この日は神戸遠征。
シェフ・ウエヤマチイさん率いる
「HAKKEI Restaurant」へ。
ウエヤマ氏のキャリアは言うまでもないが
パティシエから料理人へ転身。
日本料理「祇園 大渡」やイノベーティブ「祇園 呂色」などを経て現職。
兵庫というテロワールを皿の中で縦横無尽に表現する
彼女のクリエイティビティに、ワタシは惚れ込んでいる。
コースのスターターは「スギナ茶」。
ふくよかな味わい。胃がじんわり温まる。
「Maurice Vesselle Champagne Brut Grand Cru」でシャン杯。
▶︎豊岡シルクコーン 茶碗蒸しの仕立てで
豊岡のシルクコーンをムース状にしたものが最中に入る。さらに
ウォッシュチーズ西京漬け、昆布だしのナパージュ、
アマゾン カカオニブという複雑ながら
それぞれの甘み、香り、清らかなうま味、苦味などが時間差で主張する。
散らした青柚子の爽やかな余韻が心地いい。
▶︎フォアグラテリーヌ ぬた和え シナモンのチュイル
仏・ヴァンデ産のフォアグラは、生醤油(きじょうゆ)でマリネ。
グレープフルーツとわけぎは、平飼い卵、白味噌でぬた和えに。
和洋のニュアンス、そのバランスが秀逸なの。
チュイルは、シナモンの香り強烈。インパクトのある一皿。
ワイン酵母を使った純米生酒
明石・西海酒造の「空の鶴」と共に。
甘めの白ワインに通ずる、ふくよかな味わいがフォアグラに合うのだ。
▶︎ノーザンルビー すり流し
冷製の椀物だ。
淡路のハモのアラ&骨からとったダシでのばしている。
透き通った旨みが広がり、トマトジュレの酸味とのバランスよく
三田じゅんさいの存在感に圧倒されたね。
日本酒は岡田本家(加古川)。濃醇で旨みたっぷり。
「ヒヨリブロート(丹波)」のパンは、静かなるオーラを放つ。
▶︎淡路島 鱧
「ハモ天です」と供されたそれは、
淡路の鱧、その身をベニエの手法で揚げに。
かつおダシで味を含ませた冬瓜、プラムのピュレ、
ナスタチウム、オクラのグリル、ディルとともに。
鱧=梅肉ではなく、プラムのピュレの
キュッと響く酸味と香りが素晴らしかった。
鱧にはリースリング、ということで、Markus Molitor(ドイツ)
潤潤としたミネラル感が心地いい。鱧の清らかな風味にマッチ。
▶︎丹波 夏鹿
鹿肉は低温調理の後、藁で燻して。
この肉も清いなー。噛むほどにピュアな旨みが溢れ出、
煮出したゴボウのグリエ、その土っぽさと共鳴。
リンゴチャツネや、木苺のニュアンスのソースで味わいに広がりが生まれた。
夏鹿には「来楽 -Rairaku-」を。(明石・茨木酒造合名会社)
兵庫県産 北錦を使用。
▶︎鯛めし
山田錦(2年熟成)を明石鯛のあらからとったダシで炊いている。
粒感を残したリゾット的、鯛めしに
擦ってシャキシャキ感を残した大和芋、朝倉山椒、クミンの香り。
食感や香りの繊細な合わせ方に、もう惚れ惚れ。
鯛めしにL'Arcoとは!その妙味に酔いしれた。
「L'Arco Amarone della Valpolicella Classico2015」
▶︎姫路・坊勢島(ぼうぜじま)のマナガツオ
マナガツオ幽庵焼きに。
万願寺唐辛子 甘酢漬けのピュレ、その苦味と
鳴門オレンジのフレイバーに浸したおかひじきの柑橘の風味
八丁味噌のコクが行き交う。
「Sancerre 2018 Comte Lafond」と共に。
▶︎水餅
どの皿からも潔さが漲っている。千種川源水を水餅に。
豊岡のブドウ(初獲れ)煮詰めたソース
きゅうりのソルベ、淡路マイヤーレモンで、清々しい。
▶︎美方・田村牧場 但馬牛サーロイン すき焼き
低温調理の後、炭火焼きに。グッと脂のコクを感じる優美なサーロインに
青梅の割下を合わせたすき焼きとは!(脱帽)
卵黄マハグリ醤油、稲美町のアスパラガス浅漬けで、
一皿の中の表情の変化が楽しい。
そしてデセールへと。
▶︎丹波・白桃 みつ豆
黒豆、レモングラスの寒天、白桃と赤桃のソルベ
山廃仕込みの酒をベースにしたフロマージュブラン、山葵。
▶︎小菓子
・但馬の栃の実をベースに求肥を作り、丹波産グルーベリー、
クリームチーズ、ホワイトチョコを包んだ一品
・ほうじ茶のフレーバーをつけた、丹波黒豆のフロランタン
宍粟郡のカキドオシ茶と共に、ホッと〆。
主素材の存在感を際立たせつつ、
和洋のテクニックやニュアンスが行き交う、そのバランス感覚が素晴らしいの。
2度目の「HAKKEI」だったが、やはり発見多々。
兵庫の、まだ知らなかった生産者や食材のストーリーを
ウエヤマ・シェフのクリエーションをもって、愉しませていただきました。
「HAKKEI Restaurant」
兵庫県神戸市中央区加納町4-8-17
078-515-6522(問合せ専用)
open :12:00〜、17:30〜・20:30〜
close:不定休