なかひがし @立春
*八寸
豆まきの升をイメージした器の上には
蕪を花に見立てた蕪椿、節分豆を挟み燻製にしたイワシ、
菜の花煎り焼き、牡蠣しぐれ、唐墨の酒粕巻き、ナズナ、
燻った柊(ヒイラギ)というお魚、聖護院蕪と寒鰤の麹漬け…と、
目にも舌にも麗しい、お料理の数々。
*おいなりさん
お揚げさんを裏返しにして、なんと冬山に見立てたという。
その中には、蕗の薹、干しわらび、むかご、
堀川牛蒡のひげ根などが入ったごはんが包み込まれている。
そして、雪山の上には土筆。
山はまだ寒々しい冬だけれど、土のなかはもう春。
そんな四季の移ろいを見事に表現されています。
*赤大根と蕪 田ぜりのスープ
2月のお野菜は糖度を上げるためにミネラルをいっぱい蓄える。
味付けは、赤大根と蕪と塩、少しの生姜のみ。
畑の隅っこに転がる、売り物にならないような
硬い硬い大根が、威力を発揮するのだとか。
大地の底力を感じさせる、ナチュラルかつ滋味豊かな大根と蕪のエキス。
そこに田ぜりの食感と春の香り。
*若狭の笹ガレイ 蓮根氷餅 鯉鱗の飴炊き 堀川牛蒡
若狭小浜で出合ったことがないわ。
大将曰く(私の想像も入っているが)
若狭湾で獲れた笹ガレイを京へ運ぶとなると、
峠にはまだ深々と降り積もる雪、を蓮根氷餅にて表現し、
ふと振り返れば、若狭湾の白波に見立てた鯉の鱗。
昔懐かしい地元の冬の景色が、ぶわっと脳裏をよぎる。
仄かな酸味が心地良く、飲み干してしまう(笑)
*鯉の冬籠り
ポン酢のムース、辛味大根、鯉の煮こごりが。
掘り返して、春と冬を一緒に味わいます。
椀物です
*若狭グジ 湯葉巻き
グジはむっちりとした弾力。鬼の金棒に見立てた、きんこ(干しなまこ)のほか、
壬生菜のシャキシャキ感、どんこしいたけの旨み、柚子あられの香りにより、
三重奏とも、五重奏ともとれる味わいの広がりを感じます。
*鯖なれずし with ナイアガラ
器は柊です。
炊合せは
*猪 聖護院大根 堀川牛蒡 金時人参 水菜 白味噌仕立
まろやかで深みのある白味噌に、臭み皆無の猪。
*もろこ
遠火の炭火でじっくり、焼き上げられている。
クレソンや黒大根も負けじと主張する。
*天ぷら 蕗の薹 魦(いさざ) 筍 山葵大根 菊芋 酸葉
*笹ガレイの骨 ラディッシュ 紫蘇の実
火入れ具合、香ばしさ、塩梅、すべてが素晴らしく
バリバリ、ぽりぽり、止まらなくなる。そして素晴らしくお酒が進む。
そしてメインディッシュです。
赤蕪のすりおろし、藁納豆、お漬物。
*デザート
冬から春へと移り変わる
繊細かつ力強い、自然の力と、じっくりと向き合った夜。
何度おじゃましても、いつも本当に新鮮で感動すらおぼえるお料理の数々。
毎朝、中東さんは農家さんの畑へ、はたまた京の北部まで車を走らせ
その日に使う素材を集めて、お店まで帰ってこられるのです。
食べ手である私達は、そんな野山の空気も一緒に頂いている感覚に陥るのです。
御馳走様でした。
「草喰 なかひがし」
京都市左京区浄土寺石橋町32-3
075-752-3500
月曜休
Wings - Band On The Run
by writer-kaorin | 2013-02-26 07:34 | なかひがし | Comments(0)