某所にて。
念願の鶏すきに出合えた。
それはまさに、
奇跡の鶏すきだった…。
創業35年以上の老舗。
営業は10月から4月末まで。
その理由は後ほど述べるとしよう。
ご常連ファーストゆえ(予約は常連がほぼ100%、しかも予約困難系)
店名は控えさせて頂きます。ご了承ください。
奇跡の鶏すき物語。
まず、朝びき鶏ムネ肉のたたきが登場。
ハリとツヤがあるなー。
上賀茂のネギを包み頬張れば
シャクッ、イキイキしてるねー。しかもなんて清々しい風味!
あらゆる部位を盛り付けた大皿、登場。
なんて艶やか。
上賀茂のネギ、舞茸、糸こん、豆腐、
丸葉ではなく葉先が尖った春菊など。
長年付き合いがある生産者から届く、生命力強そうな食材たち。
そして女将さんがつきっきりで、鍋の采配をとってくださる。
鍋に鶏脂を引き、各部位を丁寧に並べる。
調味は三温糖と醤油のみ。
女将さんの心温まる話を伺いながら、
ご常連も、私みたいな新参者も言われるがまま。
淡路の玉ネギも入り、弱火でクツクツ。
水分多そうに見えるが、鶏からでたダシと野菜の水分のみという驚愕。
菜箸で優しくトントン、と女将は頃合いを見極めつつ「さあ、いけるわよ」
皮はブリンブリン、弾力あるわ。味くっきり、甘い。
群馬の糸こん、ジャクシャク食感、鮮烈。

ビールと日本酒、そして麦焼酎湯割りへと続く。
女将さんの間合いがまた素晴らしいの。
鍋の空いた場所に、次の食材が入り…
いただく私たちは、まるでわんこそば状態。
舞茸は香り高く、
エノキはご一緒した浦風親方曰く「なぜかバターの風味がする!」確かに!
キンカンは濃厚だし
「産道」なんて希少部位も。
ホロリ崩れゆく繊細なテクスチャー。
後半戦。厚みもハリもある白菜だこと!
「オレンジハクサイを食べて欲しかったんだけど」と女将は言うが
いえいえ、定番の白菜でもじゅうぶん、香り高く、味に凝縮感がある。
鶏肉の感動はもちろんのこと
肉が主役の「すき」系料理で、ここまで野菜に感動することって私的には稀。
そして春菊へと。
葉の切れ込みしっかり。
肉厚で香りすこぶる高く、軸の美味しさったら(絶句)!!!!
この日、最も感動した野菜かもしれない。
黄そばが入り
あらゆるエキスと、まろやかな甘み
上品な旨みが、黄そばの芯にまで浸透。
これはもうね、別腹作動でした。
まさにこれは「魔法の鶏すき」と言わざるを得ない。
砂糖と醤油のみだと濃そうに思われがちだが
調味料と素材の個性が渾然に。
そして、どこまでも滋味深く、異次元の味わいなのだ。
「食べるほどにお腹が空く」この感覚、いつ以来だ!?
そして、デザートをいただき終了となったのです。
女将さん曰く
「ウチが半年しか営業しないのはねぇ、
野菜がもっとも美味しい時にだけ、お客さんに来てほしくって。
だって、旬も名残も過ぎてしまって
“あれ?ここの鶏すきてこんな味やった?”ってがっかりさせたくないし、
美味しいって言ってもらえるのが一番嬉しいから」としみじみ。
だから10月〜4月末という潔さ。
まるで絶頂期に解散したBOØWYのように
この鶏すきは、ずっとずっと味の記憶に、そして心の中に残るのだ。
ご常連・まーじー、
そして大阪場所で監禁生活だった浦風親方、
若さま、ヨミキムさん、きよちゃん
ありがとうございました☆
Dexys Midnight Runners - Come On Eileen