この日は久しぶりに、ミナミな夜。
20代前半の頃、畳屋町・八幡筋にある会員制スナックでバイトしていた。
(私は“スナック”という昭和な文化遺産が大好きなのである)
当時を懐かしみつつ、変わりゆく街に一喜一憂しながら、三津寺筋をふらふらと。
心斎橋「馬肉料理専門店 ホース」
創業35年、馬肉一筋の名店だ。
店内はカウンター7席と、テーブル10席。(2Fに20席あり)
こじんまりとした1Fには、ミナミらしい派手めなカップルや、
旦那衆など常連さんのお姿。その空気に嗚呼、ミナミへ来たなぁ〜と嬉しくなる。
お料理は、常連Tさんに勧められるがまま(Tさん、Iさんありがとうございます★)
桜鍋と馬肉ヒレステーキがセットになった「Wコース」に。
付き出しは「腸とタンの湯引き」。
コリッ、ぷるんっと食感楽しく、ポン酢で爽やかな味わい。
「さいぼし」は、スライスと割いたものの2種。
噛み締めて噛み締めて、その深い旨みを楽しむ。
*お造り3種
「高根」=タテガミの下部にあるコウネ。
透き通った甘みがあり、口中ですーっと溶けゆく食感が堪らん。
「馬刺し」は細かいサシが入った前腹の部位。
赤身とサシとのバランスよく、香り高いわ。
「ハツ」はごま油と塩、ネギとともに。
くにゅっとした独特の食感、クリアな風味が広がる。
午年の馬肉ラヴァーな私にとって、この造りのクオリティは泣けるおいしさ。
でもって体重減らないように、食べて食べて飲んで馬力をつけなければ。
余談だが「馬力をつける」という言葉は、吉原遊郭で桜なべを食べることが語源らしい。
なるほど納得だわ。
「この一品は食べてほしい」と常連Tさん。単品注文で「桜納豆」を。
納豆の粘りに、なめらかな質感の馬肉。その異なる食感におぉっとなり、
造りに添えられてた塩を少し振ると、肉の甘みがぐっと持ち上がる。
馬肉と納豆という意外な出合い、これはいけるわ!
ビールから赤へとシフトしつつ
「大根と馬すじ肉の炊いたん」でホッと一息。
*ヒレステーキ
見続けていたいくらい艶めかしい…。
このうるうるっとしたレア感に、鼓動が高鳴る。
ねっとりと舌に絡みつき、歯ですっとちぎれ
上品な旨みをじんわりと撒き散らすのだ。
人心を惑わす、魔性の女といったところやね。
続いて「ハリハリ鍋」を。具は馬肉と水菜のみ。
ピンクがかった脂、生唾もん。
まずは女将さんによる鍋のレクチャー。
ダシに馬肉を入れ、ゆらゆらさせ熱が入ったら
水菜をどさっと加えてものの10秒前後で完成だ。
馬肉の脂身はぶりんっと舌の上で踊り、赤身は程よい歯ごたえ。
そして水菜はシャキッと感、健在。
馬のスジ肉からとったダシがね、もう笑みしか出ない味わい深さなのだ。
ダシを飲みながら酒をちびりちびりやりたくなるくらい。
命のスープならぬ、命のハリハリ鍋。無言で食べ続けた(笑)
〆は「中華そば」。
ダシは透き通っていて、なんとも端正。つるつるっと瞬時に完食したのでした。
さすが、この地で長年、店を営んでおられるだけあって
仕入れる馬肉は驚愕のクオリティ。
しかも、酒を呼ぶアテからステーキ、鍋に至るまで、どれも唸る味わい。
ミナミ遊びがハンパなかった在りし日を想い、
当時のこの街ならではのレジェンドに大盛り上がり。
いっぽう、ミナミの今に目をやれば、楽しい発見が多々あったのでした。
それはまた、別の話。(王様のレストラン調 www)
「馬肉料理専門店 ホース」
大阪市中央区東心斎橋2-3-12
06-6212-2663
open : 17:00〜22:00LO
close: 日曜、祝日
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