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「瓢亭 本店」 人日の節句のお祝い 七草粥の会

1月7日。
京都・南禅寺「瓢亭」にて開かれた
「人日の節句のお祝い 七草粥の会」に伺った。
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南禅寺境内で茶屋として暖簾を掲げ、創業400余年。
こけら葺きの主屋に、苔生す庭、
「瓢亭」を訪れると一瞬にして、目に飛び込むものすべてに感動を覚える。
その様子は後ほど述べるとして。


陰暦1月7日は、日本の五節句の1番目「人日(じんじつ)の節句」。
正月最後のこの日に、七草粥を食べる風習は平安時代に始まったそうな。
「瓢亭」のこの時季の粥は「鶉がゆ」だが、
15代若主人・高橋義弘さんのご好意により
特別に「七草がゆ」を頂けるとのことで、ワクワクしっぱなし。
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お屠蘇で乾杯。総勢30名、毎度な方々 初めましてなみなさんと
まさに一期一会。またとない時間を共有し、じっくり楽しませて頂きます。


●三宝
 サーモン砧巻 子持ち若布 ぶどう豆
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砧巻(きぬたまき)は、サーモンの旨みと
かつらむきにした蕪の透き通った甘みが共鳴。
子持ち若布の分厚さ、ふうわり柔らかなぶどう豆と
お正月ならではの味を、帰国早々味わえるとは嬉しい限り。



●つぼつぼ
 京人参、大根、柿なます
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三杯酢の塩梅と、熟れた柿のとろりとした甘みに舌が喜ぶ。



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江戸時代の漆器。凛とした美しさがある。


●雑煮
 小餅 日の出人参 亀甲大根 神馬草 千代呂木 辛子
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神馬草(海藻)が入るとは珍しい。
昆布だしに白味噌を溶いた汁は
上品かつどこまでも深い味わいで、ただただ目を細めるばかり。


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鶴蒔絵。愛くるしい表情だこと。



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お向かいさんはシャンパーニュ★
こちらでは日本酒が行き交う。
お隣でご一緒させて頂いたM三郎さん★田酒ご馳走様です★
しかも「瓢亭」の焼印入りシャンパンクーラーの
デザイン美が素晴らしいの。中川木工芸さんの作品だろうか。
元・大工、現・寿司職人ぐっさん(鮨 原正)の話では
桶は釘などを用いず、木材を指し合わせる木工の技でつくられている、とのこと。



●向付
 明石鯛へぎ造り 土佐醤油 トマト醤油
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待ちに待った「明石鯛へぎ造り」が登場。静か〜にひとり興奮(笑)
その鯛は「日本一の鯛を仕入れる男」と名高い水口計則(かずのり)さんより。


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ぽってり厚みがある身は、半透明で艶を帯びている。
むっちりと弾力があり、噛めば舌の上でねっとり甘みを放つ。

「土佐醤油」は14代当主・高橋英一さんによるもの。
鯛との相性、揺るぎない。
そして15代若主人・高橋義弘さん考案の「トマト醤油」で頂けば
まずトマトの旨みとほんのりとした酸味を感じ、
咀嚼すると鯛の甘みが徐々に現れ、最後は鯛のおいしさだけが残る。
こちらもまた見事であった。

ちなみに「へぎ造り」とは、
繊維を断ち切る「平造り」とは異なり
鯛の繊維に沿って切るため、独特の歯ごたえが生まれるという。



●八寸
 瓢亭玉子 絵馬くわい 鶉塩麹焼き
 チシャトウ味噌漬け からすみ烏賊巻
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名物の瓢亭玉子をはじめ、杯が進む逸品揃い。日本酒止まらぬ(笑)
とくに、ヅケにした烏賊を巻いたからすみ、これには唸るばかり。
瓢亭玉子と同じく、焼印入りの絵馬くわいも「瓢亭」さんならでは。
次、この絵馬くわいに出合えるのは12年後かぁ…なんてしみじみ。


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瓢亭玉子。
トロ〜リと溢れ出る半熟の黄身。どこまでもコク深く、質朴な甘みが広がる。



●三段
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瓢箪型のオリジナルの器には
「一帯青松路不迷(一帯の青松 路に迷わず)」という文字。
江戸時代の歴史家・頼山陽が詠んだ名歌の一節。
南禅寺参道の松林のことを言っているんだとか。


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上段「芹 松の実和え」
芹は香り高く、松の実の香ばしい風味が調和。



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中段「まながつお味噌幽庵焼き 金柑 赤かぶ千枚漬」
味噌幽庵焼きの深い旨み
千枚漬のスキッとした甘酸っぱさ、
金柑のまったり濃厚な甘み…とひと口ごとに楽しむ味わいのコントラスト。



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下段「扇面かぶら 本鴨 鴨丸 九条葱 黒七味」
かぶらの奥深い旨みが、鴨と葱の存在感を引き立てる。


●蒸し物
 焼きふぐ白子 菊菜 蕪あん あられ柚子
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大きな白子はもったり、濃厚クリーミー。
蕪のこっくりとした甘みと柚子の香り、冬の味。



真打登場だ。
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●七草がゆ
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そうか。京都の七草粥は丸餅入りなんだ。
無病息災を願い、春の七草の生命力を頂きます。
粥の甘み、餅の香り、そして七草が奏でる大地の味。
じんわ〜り、心に響く味わいでした。
すぐきなど京都ならではの香の物とともに。



●水物
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ラフランスコンポート ジュレがけ
苺、そして林檎シュー。


伝統を守りつつ、飽くなき探究心も垣間見ることができた
人日の節句ならではのお料理でした。



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武者小路千家 官休庵のお家元が描かれたお軸。
あるとき、ひとりの僧が趙州和尚にこう尋ねたという。
「犬には仏性(ぶっしょう)が有るでしょうか、それとも無いでしょうか」
すると和尚は「無・・・」と。
そんな趙州和尚の禅問答がモチーフになっているとか。
次、お目にかかれるのは12年後。何とも不思議な気持ちになる。



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瓢箪のなかに「この中に一さい合さい入れて佛も鬼も遊ばしておく」とある。
お軸、いけられた花、目に入るものすべてに
客人を迎える亭主の気配りが込められている。



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400余年の歴史を感じさせる茶室「くずや」。
瓢亭創業時より残る貴重な建物。


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庭のなかを流れるせせらぎ、手入れの行き届いた木々に、石畳の露地。


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喧騒から離れたこの空気感、そして時間の流れ方は
まるで深い森のなかの庵を思わせる「静」があった。



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(石川順康さんのFBから拝借)
会を主催いただいた山川典子さん。
またとない貴重な機会をありがとうございました★
そしてご一緒させて頂いた皆さま、ありがとうございました★




「南禅寺畔 瓢亭 本店」
京都市左京区南禅寺草川町35番地
075-771-4116
open : 懐石料理 11:00〜19:30
    朝がゆ(7/1〜8/31)8:00〜10:00
    鶉がゆ(12/1〜3/15)11:00〜14:00
close: 第2・第4火曜
http://hyotei.co.jp/





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by writer-kaorin | 2018-01-10 07:10 | 瓢亭 | Comments(0)  

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