岡山・赤磐市。
初めて訪れる、わざわざな場所。
理由はひとつ。
ここでしか味わえない出会いが待ち構えているから。
「すし処 ひさ田」
念願の訪問。貸切の夜、ということで撮影OKでした。(貸切以外は撮影NG)
この店の15年来の常連 ドラゴンオカザキ氏に感謝★
店主・久田和男さんの世界をとことん愉しませて頂きます。
●ミル貝 土佐酢ジュレ クレソン
クレソンが放つ春の苦味、ジュレの清々しい旨みに続き、
シャクシャク歯ごたえよい瀬戸内産のミル貝が、
透き通った甘みを撒き散らす。
●蒸し鮑 もずく
鮑はふわり柔らか。
青森産もずくの香りとともに、記憶を磯へと誘う。
軽やかな甘酢で後味すっきり。
●煮ホタテ
オリジナルで調合してもらったという七味と
ハラペーニョのピクルスを利かせたホタテ。
ホタテは、クリアな甘みで
複雑な和のスパイスが、味わいに奥行きをもたらしてくれる。
●飯蛸のぬた
瀬戸内の飯蛸。「飯(卵)はついていないから栄養を取られてない」そうで。
しっかり味がのってる中に、ピュアな旨みを感じる。
酢味噌は、地元・岡山のオリーブオイルブラザーズが手がけた
オリーブオイルが隠し味となり、まろやかさと華やかさが交差する。
Soaveのすっきりながらも華やかなニュアンスが、ぴたり。
●鴨 山菜
焼いた後、漬けにした青森産の鴨。風味よく味わい深く
うるいのシャキッと感が楽しいな。
伊勢崎紳さんの器にも、惚れ惚れ。
●吉田牧場のモッツァレラ 醤油漬け
地元 岡山が誇る「吉田牧場」のモッツァレラを、
そのホエイ(乳清)と醤油とで10日、漬けにしたそうな。
先述のオリーブオイルと、山葵とともに。
ピュアで深い味わいミルキーさのなかに、ふわり大草原の香りがした。
そして握りへと。
のっけから、必殺技・手隠しの術!
そんな、おちゃめな久田さん、好き(笑)
緊張の糸が切れたw
●ハリイカ
シャクッと軽い歯ざわり、と同時に
舌の上に、温い酢飯がのる。
イカの透き通った甘みがじわじわ押し寄せ、酢飯と一体になりすっと消えた。
はぁ〜1カン目から心地いいため息。
酢飯には地元米「きぬむすめ」を主役に、
2割ほど地元の酒米「雄町米」を入れているんだとか。
“酒米はうまない”という定説を覆してくれる。
ひさ田さんならではの発想に、始終驚きを隠せないワタシ。
●タイ
鞆のタイ(鞆の浦)。
皮目香ばしく、酢飯とともにふぁっと舞い
なんとも懐かしい香りがした。
●サヨリ
繊細なテクスチャー。
キレのある酢加減により、米そのものの甘みが際立つ。
福山産の「トリ貝」。酢飯との間に海苔を挟んでいる。
はらりとかけた塩によりトリ貝の甘みが増し
パリッとした海苔の香りが鼻腔をくすぐるの。
この鮨にも一同、唸った!
●ヒラメ
塩締めした身、そしてエンガワが層を成し(!)
吉野葛でとろみ付けしたポン酢ががトロリかかるのだ。
身は甘みを蓄えてて、エンガワの食感と上品な旨み、両者が主張し、
酢飯とともに馴染みゆく。はぁ〜ニンマリため息しか出ないわ。
「玉子」はふわりとろけ、卵そのものの味をしっかり感じさせてくれる。
●エビ
半生に仕上げていて、透き通った質感とともに
まったりとした甘みが主張。
包丁の入れ方、握り方により、
もうね、私自身が優しく包み込まれる錯覚に陥った。
●赤貝
舌の上で赤貝が戯れ、酢飯とともに解けゆき
貝のエキスがじわっと。その余韻に浸ったなぁー。
●海苔のおすまし
塩味はなし。香りの高さが、記憶を春の海へと誘う。
●本マグロ 背トロ
端正だ。漬けの加減よろしく、
柚子胡椒の仄かな香りがアクセントとなっている。
●白魚
赤穂産の白魚は、シャクッ。その食感に続き、心地よい苦味がほろりと。
白魚の頭や尾ヒレなどを取り除いているから、舌触りがじつになめらか。
「イクラ」。供されて0.5秒ほどで写真撮って即、口のなかへ。
海苔パリ、瞬時にイクラのジュースが口中を占拠する。
ほかの鮨もそうだけれど、その一瞬のおいしさに集中。
ワインの合間に、ひさ田オリジナル
「酒一筋 純米大吟醸 生」(岡山 赤磐/利守酒造)を。
赤磐雄町米100%。2年半熟成したそれは、深みと清らかさをあわせ持つ。
●ミル貝
春の貝祭りだ。溌剌とした質感、クリアな甘みが溢れ出た。
●小イワシ
繊細でいて艶やか。酢橘の芳しさとともに、儚く消えた。
●赤貝 ヒモ
まったりとした赤貝の甘みにより、酢飯のキリッとした表情が冴える。
はぁ〜。日本酒とシャンパーニュが行き交う幸せよ。
この日のワインセレクトは「マルルエウルル(Malülu et Hulülu)」店主・ガーコ担当。
撮影し忘れたが、鮨に寄り添う素敵なワインたちでした。ガーコおおきに★
「待ってました!」なブツ登場。
●梶谷ハーブ 海苔巻き
海苔は「裏巻き」にしてる、と久田さん。
その個性を十二分に把握している久田さんだからこその発想だ。
ザクッ。上顎にのった海苔の強い香りが主張したかと思えば
さまざまなハーブの表情異なる香りや甘味、鮮烈な苦味や辛味などが
ぶわ〜っと全力疾走な感じで追いかけてくるのだ。
忍ばせた3年熟成の沢庵の、ぐっとくる酸っぱさと風味が、
かなりいい仕事をしていた。
梶谷ハーブと沢庵。シャンパーニュとともにちびりちびり。至福。
質朴な甘味の餡子玉で〆となりました。
艶やかでいて繊細であり端正。
そして随所に見え隠れする独自性。
久田さんの味と技、そして発想力は、一言では言い尽くせない。
ここでしか経験できないモノ・コトばかりで、
驚きあり興奮あり茶目っ気あり。
一瞬にして恋に落ちた、そんな感覚。
ドラゴンさん、良子さん、ご一緒させていただいた橋弥一門会のみんな!
そして久田さん、本当にありがとうございました。
「すし処 ひさ田」
岡山県赤磐市桜が丘西9-1-4
tel:086-955-8585【完全予約制】
(予約の受付時間は金・土・日曜の16:00〜18:00)
open :19:00〜21:30(金曜日・夜のみ)、
13:00〜15:00、19:00〜21:30(土・日曜日)
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