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串かつ 一口 @尾道 昭和の香りと、三代目の新風と。

尾道「ビズー」を後にし、目指すはあの名店。
外はまだ明るい。小躍りしたくなるくらい嬉しい。
なぜなら、まだたっぷり飲む時間はあるのだから。(笑)
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旧き良き繁華街をてくてく歩けば
スナック、スナック、お好み焼き、またもやスナックの文字。
昭和エレジー。尾道ならではのこの空気感、好きやわ〜。



そして到着した「串かつ 一口」
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開店前。席を確保したいお客さんで待機所は賑わっている。
基本的に予約不可。待っていた客が順番に、入店できるシステム。
この日も1回転目に入ることができなかったお客さんが多くいらっしゃった。
3回転はするそうで。その理由は、串かつを食べた瞬間、分かる。



「一口」の大大将の至近距離。カウンター特等席に座らせてもらい乾杯!
この店の数十年の常連オカザキさんに感謝です。
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厨房を覗けば、2年前伺ったときと雰囲気は一変。
御歳81歳である大大将の、
お孫さんが修業から戻り、厨房に立っておられるではないか。
その微笑ましい光景に、思わずビールが進む。

しかもだ。カウンターの縁や、品書きがかけられた壁、厨房もそうだけど、
今すぐに作ろうたって作れやしない、年月の経過を感じるのだが
ダクトはピッカピカ。揚げ油のあのもわっとくる匂いも全くしない。
目に飛び込むもの全てが、清潔なのだ。



のれんに「串かつ」とあるが、ここ一口の串ネタは
瀬戸内で獲れた魚介がメイン。
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まずは「キス」が登場。「レモンを絞って、塩でどうぞ」と大大将。


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アッツアツ。ハフハフやれば、軽やかな衣から透き通った身が顔を覗かせ、
甘やかな香りがぶわ〜っと追いかけてくる。



●小イワシ
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超がつくほどの期間限定。
運良く出会えた小イワシに醤油をジュッとかけて。


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ざくっと小気味よい食感。身はふぁふぁ、儚いくらい繊細。
私が小さかった頃、家の近所の浜辺で釣りをしていた
あのシーンを思い出す、懐かしい香りがした。



●エビ
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衣の具合がかなり良い。ざっくりしながら、軽やかでいて品がある。
蒸されたエビは、しっかりと味があり、質朴な甘みを撒き散らす。



●ニシ
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「ニシ」とは「アカニシ貝」のこと。
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小さなレードルで串にタレを直接かけ、パクリとやれば
ニシの濃厚なエキスが勢いよく溢れ出る!なんて甘いんだ。



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ジョッキの酎ハイ。
感動すら覚える串の数々に、飲みのピッチが加速する。



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「穴子」のお出ましだ。

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まずは、レモンと塩で、穴子が放つキレイな風味
厚みがありながらとっても繊細な身の、ふくよかな甘みを楽しみ


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続いて、反り返った皮目にたっぷりの山葵醤油をのせて味わいます。


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穴子が持つ、深い旨みをダイレクトに感じ、
あんなにたっぷり山葵をつけたのに、ツンとした辛みはない。
むしろ、山葵の清々しい香りの余韻が気持ちいいの。
厚みがある大ぶりの穴子だったけれど、思いの外、軽くってするする胃に収まった。



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ビールに舞い戻る。大大将の前で、飲んで味わって。
ほんのちょっぴりの緊張感はいつしか、居心地の良さへと変わりゆき
時よ止まれな楽しい時間。



●トンから
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常連さん限定の裏メニュー。豚バラ肉の素揚げなのだが
赤身の嚙みしめるほどに広がる味わいと、ジュワッと弾ける脂の甘み
これはもうね……豚ラヴァーには堪らない一品だった。



●タイラギ(貝柱)
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ザクッ、シャクシャクッと歯ざわり楽しく、
旨みの嵐が押し寄せる。



●アサリ から揚げ
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名物メニューの一つ。聞けば、ここ尾道に
アサリの殻剥きを生業にするおばあちゃんがおられるとか。
身はぷっくりとかさ高く、噛むごとに濃厚なエキスが溢れ出る。
あぁ、ずっとずーっと噛み続けていたい。

なにせ、一口の串かつは、素材の味がくっきり濃い。
それはピカイチの食材、熟練の技、間合い…
さまざまな要因が重なってこそだと思うのだが
どことなく懐かしい昭和の頃の味がするのだ。




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厨房には、無駄な動きがひとつたりとも無い大大将と、
真剣に、楽しそうに接客をする、溌剌とした3代目。
そして感銘を受けたのが、2代目である大将の動きだ。

舞台上で主役ふたりの存在を、際立たせる名脇役といったところか。
決して前には出ず、だけれど存在を消しているわけではなく
お客さんが手を挙げる前に、気づいてささっと要望を聞きに行ったり。
背後からそっとふたりを見守りつつ、
そこに言葉はなくとも阿吽の呼吸があり、
3人それぞれの持ち場の仕事が、流れるように美しかった。


こうして「一口」の味が、親子代々、受け継がれていくんやなぁ、と
酒を飲りながらしみじみ考えてたら、胸がいっぱいになった。


「一口」
広島県尾道市久保2-20-2
☎0848-37-9723
open : 17:30〜22:30
close: 日曜、月曜、水曜




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by writer-kaorin | 2018-04-28 10:44 | =酒場= | Comments(0)  

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