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イタリア地方料理研究会EVENT!

*西天満『タベルナ・デッレ トレ・ルマーケ』藤田政昭シェフ

*心斎橋『Ritto Marble*tre』北山伸也シェフ

*南船場『BOCCIO』地頭方 貴久子シェフ


大阪の名トラットリアのシェフ3人が、
「イタリア地方料理研究会(仮称)」を立ち上げた。

関西で、もっとイタリアの地方料理を、
しいて言うなら、イタリアの食文化や歴史を、深く知ってもらいたい、
という想いが、シェフたちの根底にあるようだ。


いい意味でとにかくマニアックすぎる、トレ・ルマーケの藤田シェフは、
トスカーナやロンバルディア、リグーリアほか様々な州で経験を積んだ方。
お料理のマニアックさと旨さは言うまでもなく、
話はそれるが彼のblog、本当に面白い。
読めば読むほと、料理の背景や歴史を知ることができ、修業時代の思い出もあり、
ウィットに富んでて最高なのだ。

リット・北山シェフの修業先は、
イタリア北東部、トレンティーノ・アルトアディジェ州(南チロル地方)。
お店へ取材やプライベートでおじゃますると、
今まで食べたことがなかった、南チロル地方の料理を教えてもらえる。
で、そんな料理には隣国のエッセンスを取り入れたり、
イタリアじゃないような食文化があったり、
そんな背景を教えてもらえるのがいつも楽しい。

ボッチォの地頭方シェフは、ピエモンテ州のレストランを渡り歩いたお方。
シェフの、力強さと優しさを兼ね備えた料理がほんとうに好き。
素材を加工する面白さが、北イタリアにはある、と
以前、某料理雑誌の取材で話しておられたが、
ピエモンテの地方料理も奥が深くて面白い。
そして昨日、某うどん店の主と、ボッチォさんのタヤリン最高!って
話し合っていたトコロ(笑)
このイベントで、そのタヤリン、堂々登場です♪


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そんな、シェフ3名が織り成す、北イタリアの地方料理。
合わせる地ワイン担当は、「WineShop FUJIMARU」さん。
で、フジマルさんがなんと!司会進行も行うという、
素晴らしきコラボな宴、スタートです。


Stuzzichin(付出し)
◆ポレンタコンチャとフォンドゥータソース 自家製仔猪のプロシュート添え
(ヴァッレ・ダオスタ州/トレ・ルマーケ)
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こちらは「ヴァッレ・ダオスタ州」のお料理で「トレ・ルマーケ」藤田シェフ作。
ポレンタの滑らかさとチーズソースの溶け具合が素晴らしい。
仔猪のプロシュートの香りと塩梅が全体をグッと引き締める。
チーズの名前は聞き忘れ;



料理に合わせて、フジマルセレクションのマニアックなワインも続々登場。
まずは泡
◇NV Vibaldi Brut/Vivaldi-Arunda
(ヴィヴァルディ ブリュット/ヴィヴァルディ アルンダ)
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トレンティーノ・アルトアディジェ州の泡。
標高1200mの場所で作られているんだそうな。
果実味がしっかりしていて、なおかつ軽やか。



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フォカッチャ、グリッシー二は目の前に置いておくと
全部食べてしまいそうになる。旨し。



Antipasti(前菜)
◆イタリア産ウサギのカルピオーネ サラダ仕立て(ピエモンテ州/ボッチォ)
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マリネにした後、ビネガーでボイルしたウサギ肉と、ギャリさんのお野菜たち。
ウサギ肉はしっとり。で、染み込むビネガーの加減が申し分ない。
存在感あるギャリベジだから、ウサギ肉とともに、主張しっかり。


合わせる白ワインは
◇2008 Roero Arneis/Matteo Collegia
(ロエロ アルネイス/マテオ コレッジア)
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料理と同じくピエモンテもの。
フジマルさんの説明では、土着品種である「アルネイス」は
酸化に弱く、扱いにくいブドウだったそうで、よくブレンドして使われていたらしい。
ピーチのような香り。奥行きと広がりも。



◆魚介類の漁師風裏漉しスープ“チュッピン”と“フォカッチャ・ディ・レッコ”
(リグーリア州/トレ・ルマーケ)
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このチュッピンは、正真正銘、魚介だけでとったスープ。
フランスの魚介系スープはスパイスを使うが、
チュッピンは、スパイスを一切使っていないんだとか。なんと香草も。
なぜならその昔、この地方において
スパイス(特にスターアニス、サフラン、フェンネルシードなど)が高価なものだった。
だから家庭では絶対に使えなかった。
かつ、獲れたてのフレッシュな魚が手に入るから、使う必要がなかったんでしょう。

藤田シェフ曰く、具とスープ、それぞれ別々の魚介を使っているという。
スープ用にはガシラほか、ダシのよく出る魚を。
具には弾力感ある白身魚や、ミル貝?貝数種の食感も楽しい。
ブイヤベースやスープ・ド・ポワソンとは全く違うテイストかつ、
魚介の濃いぃ旨味が凝縮したスープだった。お皿、舐めたい(笑)


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スープとともにいただく、“フォカッチャ・ディ・レッコ”はイースト不使用。
ピッツァの原型とも言われているそう。
15世紀頃の戦争で、敗北したジェノヴァ人が
なけなしの素材(粉、水、オリーブ油)で作ったのが由来だとか。


合わせる白ワインは
◇2006 Pigato Riviera Ligure di Ponente/A Maccia
(ピガート リベイラ リグーレ ディ ポネンテ/ア マッチャ)
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「ピガート」という、リグーリア地方の土着品種。
このブドウの特徴は軽やかでサラリ、なんだそう。
しかし、このワインは、わざと濃く作られているキュヴェらしい。
ゆえ、凝縮感のあるスープとじつによく合うのだ。



Primi piatti(パスタ)
◆2種類のカーネデルリ イン・ブロード、チーズを使ったソース
(トレンティーノ・アルトアディジェ州/リット)
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モダンなヴィジュアル!と思いきや、
このダンゴ状のものは、この地方特有の郷土パスタ。
家庭で食べるそれは、テニスボールくらいの大きさ、なんだとか。
ホウレン草を使った手前のカーネデルリは、噛むとクミンの香りがふわり。
ブロードとともに味わうカーネデルリは、刻んだスモーク生ハムがいぃアクセント。
この地方は、クミンなどスパイスを効かせた料理が多いと、北山シェフ。
その昔、海外貿易が盛んだったオーストリアの影響があるみたいだ。


合わせる白3本目は
◇2006 Vigna Palai/Pojer & Sandri
(ヴィーニャ パライ/ボィエール e サンドリ)
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こちらの品種も初めていただく。しかし、イタリアの土着品種は奥が深い。
てか、フジマルさんセレクション、想像以上にマニアック!



◆タヤリン マッシュルームと黒トリュフの香り(ピエモンテ州/ボッチォ)
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タヤリンは確か、タリオリーニのピエモンテ方言ですね。
細いのにコシある麺に絡みつく黒トリュフの群れ。
その香りはもちろん、マッシュルームの香りも重なり合い、
これ、悩殺もんです(笑)


ここらで赤ワインを
◇1998 Barbaresco Paje Riserva/Roagna
(バルバレスコ パイエ リゼルヴァ/ロアーニャ)※画像撮り忘れ;
150年前から、ピエモンテの地でワイン造りを行っているそうな。
なんと、1998が最新ヴィンテージ!!なんだそう。



Secondo piatto(メイン)
◆軽く燻製した北海道産鹿フィレ肉のロースト
 南チロル地方のコントルニと(トレンティーノ・アルトアディジェ州/リット)
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鹿フィレ、しっとりな身質&赤身の旨味しっかり。
肉はあらかじめ、ネズの実やスターアニス、フェンネルなどを用い
マリネにした後、燻製に。
よって、香辛料のほのかな香りと、たまらん燻香が広がるのだ。
この地方は山に囲まれた土地柄、保存食が豊富。燻製という技法もそのひとつ。
コントルニ(つけ合わせ)は、
スパッツェル、極太ホワイトアスパラ、べリー系ソース。

メインに合わせる赤は
◇2004 Lagrein Rosso/Alois Lageder(ラグレイン ロッソ/アロイス ラゲーデル)
べリー系ジャムのような甘いニュアンスが響く。
甘みのある赤ワインソースと好相性。



司会フジマルさん説明による
料理の歴史的背景、合わせるワインの歴史や特徴、そして両者の相性。
それらはじつに深く、そして分かりやすく、楽しい!
聞くと聞かないとでは、お料理とワインの楽しみ方に歴然と差がつくと感じた。
その内容、ここでは書ききれません・・・(笑)



Dolci
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◆チョコレートのサラミとザバイオーネのセミフレッド(ピエモンテ州/ボッチォ)
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チョコまでサラミっぽくなるとは(笑)
加工品多しなピエモンテならでは、なのか?
卵と生クリームのコクしっかり、なセミフレッドは意外と軽やか。


◆そば粉とクランベリーのトルタ(トレンティーノ・アルトアディジェ州/リット)
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そば粉は、南チロル地方のお菓子よく使われるんだそう。
家庭で作られるそば粉のトルタはじつに素朴な味わい。
クランベリーの酸味がアクセントとなりグッと引き締まった味わいに。


◆ボネ(ピエモンテ州/トレ・ルマーケ)
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プリンの一種。ザラッとした食感が不思議な美味しさ。
ボネとはイタリア語で「穴」の意味があるみたい。
以前、イタリアで食べたボネは名前のごとくたくさんの穴(巣)ができてたが
こちらは、生地が詰まっていて食べ応えあり。



◆エスプレッソ&小菓子
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小菓子まで辿り着けず・・・お持ち帰りに(笑)
6種それぞれに、地方独特の発祥の由来や味わいがあって
こちらも素朴ながら、味わい深かった。



以上、いろんな意味でとにかく圧巻のディナーでした!
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厨房のコンビネーションも見事なもの。
そして、シェフをはじめ、各店のスタッフも総動員。
サービスの皆さんの、阿吽の呼吸もすばらしく、
スムーズな流れとドンズバなタイミングも
美味しさをより一層深めてくれる、心地よいひとときだった。
流石、ミーティングを何度も重ねただけある(笑)
皆さん、お疲れさまでした!


いろんな逸話があり、歴史的背景がある。
それが、イタリアの地方料理なのだと実感。(他国もそうだと思いますが)
それぞれの州は、人間が勝手に区切ったものなんだけど、
その地方その地方の、風土や人間性、隣国の繋がりもエッセンスとなり、
今回、いただいた料理が生み出されたのだと思うと、
美味しい歴史を通して、他国の食文化を知るのは、本当に面白い!


今回、第一回目となった「イタリア地方料理研究会」イベント。
これを発端に、二回目、三回目と、続けていって欲しいし、
もっともっと、イタリアの料理とワインの深みを知りたい、と
感じさせていただいた、素晴らしい夜でした。


しかし、この日記、仕事の合間に書くとなると4日かかった・・・(笑)
さ、原稿原稿ー。



タベルナ・デッレ・トレ・ルマーケ
大阪市北区西天満5-8-19 白石ビル1F
06-6311-6365
open : 11:30〜13:30LO、17:00〜21:30LO
close:不定休(月1回日曜営業あり)


Ritto Marble*tre
大阪市中央区東心斎橋1-13-20 カネコマビル2F
06-4704-5678
open : 17:30〜翌2:00LO
   (日曜、祝日12:00〜15:00close、17:30〜23:00close)
close: 水曜


BOCCIO
大阪市中央区南船場2-2-21 Life&Designビル2F
06-6260-0055
open : 12:00〜14:00、18:00〜24:00(金・土のみ18:00〜翌2:00)
close: 火曜



大好きな名曲! 大好きロニーはまだいないけど;
Angie / The Rolling Stones

by writer-kaorin | 2010-02-14 16:08 | イタリア地方料理研究会 | Comments(4)  

Commented by えごっち at 2010-02-15 12:39 x
相変わらずマニアックかつ、うまそーなイベントを!!
こんな時間に見るとお腹が鳴って仕方がありません(笑)

BOCCIOは1回足を運んだんですけど、満席で断られたので是非リベンジをば!!
Commented at 2010-02-16 08:25
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by writer-kaorin at 2010-02-16 12:42
えごっち☆
マニアックっしょー!(^v^)
ボッチォさんリベンジ、おつきあいしまっせ!(笑)
Commented by writer-kaorin at 2010-02-16 12:44
鍵※様
本当にありがとうございました!
すごい!もう動きありですか!(驚)
ハイ、見えない何かに憑き動かされてください!!
ますます楽しみです(^v^)
で、例の件、早速changeです。誠にありがとうございます!!

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