この日は堅田遠征。
7年ぶりに「じどりや穏座 -ONZA-」へ。
言うまでもないが、こちらは活地鶏の生産直売「かしわの川中」の直営店。
淡海地鶏や近江しゃもをはじめとする、地鶏の飼育から
処理、加工、販売、店舗運営に至るまで、一貫しておこなっている。
さて、その穏座。
小上がり席があり、ゆったり寛ぎながら旨い地鶏料理を愉しめる(完全予約制)。
さらに。この店には
“プラチナシート”と呼べる、カウンター6席があり
1日6人限定。ご主人・川中さん付きっ切りのもと
「淡海地鶏食べ尽くしコース」(3800円税別)を味わえるのだ。
7年前にもこのカウンターに寄せてもらった。(
当時の模様)
当時も予約困難なカウンター席だったが、今なお同じ状況。
しかも、7年前から値上げなしにも驚いた。
プラチナ席を、Zッキーさんありがとうございます★★★
さて「淡海地鶏食べ尽くしコース」。
ご主人曰く「淡海地鶏のトサカから足の先まで
すべて味わっていただけるようコースを組んでいます」とのこと。
●琵琶湖産 エビの醤油炊き 稚鮎の飴炊き
琵琶湖の香りがする。
エビは香ばしく、稚鮎は噛めば噛むほどなおいしさ。
「BOLLINGER Brut Special Cuvee」でシャン杯★
シャンパーニュやワインの値付けにも、
思わず飲み過ぎてしまうくらい嬉しい驚きが隠されていた。
●淡海地鶏 雌の首肉とキノコのスープ
両者の香りと旨みがクロスし、とにかく滋味深い味わい。
続いて「ミニハンバーガー」の登場だ。
近所のパン屋による特注もの。ライ麦100%のバンズに
淡海地鶏の胸肉スモークを挟んでいる。
生ハム的な塩梅が、風味豊かなバンズにマッチ。
さらに。サラダには「雌のササミのジャーキー風」を合わせていて飲ませるし
「北海道 白糠のチーズのスモーク」や「深煎りアーモンド」
「高千穂のニホンミツバチの巣」など、
あきらかに酒飲みだと分かる(笑)ご主人目利きのセンスあるアテが揃う。
●淡海地鶏なまこ風
これは「雄の生トサカ」。かんなりツボだった!
たしかに、くにゅっ、しっとりとした質感がなまこ風。
咀嚼するほどに甘みがじんわりと。
長崎の柚子胡椒と自家製ポン酢、それらの香りと酸味のバランスもお見事。
●前菜5種
まだ前半戦なのに、ボルテージは最高潮。
「地元野菜のビクルス」は、スキッとした甘酸っぱさ。
チアシードのプチプチ感楽しい。
「雌のササミの蒸し鶏とレタス」。
トップにはマグロだしとワインビネガーからなるジュレが。
ササミはしっとりしていて、徳島産の酢橘を利かせた清々しい味わい。
白肝たたいたの&山芋とろろの中に「ムネ肉(雌)の漬け」が。
まったりコク旨。
「モモ肉(雌)の味噌漬け」を大津の味噌とともに。味噌漬けにして13日目。
味噌と淡海地鶏本来の旨みがクロスし、ナチュラルかつ深みのある味わい。
添えている鶏味噌で、泡チビチビいきつつ
合間に薬味を挟むも、味噌漬けの味わい深さに飲みのピッチ加速となる。
「そぼろ巻き」の肉は雄雌混合。ホッと落ち着く甘みに続き
アオサ入りの鶏だしの餡で、品のある後味。
「モモ肉(雌)の塩焼き」は、
鶏からとっただしで作ったカレーと地元のエシャロットとともに。
クミンやコリアンダーの利かせ方が秀逸。そのエキゾティックな風味に
ご主人、かなりのスパイス通とみた。
なお、味噌漬けはモモでも“上モモ”を。
こちらはスネやフクラハギ部分の“下モモ”を使用している。
続く、お造りに照準を定め、おすすめの日本酒を。
「文佳人 リズール 特別純米(アリサワ酒造)」
●淡海地鶏 お造り盛り合わせ
右から、
【雌の肝と心臓】と【雄の砂肝】
白肝は清々しいコク、
心臓や砂肝はパワー漲ってるかのようなハリツヤ、清々しさ。
【脾臓(雄)】と【白子】は
大将手製の藻塩のみをつけて。
張りと口どけを時間差で感じ、何ともクリーミー。
【雄のササミと奈良の古代醤】は、ねっとり濃厚なお味だし
【雌のソリレス】←股関節まわりはクリアな脂、なんて甘いんだ!
【雌のムネ肉】は甘みがじわ〜っと押し寄せた。
「不老泉 参年熟成赤ラベル 山廃純米原酒」(滋賀・上原酒造)
熟成酒ならではの、芳しい熟成香。とろんとしたまぁるい口当たり。
●雌の手羽先塩焼き
能登の魚醤「いしり」を塗りガス焼きにしたもの。
ご主人曰く「いい醤油の旨みと焼きの香ばしさを楽しんでほしいから
あえて炭は使わず、ガス火で焼きあげています」。
香川「かめびし屋」の醤油のフリーズドライがかけられている。
北海道の山ワサビをたっぷりのせて味わえば
手羽の脂分が山ワサビを包み込み、旨さ倍増。
「お口直しのサラダ」で飲める。
なぜならレタスやキャベツは瑞々しく、
自家製の玉ねぎトレッシングの優しい旨みに癒されるから。
2〜3人分ありそうなボリュームなのに、ひとりでペロリいけた。
●唐揚げ 特製中華ソース
部位は雌のモモ、手羽元、ひざ軟骨。
各部位の異なる食感楽しく、揚げたてゆえのカリッジュワッ食感。
酸味を際立たせた、甘酸っぱいソースが絡む。
日本酒とワインが行き交う夜。
ワインは魅惑的なリストより。
また、ご主人がピタリ合わせてくれる日本酒は
料理との相性を考え抜いたものばかりで、もうね、酔いしれるわ。
旭日 生酛純米 改良雄町70(島根 出雲・旭日酒造)
清酒竹鶴 八反 純米(広島 竹原・竹鶴酒造)
BOURGOGNE ROUGE Maison LEROY
●淡海地鶏のモツ炒め
キンカン、雌のトサカと肝と砂ずり、脾臓
腺胃(せんい)、背肝の7種。日本酒もワインも誘う味わい。
淡海地鶏の希少な部位を味わえるのも、生産者のお店ならではだ。
目の前で、ご主人・川中さん自らが焼き上げる
●ぼんじり 焼き
歯を入れた瞬間、弾けた!
脂はひつこさ皆無。さらりとしたジュを撒き散らす。
佐賀直送の柚子胡椒(黄金トウガラシ100%)をつけて味わえば重層的な香りが現れた。
●鎖骨 焼き
V字の骨まわりをしがみ、
ムチッと弾力ある身の、濃厚な味を楽しんだ。
●炭火焼 焼しゃぶ
雌のモモ肉内側の軽い炙りだ。
肌理の細かい繊維と、ぷりぷりっ!な程よい弾力。
なにせ脂に甘みがあり、肉そのものの味が濃いのだ。
●横隔膜のタレ焼き
歯ごたえよく、清々しい肉汁溢れ出る。
焼き物ラストにふさわしいタレ焼きだった。
〆のご飯で撮影大会(笑)
その中身は・・・
●もみじからとったスープで炊いた
長浜産コシヒカリのサツマイモご飯
だしのうま味が、ツヤッツヤご飯に浸透。
サツマイモのほんのりとした甘み、サフランの香りが重なり合い
ずーっと食べ続けていたいおいしさ。
●ラーメン
もみじからとったスープと、煮干し系Wスープ
麺は、開店当初からの付き合いという「麺屋棣鄂」で
鶏系スープに合わせて作ってもらっているという。
やや縮れ系の麺に、クリアかつ複雑な旨みのスープ
〆にふさわしい、じつに端正な味わいだった。
「もみじ」スープということで、頭から足の先まで
淡海地鶏の凄みを、味わい尽くしたのでした。
「バニラアイス マンゴーと守山イチジクのピュレ」も登場。
デザートまでぬかりなし。
淡海地鶏食べ尽くしコースについて、川中さんは
「最小限の味付けで、最大限の味わいの違いを楽しんでもらえたら」とのこと。
いやぁ〜、調味はもちろん、食べさせ方に至るまで、創意工夫に富んでいて
食べてである私らは始終、テンション上がりっぱなし!
淡海地鶏は、街場のお店でも好んで頂く地鶏なのだが、
脂はさっぱりしながら甘みがあり、肉そのものの味が濃く、
毎日食べていたいくらい好きだ。
気心知れた皆さんとの時間というのも、エッセンスとなり
「時よ止まれ」とさえ思わせてくれるひとときだった。
川中さん、皆さん、ありがとうございました!
「じどりや穏座-ONZA-」
滋賀県大津市真野4-9-50
0120-003129(完全予約制)
open : 18:00〜22:00
close: 火・水曜・不定休
「かしわの川中」
Simon & Garfunkel - Kodachrome / Mabellene