西尾シェフが放つ穏やかな空気、
彼の料理も、それに合わせるナチュラルなワインも、
BGMも空間も、その全てがピタッと調和がとれた、
この空間に身を置きたくて、
ひとり「gucite」。
シェフ目の前の、フルフラットなカウンター席。
仕事も遊びも関係ない、ゆるーい空気が気持ちよく
逆にそんなシチュエーションだと
驚くくらいオモロいアイデアわいてくる。
▶︎木更津の水牛モッツァレラ ガスパチョ
モッツァレラは張りあり、コク深くも清々しい後味。
ガスパチョはパンではなくアボカドでとろみを付け、
フランボワーズ・ビネガーや、赤ワインビネガーで締まりある味に。
そのキュッと広がる酸味で、胃が開いた(笑)
Sgass 2018 / Il Cavallino di Maule Sauro
アンジョリーノ・マウレのお弟子さん。
レモンスカッシュ的、気持ちよさ。
▶︎〆鯖のブルスケッタ
酸強すぎない〆加減絶妙。
サルサヴェルデの香り、ピエモンテ産白カビチーズのまろやかなコクと共に
質朴な風味の田舎パンがしっかり受け止める。
スロヴェニアのオレンジワイン、青背に合うわー。
「Rebula 2018/Kmetija Stekar」
▶︎ピエール・オテイザ キントア豚ロースのロースト
ひゃー。キントア豚、お久しぶり。
融点低い脂だから、コクある脂は舌の上でスッと溶けて消える。
キメが細かいし、肉本来の香りが、なんとも外国的。
ピエモンテの味・トンナートソース(ツナのソース)とともに。
ワインは「Langhe Rosso 2017 Principiano Ferdinando」
▶︎イワシのヴェネツィア風
ヴェネツィア的に、玉ネギたっぷ〜り、透き通った甘みがいいね。
レーズンや松の実がいい仕事してる。
ワインは同郷、アンジョリーノ・マウレの「SASSAIA/Angiolino Maule」
大好きな生産者。飲み続けていたいー。
▶︎木下牛 ミンチ肉のカツレツ
スキッとした肉の旨みに、
こんもりとしたトマトソースの実直な味わい。その合わせ方が見事。
ラングドックのシラー「Lou Gressac 2017/Gressac」が
カツレツのジューシーさに合うねー。
なんと言うかトマトのフレッシュな酸味に、シラーがコクを与え、
ソースが完成する、と言う西尾シェフならではの合わせ技。どの皿もそうなのだ。
▶︎セビチェ
セビーチェとも言う。元々はペルーやメキシコなどで名物の魚介マリネ。
カツオたたき、剣先イカ、ホタテ貝柱など魚介は、存在感ある味。
パクチーや焼きトウモロコシの香りと、
レモン&ライムの柑橘系酸味、カラブリアの唐辛子のピリリとしたアクセント
それらのバランスにただただ唸るしかない。
アルザスのリースリング
「Riesling S'Ge-lt 2018 Christian Binner」
どことなく塩気、そして柑橘の皮っぽい苦味がほろり広がる。
セビチェのドレッシングと呼応する感じ。
▶︎鱧フリット スープ・ド・ポワソン
ギリギリの塩味。
だから、鱧の夏らしい香り、スープのエキス感がくっきり浮かび上がる。
目の前ではさっきから、ずーっとこの光景。
じーっと眺めながら、ナチュールなワイン進む(笑)
▶︎木下牛 トウガラシ・ウチモモ
トウガラシ(トンビ)。赤身の旨み、深いねー。
噛むほどに、少し酸をも感じさせるすっきりとしたジュが滲み出る。
ウチモモは、赤身が多いと見せかけて、すっとキレイな脂の甘みを感じるの。
万願寺唐辛子が夏の香りを放ち、
赤ワインビネガー・ミントの風味を生かしたソースでキレある後味。
▶︎タヤリン ホロホロ鳥とパプリカのラグー
タヤリンの繊細な食感とコシ、相変わらず素晴らし。
ホロホロ鳥らしい風味、パプリカの甘やかな風味が、全体をまぁるくまとめ上げる。
ラングドック・ルーションの「Octobre」。
摘んだばかりのイチゴのような、華やかな風味が
パプリカの清々しさとピタリ、でした。
西尾シェフに身を委ねつつ、ワインのペアリングに唸り酔いしれた。
ナチュラルワインを合わせてこそ、西尾シェフの料理は完成すると言うか。
そのセンスに、毎度のことながら脱帽。
たまたまお隣に居合わせた
穏やかで楽しいご常連のご夫婦との出会いも嬉しかった。
夏のうちにまた、おじゃましたいと思う。
「gucite (グシテ)」
大阪市北区天満2-7-1 末澤ビル102
☎06-6809-7376(要予約、基本的にワインを飲める方のみ)
open :18:00〜24:00LO(日曜は14:00〜22:00)
close:木曜、月1回不定休
Sun Kil Moon - Gentle Moon