地元・小浜の鮨屋「鮨富」にて
冬の名残と春の兆しを愉しむ夜。
運動後だったから、ビールがこの上なく旨い。
単品注文が主の鮨屋だけれど、私はいつもおまかせをお願いする。
●メジマグロと谷田部ネギのさっと煮
小浜で揚がったマグロ。しっかりとした身質だ。
厚みあり甘みしっかりの地元の伝統野菜・谷田部ネギがマグロに負けじと主張。
●小浜産 天然トラフグ
イカってて、しっかりとした歯ごたえ。この鮮度、地元ならでは。
淡白ながらも、噛むほどにフレッシュな旨みが広がる。
●イバラモエビ
日本海の底引きやカニ籠に混ざる、ズワイガニに勝るとも劣らない影の実力者。
甘エビにはない、濃厚な甘みにビックリ!ミソも強烈な旨み。
獲れる量は非常に少なく、しかも足が早いから門外不出。幻のエビと称される。
隣町で醸されている、早瀬浦「浦底」があるやないの。
てことで、この酒で通すことに。
うすにごり、ふくよかな甘みを感じさせつつも美しい後味。
●若狭ガレイ塩焼き
繊細な身は香りよく、ふっくら。
DNAに響く懐かしの味だ。頭は片栗粉を付けて揚げてるから
バリバリ、酒のつまみに最高。
天然葉ワサビの醤油漬け。鮮烈な辛味が堪らん。
●穴子 白焼き
もちろん地元産。煎り酒と一緒に。
ふぁっふぁで、煎り酒のうま味が、身の高貴な甘みを引き立てる。
薄味が付いた肝は風味清々しく、じつになめらか。
●自家製からすみ
酒がどうにも止まらない。
●ブリカマ煮付け
ささがきにした素揚げゴボウと一緒に。
小浜産のブリ。そのカマは
ムチッと程よい弾力を感じつつ、ほろり蕩けた。
●たけのこ天ぷら
地元・勢浜産。春の香りを撒き散らす。
握りへと続く。
伝統工芸・若狭塗の盛台。小浜市の「加福漆器店」より。
側面の技法が、若狭塗ならではなの。
あわび貝や卵殻・金箔などを入れ、漆を塗り重ね、研ぎ出すのだ。
●平目
心地よい弾力。旨みがじわりじわりと。
●平目 えんがわ

コリッと感心地よく、脂の甘みじんわり。米の甘みと和音を奏でる。
●ヤリイカ
さくっと歯に当たったかと思えば、ふわっと。
シャリとともにほどけた。
●ヤリイカ ゲソ
プリックリッとした食感。海老塩で甘みがぐぐっと持ち上がる。
●ぶりトロ
ぶりも小浜産。清らかな脂が、まぁるい酸味のシャリと交わり、
蕩けて消えた。
●メジマグロ ヅケ
すきっと端正。さっぱりとした旨みが印象的。
●中トロ
クリアな脂と清らかな香り。
●トロ
まったり深い旨みが押し寄せたかと思ったら、消えた。
●〆鯖
浅めの〆加減につき、酸はまぁるく
脂がじわり滲み出た。
●白バイ貝
さっと炙りで。甘みに凝縮感があるわ。
●ハタハタ一夜干し
ほんのり温いハタハタ、ぷるんとした身は優しくも深い旨み。
米粒の甘みとともにほろほろほどけた。小浜、名残の味。
●若狭牛イチボ
藁の燻香がほんのりと。
肉そのものは香りよくしっかり味がある。
すっと歯切れがいいから後に残らない。
●三国 甘海老
卵がプチプチ弾ける!甘み濃い〜。
●三方五湖 白魚
プリンプリン。艶やかでいてホロっとした苦みもあり
大葉と生姜で後味清々しい。
この後、マダコの桜煮が登場。
「京都・北山「もり川」の大将にタレを分けていただきました」と
二代目・島川陽平さん。
まったり奥深いタレ、マダコの味と馴染み、心地よい香りが広がる。
●煮穴子
ふぁふぁ、繊細で深い味わい。瞬時に消えた。
抹茶のババロアをいただき、〆となりました。
地方鮨の醍醐味は、この地ならではのネタの力強さにあると思う。
「鮨富」は、鮮度はもちろん、それにあぐらをかくことなく
丁寧な仕事をも感じさせてもらえるのが嬉しいのだ。
しかも生まれ育った場所。DNAに響く、味わいと香りに癒されたのでした。
「鮨富」
福井県小浜市小浜広峰83-1
☎0770-53-0337
open : 12:00〜14:00、17:00〜21:00
close: 月曜
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