パスタの名ブランド「DE CECCO(ディ・チェコ)」のセミナーへ行ってきた。
開催場所は、山根大助シェフ率いる
「MODO DI PONTE VECCHIO」(モード ディ ポンテベッキオ)大阪 西梅田
参加者のほとんどは料理人の方たち。ご縁あって私も参加させていただくことに。
全くもってPRちゃいますのでご了承くださいね。
むしろ、イタリアンはもちろん料理人を志す人たちに、
はたまた今、飲食の現場で頑張っておられる方たちに知っていただきたい
実のあるセミナーだった。だからここで紹介したいなと。
へべれけネタやないけど(笑)
ディ・チェコセミナー 2019
DE CECCO presents Visionary Italian Seminar
~イタリア料理の今、これから〜
出演シェフは
大阪・北浜「リストランテ ポンテベッキオ」オーナーシェフ 山根 大助さん。
京都・木津川「リストランテ ナカモト」オーナーシェフ 仲本 章宏さん。
パリ「レストラン ランコニュ」オーナーシェフ 檜垣 浩二さん。
冒頭、主催者によるプレゼンがあった。
テーマは「今、食の世界で起きていること」。
今年は“高め合う関係性”というキーワードのもと
作り手と食べ手、さらには料理と酒ほかビバレッジとのペアリング。
国内外のシェフたちの国籍や文化を超えたセッション、
地元に根ざしながら生産者との関係から創り出される味、
さらにはサスティナブルやフェアトレード、エシカル消費など
今的キーセンテンスをもとに、
国内外の食シーンの今を、改めて認識することができた。
その後、各シェフ、パスタ2品のデモンストレーションへと。
仲本シェフが地元・木津川市にリストランテを開いたのは2011年のこと。
シエナ「バゴガ」、フィレンツェ「エノテカ ピンキオーリ」などイタリアで6年、
その後、ニューヨーク「レストラン・ファライ」など海外経験が豊富なシェフ。
曰く「イタリアで、星付きレストランの多くは田舎にあります。
お客様はその店で食事をするために、わざわざ足を運ばれます。
だから、生まれ育ったこの地以外で、店を開くことは考えていませんでした」。
世界でのキャリアと、地産の食材が織り成す仲本シェフならではの
オリジナリティを求め、
美食家が足しげくこの店を訪れる。
まずは野菜が主役の一品を。
●焼きナスのヴェルミチェッリ
ナスは、炭火できっちり焼き切り
焦がした皮は太白ごま油とあわせて黒い皮のピューレに。
いっぽう、身は焼きナスのピューレに。
アサリだしやセミドライトマトのピューレ、黒い皮のピューレからなるソースに
ナポリ発祥の太めのスパゲッティ「ヴェルミチェッリ」を絡めた。
皿に盛り、モーリカ(トマト&パン粉)と、
冷やした焼きナスのピューレを添えて。
通常、捨てそうな焼きナスの皮までをも用いた一皿は、
焼きナスが放つ、夏の香り鮮烈!
モーリカのじゃりじゃりとした食感、トマトの旨みも心地よい。
野菜が主役といいながらインパクトある味わいだから
やや太めのヴェルミチェッリとも相性抜群。
噛むほどに、パスタの粉の香りが際立つでないか。
仲本シェフによる2品目は
●詰め物をしたパッケリ、クリーミーなミルクフォームとセージバター
トスカーナの「ニューディ」をアレンジしたそうな。
ラヴィオリ・ヌーディ(ヌードのラヴィオリ)という名も持つこちら。
茹でて刻んだホウレン草、リコッタ、マスカルポーネ、
小麦粉や全卵などがベースの詰め物パスタだ。
茹でたパッケリに具を詰め、スチコンで蒸すという。
口に含めば、焦がしバターの香りが押し寄せ
パッケリを噛みしめるほどに、小麦の香り、
詰め物のクリアな旨みが広がる。そこに優しいミルクのニュアンス。
詰め物をして蒸す場合、具の水分量の見極めがポイントとなるそう。
この緻密さ、リストランテならではやなぁと感心。
だって我が家でパッケリといえば肉のラグーや、
クリーム系、魚介ソースくらいだから(笑)
仲本シェフは、定期的に深夜の勉強会を店で開いていて、
23時くらいから朝4時まで、大阪や京都市内からシェフたちが訪れ
ある日はフォアグラについて、はたまた別のテーマで夜な夜な熱く語り合う。
そのオープンマインドな精神が、志高き次世代の料理人たちを紡ぐのだろう。
「発信力ある料理人は、場所を問わず」ですね。
続いて、パリ「レストラン ランコニュ」檜垣 浩二シェフ
何年ぶりだろう。檜垣シェフとの再会に、テンション上がるわ!
パリでイタリア料理のレストランを開業したシェフ。
日本で和食やイタリアンの修業を経て
パリ「Passage 53」で5年半、スーシェフを務めた。
曰く、フランスでイタリアンといえば、まだまだ「パスタ、ピッツァ」だそう。
そんななか、日・仏・伊の技をもち、唯一無二の皿をコースにて展開している。
店でのパスタの位置付けは「コース料理の〆」だそうで。
1皿目は「フランス人にとって定番食材のシャンピニオン。
この一素材だけを用い、ガストロノミーな皿に」とのこと。
●シャンピニオンのキタッラ
アブルッツォ発祥の断面が四角のロングパスタ
「マッケローニ・アッラ・キタッラ」に絡むのは、
シャンピニオンのジュやデュクセル、シャンピニオンバターなどからなるソース。
トップには、スライスしたフレッシュなものと、粉末シャンピニオン。
とてつもなく香りが深い。シンプルながら旨みのインパクトもあり、
キタッラの味わい深さと共鳴。
フランス人になった気分で、シャンピニオンの芳しさに唸ったわ。
●コンキリエのアクアパッツァ風
コンキリエのなかに、アクアパッツァのソースや具を詰め
4種のパウダー(オリーブ、ケッパー、トマト、カラスミ)、
バジルオイルなどをあしらった一皿。
アサリやトマトからなるジュをまわしかけていただく。
いやはや、アクアパッツァのイメージを覆す、独創性に満ちた一品!
トゥルンと食感楽しいコンキリエを咀嚼すれば、
口のなかにアクアパッツァならではのエキス感、旨みが広がるではないか。
ポワレしたイサキを添えていて、そのふっくらとした質感も印象的でした。
パリでイタリアンを創造し続ける、檜垣シェフならではの発想力に感動。
その後、檜垣シェフが思う、食シーンの今についてのトーク。
これもまた勉強になることだらけでした。
そして大トリは、山根シェフのデモンストレーション。
山根シェフの経歴は言うまでもないけれど。(笑)
86年に独立し、今年33年目。今や全国で活躍するお弟子さんは200名近く。
関西の、日本のイタリア界を牽引し続けている重鎮。
リストランテを筆頭に、ステーキ店『D-ステーキ』ほか
コンセプトの異なる店舗を複数展開する。
シェフのこの言葉が印象的だった。
「最適調理を最大のコンセプトに掲げ
リストランテというハイエンドな場も作ってはいます。
でも、幅広い層のお客様にきていただかないと
この国でイタリアンは広がらないなと。小さい子から学生、年配の方にも、
パスタはじめ、イタリアのあらゆる料理を大好きになってもらいたい。
だからプライドをしっかり持ちながら、いろんなタイプの店を経営しています」。
さて、山根シェフによるデモ、1品目は
●ハマグリと、とり貝の炭火焼きと
サフラン風味のリングイーネ ピッコレ 冷たい夏ソース
ハマグリのブロードやサフランなどからなるパスタソースが
やや平麺のリングイーネ ピッコレに絡む。
その凝縮感ある旨み、高貴な香りだけでもインパクトありだが
炭火焼きにした陸前高田産「エゾイシカゲガイ」やハマグリ、
そしてハマグリのジュとヨーグルトからなるソースを絡めて味わえば
気品高い旨みの嵐。ソースの爽やかさもいい。
さらに。
別添えのキュウリやトマト、クルミオイルやナッツオイルなどからなる
冷たい夏ソースとともに味わえば、
熱々パスタとの温度差楽しく、味わいにさらなる膨らみが生まれた!
●オレキエッテ 国産牛タンとネックのボリート仕立て サルサヴェルデ添え
ピエモンテの郷土料理「ボリート」という名が付くが
牛タンとネックは茹でたりせず、真空マリネの後、牛脂で真空加熱したそうな。
柔らかいんだけど、繊維が割れずしてとどまってる。
これ、牛脂でコンフィしてるからこそ。
そして山根シェフ。
「ディ・チェコのパスタは、粉の風味がとても良く
なかでもオレキエッテは、他社のそれと比べて厚みがあり
その歯ごたえとともに味わえるのがいい」と絶賛。
タンやネックは味わい深い。しかも、ディ・チェコのオレキエッテは
ほんと厚みがあるから、肉の旨みや存在感に引けを取らず、むしろ呼応する感じ。
奴ネギを用いたサルサヴェルデでさっぱりと。
オレキエッテ好きとしては食べ続けていたい味わいでした。
山根シェフ、何かとご馳走さまでした✴︎
食後はDサンドなど焼き菓子とともにエスプレッソを。
場所も場所だし、クオリティ高すぎるセミナー。
最後は出演者によるトークセッション。
参加者からの質問に、お三方ならではの視点でレクチャーが入る。
それは、店づくりについて、人材育成について、など
飲食関係者にとってじつに有意義なトーク内容と展開。
なかでも、山根シェフならではの教育論や仕事論は、
ジャンルは違えど、どの仕事にも役立つキーワードがちりばめられていた。
「飲食業界に入り、山根シェフに憧れて続けてきた」とい
仲本シェフ、檜垣シェフの静かなる興奮も印象的だったな。
山根シェフ、檜垣シェフ、仲本シェフ、そして関係者の皆さま
貴重な時間を、ありがとうございました!
また機会あったらおじゃまさせていただきたいと思う。
「ディ・チェコ」サイト