅子の1脚。
辻井シェフと、中谷哲也シェフとの
深い絆を感じさせるエピソードは多数あるんです。


スイーツをいただく前に、ブランチ・タイム。

◆デュオ・クロワッサン
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2種のクロワッサンを味わえる至福。

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手前は「ブリーズ・ドゥ・メール」というバター使用。
(タカナシ乳業とIsigny(イズニー)の共同開発)
繊細な織り込み。しっとりとした質感と、香り豊かなバターの風味が印象的。
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奥は、Isigny(イズニー)のクロワッサン。
サクリハラリ繊細、発酵バターの芳しさと清々しい後味が堪らん。

しかも、カスタードやバター、ジャンボンや、マリボーチーズが添えられていて
思わず、ワインを頼みたくなる(我慢)。



◆ANNIVERSARY NBLEND 55
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「POIRE」と「YARD」の最高のセッション。

「YARD Coffee & Craft Chocolate」中谷奨太さんが
「POIRE」のスイーツに合わせ、焙煎調合した55周年記念のオリジナル。
コロンビアの希少品種Sudan Tume(ミラン農園)がメイン。
芳しく、清らか。上品な発酵のニュアンスと深みのある甘さが印象的だ。

フランス「Astier de Villatte」-アスティエ・ド・ヴィラット-による
純白の釉薬を纏ったカップ&ソーサー。
金継ぎは辻井シェフ作。
じっくりと味わいながら、その美しさに見惚れる。




◆Mix juice
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煙を纏いやってきた!
ポアール特製のミックスジュース。
何がすごいって、創業まもない頃から、
モクモク煙立つミックスジュースを提供していたというのだから。
先代の発想、すごいの一言です。

そのミックスジュースは上等かつ濃厚な味わい。
自家製のドライ・パイナップルをはじめ
パーツの一つ一つに至るまで、しみじみ美味でした。


フロアは相変わらず、賑わいを見せていて。
クリスマスが差し迫る装いに、
なんだか心がワクワクするよね〜。
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これには驚いた!
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アメリカ大統領官邸「ホワイトハウス」公式
クリスマス・オーナメント(ツリー飾り)を販売してるってビックリ!
あの人とあの人とあの人にプレゼントしよう。



この日は、タイミングよく素敵なイベントが開かれていたので参戦。
「ポアール」の近所にある
「COZY Coffee Spot」で行われた
【Kaz Oomori × COZY Coffee Spot × POIRE】
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実はこのケーキ、わんちゃんも人も食べることができるのです!
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愛犬と楽しむケーキ&コーヒータイム、ということで。

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友人夫妻の愛犬・Muck(ムック)ちゃん、興味津々。

そのおいしさは後ほど伝えるとして。
「COZY Coffee Spot」には、なんとなんと
ディズニー公認アーティストであるグラフィックアーティスト
〈カズ・オオモリ〉氏の姿が!
https://www.instagram.com/kazoomori/
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ディズニー公認って凄すぎ。


そんなカズさんが
お客様の大切なワンちゃんを即興drawing。
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すごい、めっちゃディズニー!って大盛り上がりのフロア。笑
カズさんによる作品は
darumaya」デザインの 
お皿やフードトレイに印刷され届けられたという。
愛犬と一緒に参加されたお客様たちの笑顔が忘れられない。


さて、二度目のスイーツタイム。
人にとっても
ワンちゃんにとっても
身体に優しく、
一緒においしくいただけるケーキが

「Wan with me cake」-ワン・ウイズ・ミー・ケーキ-
https://e-shop.poire.co.jp/shopdetail/000000000839/
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「ポアール」辻井シェフによると…。
愛犬の健康を第一に考えた
フレッシュフード専門店「WAN DELI TOKYO」の
栄養士監修の元、共同でレシピを完成させた安心・安全なケーキ。

小松菜のスポンジを土台に、ミックスベリーのジャム、
イチゴのスポンジ、さつま芋のクリーム、
フランボワーズのクリームなどが層をなす。

それぞれの素材の風味や優しい甘みを感じ、
いやこれ、人間が食べてもおいしいし
ワンちゃんが食べても安心・安全に作り上げられているのです。

自家用はもちろん
ワンちゃんがいる友人知人へのクリスマス・プレゼントに
絶対喜ばれると思う。


ラストはSpecialty Coffee
深煎り「Brazil / Eros」でホッと一息。
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撮影し忘れるくらい、しみじみおいしい一杯でした。


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ディズニー公認のカズさんと、辻井シェフ。


おいしさと楽しさに満ちた
癒しのひとときをありがとうございました。


「POIRE ポアール」
大阪市阿倍野区帝塚山1-6-16
公式ホームページ
Instagram


Kaz Oomori

darumaya

COZY Coffee Spot


# by writer-kaorin | 2024-12-06 13:42 | POIRE ポワール | Comments(0)  

「ユキフラン佐藤」 苦悩する奇才・佐藤功一

祇園「ユキフラン佐藤」
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店先に目立った看板はなく、
名刺みたいなカードが貼り付けられているだけ。笑


仕事の話になるけれど
「あまから手帖」2024年12月号は、40周年記念号です!
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特集「和食が食べたい」
約3年ぶりとなる和食特集。


「10年通いたい和食店を書いてください」と
編集者Aからオファーをいただき、エッセイを書きました。
ぜひご覧ください。


その和食店とは、
本日のヘベレケ日記に登場する
「ユキフラン佐藤」
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気心知れた皆さんと共に、おいしい楽しい夜。
(毎度のことながらヘベレケ日記=プライベートの自腹飯です)



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始まりがこのシャンパーニュは嬉しいな。その後、泡3杯。



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「お待たせしました、スープ・ロワイヤルです」と主人・佐藤功一。



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ハタのアラと一番だしからなる蒸しスープ。
どこまでも清らかで深い味わいだ。
何口かはこのスープだけをすすり、その滋味に溺れる。

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ロワイヤルはふるふる繊細で、忍ばせた香茸が名脇役。
だしが混じり合うと、深みを帯びる。

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豆皿には、朝鮮人参の髭根の素揚げ。
かじりながら、滋味深いスープをすする。この苦味がまた合うの。

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そして時間差でやってきた「小芋」に感銘。
頬張れば、滑らかなテクスチャー、冬の香りを撒き散らす。
「小芋を添えようかやめようか、6時間悩みました」と佐藤さん。
凡人ならサラリとこなしてしまうけれど
苦悩する奇才・佐藤さんは、違う。




◆鯖寿司
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シャリには塩揉みの春菊を合わせていて、その按配よろしく
締めすぎない〆鯖といい具合に調和。
いやしかし、ロワイヤルを食べ終えたあたりで
「今、〆鯖の骨抜き?」という驚きも佐藤さんらしい。
できるだけ作りたてを徹底したいのだ。




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具を包みたて、
揚げたて熱々の春巻きを手渡し!

◆ハリイカの新子 菊芋 菊花 春巻き
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新子はシャクッ、菊芋ホクホク。さらに
口の中には、春巻きの香ばしさと共に
椀物をいただいているような清らかな旨みが広がった。
アメージング。




◆白甘鯛 造り
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古伊万里の軍配の皿で
2日寝かせたという白甘鯛は、シャクッとねっとりの間をゆく。
じわり広がる旨みと、白梅酢の塩梅と香りというハーモニー。


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アルザスのビオディナミ・リースリング100
「Happy Lemon Vignobles des 3 Terres」
華やかすぎず、レモンに通ずる爽やかさ。重たさもなく料理に寄り添ってくれる。


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佐藤さん、椀種を作っている最中。
その待ち時間も、彼の所作をガン見しながら
皆さんとの会話も盛り上がり、じつにエキサイティングなのです。
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◆煮物椀
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白味噌のやんわりとした甘みと旨みがDNAに響く。
椀種は、牡蠣と舞茸のひろうす。
あえて焼きの香ばしさをつけた舞茸に、牡蠣のエキス感が重なり合う。
秋田の伝統野菜「三関セリ」の鮮やかな食感と香りがいい仕事をしてました。




◆ほっき貝  梨と水菜と干瓢のおひたし
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まず、ほっき貝を。
完熟酢橘のまぁるい酸味が、軽く火を入れた貝の甘みをぐいっと持ち上げる。
おひたしにも唸ったー。
だしの旨みを蓄えた干瓢、梨の清々しい味わい、水菜の食感が主張。
「ほっき貝と、おひたしを交互に食べてください」と。
すると、両方がない味覚を補い合い、新たな味わいが生まれるだ。
その発想はどこから!?の質問攻め。


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葡萄を?炭火焼!?みたいな光景も繰り広げられていた。


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「肉と栗です」  
潔い説明だ。

まず「肉」をつまみ、「栗」は鬼皮を剥き渋皮ごと頬張り
何回か咀嚼したなら、後追いで「完熟実山椒」を一粒かじり…。
肉のしっかりとした味、栗の質朴さ、実山椒のアクセントが
口の中で見事すぎる調和を奏でる。

次は、「肉」と炭火で炙った「葡萄」を。
この温い葡萄が、ピュアなソースと化し、肉の濃厚な旨みが和らぎ
さらにもう一口、と箸を進ませるのです。

意図のある組み合わせと
意味のある味の重なり合い。勉強になるし感動的だった。
(尾形乾山 作 四方皿にて(江戸時代中期))



◆静紫 間引き菜とシャコのおひたし
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ゴマの香ばしさ鮮烈!
シャコは甘く、静紫は食感心地よく。
清らかな味わいのおひたし。



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赤木明登さん作の漆器で
「セコガニ雑炊」

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あえて最後に雑炊でセコガニ、という安堵。
佐藤さんらしい。
しかも、フレッシュなセロリと、醤油漬けセロリの合わせ技。
セロリは芳しく、セコガニの濃ゆい甘みだけが浮かび上がる。
唐辛子オイルの香りのハーモニーも美しかった。




◆柿の果肉のシャーベットとジン
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濃密。妖艶。魅惑的フィナーレでした。




意図のある意外な組み合わせがあり、驚きあり安堵あり。
全ての料理の記憶がはっきりあるし、時が経とうとも忘れられない。
それが佐藤功一という料理人のクリエーションなのだ。



「ユキフラン佐藤」
京都市東山区祇園町北側新橋通花見小路東入ル南側2軒目八百平ビル1F奥
075-531-3778(完全予約制)



# by writer-kaorin | 2024-11-28 17:36 | ユキフラン佐藤 | Comments(0)  

恐竜チョコレート現る!「大好きをつなげる生き方 小山進 作品展」


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このティラノサウルス
実はチョコレートでできている!!!


神戸・新港地区でフェリシモが展開する
「felissimo chocolate museum」
〜フェリシモ チョコレート ミュージアム〜
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世界のチョコレートやカカオに関する歴史や文化、
ファッションやアートとのつながりなどをフェリシモが収集・編集。
チョコレートの多様性・可能性を発信するミュージアムだ。


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ここ「felissimo chocolate museum」で開かれている企画展が
「大好きをつなげる生き方 小山進展」~遊びの中の土/遊びの中の紙~


パティシエでありショコラティエの小山進シェフ(パティシエ エスコヤマ)が
とんでもない作品を生み出した。
なんと…チョコレートで作った恐竜10体が登場!
その企画展の名は
「大好きをつなげる生き方〜遊びの中の土〜」

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小山シェフがこの展示会のために新たに制作した10体の恐竜
その一部をお見せしよう。
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なにこれ!!!って驚きっぱなしの、この緻密さとリアルさと迫力!
独特の色の配合も秀逸すぎて、
これがチョコレートであるとは思えない。笑

小山シェフが話していたエピソードにジーンときた私。
ちょうど3年前。お客様から「デコレーションケーキの上に
ティラノサウルスのチョコレートを飾ってほしい」という注文が入ったそう。

「僕はパティシエでありショコラティエなのですが、
 リアルに恐竜をチョコレートで造るという練習を一度もしたことがなかった」と
小山シェフは当時を振り返る。
「でもなぜか作れそうな気がした」とも。


お客様からの注文を受け
「チョコレートでティラノサウルスを造る」という壮大な挑戦。

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小山シェフ曰く「恐竜を手がけるにあたり、
プロになってから身につけた、知識や技術は数点だけでした」。

例えばそれは、
チョコレートを撹拌する、ある瞬間だけ粘土のような状態になること。
さらにはチョコレートが溶け出す、あるいは固まり出す温度帯。
プロとして会得してきた技を持ち、
想像通りのティラノサウルスが完成したらしい。

ではなぜ、恐竜を造ることができたのか?
技術だけではない、幼少時代の経験がそこにはあったのだ。

「僕は小学生の頃から、恐竜図鑑や動物図鑑を見るのが大好きだった」と小山シェフ。
さらにお絵描きや粘土細工も大好きで、
毎日のように描いて、粘土作りをして遊んでいたそう。

つまり、小山シェフは子供の頃から
平面(2次元)から、立体(3次元)にするという発想を、
一心不乱に、遊びのなかで自分のモノにしていた。

そんな、子どものキラキラとした輝きを
もち続けている大人が、小山進なのだ。


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恐竜好きはもちろん、
お子さんがいらっしゃる方に、ぜひ行っていただきたい企画展。
「子どもが好きなこと、得意な領域」を伸ばしてあげるための
大人側の“気づき”が、たくさんあると思う。


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また、恐竜チョコレートの作品の傍には
小山シェフが土から作り上げたお面の展示も。
このモノづくりの背景も深いです。詳しくは会場で。
さらにはフォトグラファー石丸直人さんによる、
恐竜チョコレートを捉えた作品も展示中で、これがめちゃくちゃカッコいい。


会場では、3つの企画展を同時開催中。
1つ目は、先ほど紹介した恐竜チョコレートの展示などを筆頭に
(大好きをつなげる生き方~遊びの中の土〜)


2つ目は、小山シェフ自らが発案するパッケージの秘密に迫る
「大好きをつなげる生き方~遊びの中の紙~」。
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あー大好きなジャケット、とも言いたくなる「THE BEST」
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紙のパッケージ・デザインを通して小山氏の遊び心や創造性を体感できるはず。

そして
3つ目はアーティスト・石村嘉成さんによる展示会
「カカオの森に生きるいのち」も同時開催。
熱帯のカカオベルトに生息する生き物たちのアクリル画の展示も必見です。



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この日は、おいしいお披露目会も開かれた。
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フェリシモ社屋内にあるレストラン「Sincro(シンクロ)」で
小山シェフのおいしいクリエーションを体感。

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左は「苺と台湾野菊」
苺のクーベルチュールに、台湾産・野菊の華やかさを添えて。

右は「クラフトコーラ」
クローブやシナモン、カルダモン、バニラの香りを加えたチョコレートと
グリオットチェリーのパート・ド・フリュイが層をなす。


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フェリシモの自社醸造所「Fワイナリー」で醸したワインが登場し
チョコレートとのペアリングを堪能。

「苺と台湾野菊」には、
ロゼワイン「小山進氏シューズラベルf wineryNO.121ロゼ」を。
野菊の華やかさに、ロゼの酸味の余韻が、見事な相性を見せてくれる。

そして「クラフトコーラ」は、
「小山進氏チョコレート恐竜ラベルf wineryNO.120コンコード」と共に。
チョコが放つ絶妙なスパイス感、グリオットチェリーのキュッとくる甘酸っぱさに
赤ワインのチャーミングな香りが、これまた堪らなく合うのです。
チョコレートとワインの、まだ知らない可能性をもっと学びたくなった。
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そして小山シェフといえば……実は「ラーメン」なのです。
麺は、粉選びや水の回し方をはじめ麺打ちするところから……。
さらには、鶏白湯スープを仕込むなど
ラーメンづくりもまた、プロフェッショナルの領域!


この日は、シェフが開発した“カカオラーメン”のお披露目も!
小山シェフがこよなく愛する、
名古屋「麺家 獅子丸」とコラボレーション。
小山シェフの味づくりを獅子丸のお二人が具現。
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◆名古屋コーチンとポルチーニのカカオぱいたんらぁ麺
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どこまでもクリーミーな白湯は、
名古屋コーチンでとったスープにポルチーニを合わせている。

トッピングは、愛知「知多ハッピーポーク」のレアチャーシューと
名古屋コーチンのもも肉を。



さらにこの麺が、唯一無二。
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3種の小麦に、カカオハスク(カカオ豆の種皮)を練り込み、さらに3日寝かせたという。
麺を啜り咀嚼すれば、甘やかという言葉にも近い芳しさが第一印象。
そこにクリーミーな白湯の、清らかでいて深い旨みがじんわ〜りと広がりゆく。
カカオハスクの麺は、滑らかなテクスチャー。噛むほどに味わい深いのです。

さらに。ドライオレンジがいい仕事をしている!
ってか、ここにドライオレンジって、パティシエならではの発想。
噛むことで花開く柑橘の香りにより、麺とスープの新たな表情を垣間見た。

別添えには、
カカオ醤油とバター、レモン果汁などを練り込んだカカオバターが。
これを少しずつ溶かしながら味わえば、料理ジャンル・ノーボーダーな味変。
「小山シェフ、ラーメン店を出してください」って思わず呟いたのでした。笑
(現時点ではこの日限定メニューなのでご了承ください)


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「フェリシモ」代表取締役社長・矢崎和彦さんと、小山進シェフ。
発見と学びが多いひとときを、ありがとうございました。




「大好きをつなげる生き方 小山進展」~遊びの中の土/遊びの中の紙~
2024.10.12 [SAT.] − 2025.4.6 [SUN.]
企画展の詳細はコチラ


「フェリシモ チョコレート ミュージアム」
神戸市中央区新港町7-1 Stage Felissimo 2F
https://www.felissimo.co.jp/chocolatemuseum/top_fcm.html


# by writer-kaorin | 2024-11-25 09:06 | エスコヤマ | Comments(0)  

「バルマスタード」 祝!18周年

心斎橋「バルマスタード」
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今週、18周年を迎えられた。
近藤さん、幸子さん、改めましておめでとうございます!
(18周年営業は今日11/23まで)


久しぶりのバルマス・ナイツ。
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付き出し「サツマイモと梅肉」と共に。
優しい甘みと梅肉の塩梅がいい感じに飲ませる。



◆おつまみ盛合せ3種
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左から
いぶりがっこのポテサラ、マカロニサラダ、
新ごぼうの柚子こしょうポン酢炒め。
どれも丁寧に作られた味わい深さがあるのです。
で、ビール2杯目へと続く。




◆トマトソースの煮込みハンバーグ

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木のスプーンで掬い、頬張れば…
ほわっほわ〜。しかも、優しい肉の旨みをしっかりと感じ、
トマトや玉ねぎの旨みを感じるデミ系ソースがジワリと響く。
無言で味わう幸せ。
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バルマスと言えば「TORREON」。
TORREON de Paredes Sauvignon Blanc


◆バターしょうゆの玉子焼き
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堪らないこの半熟加減。
表面は香ばしく、
バター醤油のコクをしっかりと感じながら、どこまでもクリーミーだった。



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で、ハイボールをちびりちびりとやりながら、
チーズ・マルコ」がやめられない止まらない!
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チーズ・マルコを販売する辻さんは、
ずいぶん前からお仕事で、美味しい場でお世話になっている方。
辻さんのチーズ・マルコ愛、必読です。



ちなみに、「チーズ・マルコ」は
「バルマスタード」のメニューのひとつ。
食べきれないときは持ち帰りもできて、家飲みにも重宝するのだ。笑


デザートもしっかりいただく、酒飲みで甘党です。

◆洋梨のタルト
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タルトは「マームニール」より。
マームニールでは、障害のある方たちが、
パティシエ見習いとして働いておられる。
そしてオフィス・職場限定で販売。
https://momunir.or.jp/momunir.html

少し厚めのタルト生地はサックリ香ばしく
洋梨のほどよく熟れた甘みとジューシーさと
アーモンドクリームのコクが堪らないね〜。一瞬にしてペロリ。
おいしかったです。



近藤夫妻が醸す空気が大好き。そしてしみじみと味わい深い
お料理とお酒で、気持ちよくパワーチャージできるのです。

いつもありがとうございます!
そして18周年、おめでとうございます!



「バルマスタード」
大阪市中央区東心斎橋1-15-25 リッツビル2F
☎06-6245-1239



# by writer-kaorin | 2024-11-23 14:03 | バルマスタード | Comments(0)