鶴橋某所。「韓味一 別館」
42年の歴史に幕を下ろした「韓味一」が
奇跡の復活を遂げたのは19年2月のこと。こちら別館は
韓国調理技能士1級の免許を、女性で初めて取得した
創設者である朴 三淳さんが、週に1度だけ開くレジェンドな店だ。
完全紹介制で、営業は木曜のみ。1日1組限定(4名以上〜14名迄)
連絡先は非公開につきご了承ください。
韓国に古くから伝わる宮廷料理の凄み。
まずは「今から前菜がテーブルのうえに20種以上並ぶからネ」と三淳さん。
毎度なみんな、テンションmax
▶︎自家製キムチ
カクテキ、白菜キムチ、キュウリのキムチ。
いずれも辛味のなかに、澄んだ甘みや深い旨みを感じる。
長芋キムチは、シャクッ、食感楽しく清々しい味。
▶︎あわび粥
艶やか。ハフハフ頬張ればじんわりと深みある味。
五臓六腑に沁み渡るね。
▶︎チャプチェ
具がたっぷり。しかも端正な味。
「ビールはお腹張るから控えめに」と言われてはいたものの
案の定、杯が進むのだ(笑)
▶︎ナツメと栗の甘辛炊き
この皿にも唸ったなー。栗は香り高く、清々しい甘みを蓄え
ナツメを齧れば、リンゴを煮たような芳醇な味がひろがる。
▶︎九節板(クジョルパン)
中央にあるクレープ(ミルジョンビョン)にナムルや牛肉を包みいただく。
五色(赤・緑・黄・白・黒)の食材を用い、美しい。
いずれも丁寧に作られた味わいがあるのだ。
▶︎カルビチム
牛カルビは骨離れすこぶる良くホロリ柔らか。
そのエキスが浸透した大根や人参、これには唸った。
▶︎鰻 蒲焼き
蒸した後に焼きあげている。その身はふぁふぁ、
濃厚ながらもすっきりとした後味のタレが絡む。
▶︎金目鯛の煮付け
厚みある身、脂のりすんごい。
とろみのあるソースは濁りがなく、どこまでも清らかな味。
▶︎高麗人参の刺身
檜のような清々しい香りが、鼻腔を突き抜ける。
好みで蜂蜜をかけて味わえば、
高麗人参そのものの甘み、キレある酸味が浮かび上がるの。
▶︎和牛ホホ肉
醤油やニンニクで浸けた和牛ホホ肉は、肉そのものの味が濃い。
これをアテに飲み続けていたいナ。
▶︎ヤンニョムケジャン
ワタリガニ醤油漬け。その熟成感に酔いしれる。
▶︎鮮魚
済州島で採れた蝦夷鮑は海味濃く、
カンパチはピンピン、剣先イカはねっとり甘し。
芋焼酎湯割りをチェイサーに、マッコリへと続く。嗚呼、至福。
▶︎韓国かぼちゃ、人参、玉ねぎのチヂミ
サクッと齧れば、透明感ある生地の程よいねっちり感
各野菜のやさしい甘みがじんわり。
ほうれん草ナムル、端正だ。素材感くっきり、清新。
炒り銀杏まで登場するもんだから、マッコリとともにまったり。
そしてここまでが前菜という驚愕。
▶︎神仙炉(シンソンロ)
38種の食材を入れるという。
三淳さん自ら、取り分けてくださる。
魚や牛肉、肉団子。
牛の内臓は小麦粉をはたいて焼いた後、入れてるのか程よいとろみも。
さらにセリや長ネギなどの野菜、アワビ、エビなどの海産物、
銀杏、クルミ、クコの実、松の実…。
各素材のエキスが複雑に絡み、
濁るどことかその逆で、透き通った旨みを放つ。
これがね、震えるほど滋味深い。
▶︎佐賀牛リブロース
程よい加減のタレが絡むリブロースは、
ほろり舌の上で解け、ハッとするほど味が濃い。
満腹中枢どこへやら。
▶︎蔘鶏湯
必ずサイズを指定し、仕入れる鶏肉。
三淳さんの仕込みに対する想いをじっくり聞きながら
お料理をいただくのが本当に楽しくて。
高麗人参はじめ栄養価が高い、韓方食材がふんだんに使われ
心の奥底にまで染み入る、どこまでも深い味わいに感動。
一子相伝の蔘鶏湯は、三淳さんの息子であり弟子であるハジメ氏が営む
「韓味一 朴邸」と「韓国食堂 入ル」でも味わうことができる。
以上、目眩く韓国宮廷料理の世界。
三淳さんは、自転車で鶴橋市場を行ったり来たりし食材を仕入れ
2日もの時間をかけて仕込むという。
味わい深さはもちろん、その馳走の心に、感銘を受けっぱなしでした。
親子であり師弟である、三淳さんとハジメちゃん。
美味しいと喜んでくれるお客様を想いながら
何日もかけて仕込み、料理を作り上げる
三淳さんの料理人としての生き様、そして
母を尊敬している息子、その師弟関係にうるっと来たな。
三淳さんとハジメちゃん、ありがとうございました。
「韓味一 別館」
※完全紹介制
<姉妹店情報>
「韓味一 朴邸」(大阪・靱本町)
「韓国食堂 入ル」(大阪・福島)
「韓国食堂 入ル 坂上ル」(東京・恵比寿)
Rest in peace…
Roxette - Sleeping In My Car