大阪・靱公園「mucu 新屋食堂」。
2019年2月にオープンした、新屋信幸シェフのお店。
過日。料理専門誌のS編集長と、念願の訪問だ。
新屋シェフとの再会、嬉しい。
クリストフルのカトラリーセットが煌めく。
内装はもちろん、什器やカトラリーのセレクトに至るまで
目に飛び込むものすべてが、センスいいの。
映画に出てくる館に迷い込んだかのような、独創的な世界が広がる。
RMシャンパーニュ「Francois Billion」で乾杯✴︎
お料理は、月をテーマにおまかせで。
●タイナスマリネ タプナード 八丁ミソ
自家製スモークハム オリーブ
水ナス カンパリ大根
ゴルフボールサイズの“タイナス”は、小粒ながらジューシー。
タプナードと八丁ミソという組み合わせが独特。
水ナスと、カンパリに浸けた大根、とても爽やかにマッチ。
●フォアグラ マグレ鴨
いちじく ジュレドコアン
ランティユ なると金時 ヨーグルト
これこれ!新屋さんのフォアグラテリーヌ!
どっしり感あって緻密ながらも、しっとり繊細。
舌の上にのせると、フォアグラの深いコク、自然な甘みがじわり広がり、
軽やかに蕩けてゆく。その清々しさたるや。もう食べ終えたくないくらい愛おしい。
マグレ鴨は香り高く、塩で脂の旨みが引き立っている。
ビネガーを煮詰めたソースやイチジクで、味わいに広がりが生まれ・・・
ランティユ(レンズ豆) なると金時 ヨーグルトは
ターメリックをほんのり効かせたエキゾティックな味わい。
オレンジワインのキュッと広がる旨み。うん、とめどなく進む。
「生瀬ヒュッテ(元 ブランジュリタケウチ)」の
パン ド カンパーニュと共に。
新屋さんのお料理とタケウチさんのパン、揺るぎない相性やね。
●セップ茸 たまご エシャロット
セップは香りも味もいいねー。
トゥルンとしたたまごのテクスチャーに
ぷっくりジューシーなセップ茸。食べ続けていたいなぁこれ。
この潔さ、新屋シェフならではだな。
南アフリカより「Cuvée Clint 2017/Testalonga」
じわじわ押し寄せるコク、エキス感、これクセになる。
●ハモ
梅大葉 玉ねぎブイヨン バジル
弓削牧場チーズ オクラソース
淡路島のハモしゃぶにみる組合せ(ハモ・玉ねぎ)が、シェフの手にかかるとこうなる。
「ハモのつくねみたいやね、って和食料理人に言われました」と
何とも自然体の新屋シェフ(笑)
その身には、細かく刻んだ梅や大葉を忍ばせていて、
ハモの力強い旨みが、時折ふわっと軽やかに。
オニオンスープ、これが奥深いテイストなんだ。
「弓削牧場」のフロマージュ・フレを添えれば
すっと清新な風味に。
●コーベビーフ
2種調理 ラムシン クリ
ニンジンマスタード ゴボウ マッシュルーム
何も足さないこの潔さ。新屋シェフらしい。
ラムシンは、すっと歯が入るやわらかさ。
細かなサシから滲み出る甘みにヤラれた。
こちらは噛めば噛むほど広がる上品な旨み。
弾力がありながらきめは細かい。
ニンジンマスタードの優しい甘みとピリっとした辛味、いいアクセント。
クリの赤ワイン煮込み。ややしっかりとした繊維質ながら、
ほろり崩れゆくやわらかさ。
肉のエキスとゴボウの風味が、互いを引き立てあっていた。
●プラム
チョコレート シャインマスカット
どっしりとフランスを感じる、重厚なガトーショコラ。
心震える、どこまでも官能的な味わい。
余談だけど、このガトーショコラはフランス・ゲラン家に伝わるルセットだそう。
「 ゲラン家のガトーショコラを作り続けているのは
三谷さん(三谷青吾さん)と僕くらいじゃないかな」と新屋シェフ。
三谷青吾さん(レスプリ ミタニ・ア・ゲタリ)といえば、
フランス・ゲラン家の専属料理人だったことでも有名。
新屋シェフが“オーバカナル”でスーシェフを勤めていた当時、
三谷さんはシェフだった。その繋がりにより味を継承したのだろう。
「これからも作り続けたい」と、シェフはにこやかに話してくれた。
アスティエ・ド・ヴィラットの食器に見惚れてしまう。
ハーブティーで〆となりました。
シンプルでありながら、食材の本質的な旨みを最大限に生かした料理の数々。
そこには、新屋シェフにしかできない、削ぎ落とすなかの凄みがあった。
人気アパレルブランドのデザイナー・新屋さんの弟さんご夫婦とタッグを組む店づくり。
目に入るものすべてが、唯一無二の空気を醸し出していたのでした。
「mucu 新屋食堂」
大阪市西区靭本町1-15-18
06-6447-1102
open :18:00〜20:30LO(日曜12:00〜14:30)
close:月曜・日曜夜
KD sings Hallelujah at Olympics