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「2025年 大阪・関西万博」会場でレストランをするならば…?

2025年の「大阪・関西万博を」テーマに
若手シェフたちが料理を創作する、
2日間限定のレストランが開かれた。
@大阪・中津「OSAKA FOOD LAB
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参加シェフ(左から)
・コムニコ(イノベーティブ)堀田大樹さん
・幽玄(日本料理)三船桂祐さん
・ディファランス(フレンチ)藤本義章さん
・アニエルドール(フレンチ)藤田晃成さん
・昇六(日本料理)下田正人さん
・靭本町がく(日本料理)今川岳さん
・RiVi(イノベーティブ)山田直良さん

7人のシェフたちに投げかけられたお題は
「2025年大阪・関西万博」会場で
レストランをするならば…?
万博のテーマである「SDGs」も
意識しながらのコース構成。

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大阪ならではの食材を用いた
ジャンルの異なるシェフたちによる
唯一無二のセッション。
じっくり紹介するとしよう。(めっちゃ長文失礼;)
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▶︎最初の一皿【幽玄・三船桂祐】
主食材:松波キャベツ、泉州鳥貝、赤貝
副食材:泉州新玉ねぎ、つくし
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松波キャベツと貝類からなる「すり流し」は
優しい甘みとエキス感がいいね。
松波キャベツは、すり流し、焼き、湯がき…と
3種の加熱法で。
舌の上にふわっと春が広がった。
器:小坂大毅(京都)染付芙蓉手

改めて地産地消について考えた、と三船さんは言う。
「地のものを使うことで生産者を応援したり、
交流が増えることは、豊かな地域社会を作っていくことにつながると思います」と頼もしいお言葉。

ペアリングもナイスでした。 
微発泡かつフレッシュな口当たり。
「春鹿」純米吟醸活性にごり生酒 しろみき(奈良市・今西清兵衛商店)
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▶︎冷菜1【靭本町がく・今川岳】
「ワタリガニの昆布巻き」
主食材:泉州のワタリガニ 八尾若ごぼう
副食材:三島独活(茨木)
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ワタリガニほぐし身は、 
殻からとった濃厚な出汁で和えている。
コンフィにした若ごぼうの根、
フレッシュな若ごぼうの軸&三島独活と共に
白板昆布巻きに。
この時季ならではの旨みと香り、
食感の楽しさ、さらには
梅干しの風味をきかせた煎り酒ジュレが
清々しい和音を奏でた。
器:中尾万作(大阪・狭山) 笑門福来

「今回は、普段はしない味の足し算、
重ね方をしようと思いました」と岳さん。
さらには「SDGsと、大阪商人の始末の心は、
繋がるのもが大いにある」とも。
ワタリガニの殻も使い切り、  
ごぼうの根や軸も無駄にしない。
さすが浪速割烹でキャリアを積んだだけあり
始末の心を随所に感じさせていただきました。

ペアリングは「富久錦」生酛 純米大吟醸(兵庫 加西市・富久錦酒造)
重さを感じず、むしろ心地いい酸が広がった。




▶︎冷菜1 【ディファランス・藤本義章】
「ワタリガニと若ごぼうのサンド」
主食材:泉州のワタリガニ 八尾若ごぼう
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クリスピーな生地は若ごぼうの根っこからできている。挟まれてるのは…
蒸したカニ身、コンフィにした卵、
ミソと殻からとった出汁のムース。

ザクッと香ばしく、カニの複雑味がブワッと押し寄せ、
フロマージュブランの爽やかさで、着地点はフランス。
ワタリガニと若ごぼうを余すところなく、そこに
藤本シェフならではのクリエーションが光る。
「河内ワイン」金徳葡萄酒 シャルドネと共に。


藤本シェフ曰く「関西の食材がテーマのなか、
あえてフロマージュブランなどフランス産の素材を使い
自分自身のフランス料理に対する憧れや尊敬の気持ちと
関西が世界と繋がるイメージで作りました」。
考え抜かれた逸品たち、続きます。



▶︎温菜1 【アニエルドール・藤田晃成】
「五味と五感と調和」
主材料:なにわ黒牛 蕗の薹
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湯葉のチップスの中には…。

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56℃のブイヨンでゆっくり熱を入れた、
なにわ黒牛のラムシン。
中に閉じ込めたタルタルは、
汲み上げ湯葉のペーストと白味噌、
細かく刻んだ蕗の薹。

まさに五味と五感!
なにこの緑の球体?ってまず視覚に飛び込み
春の香りが嗅覚を刺激。湯葉のパリッと食感、
低温調理がなされたラムシンの繊細なテクスチャー。
感覚が研ぎ澄まされる感じがしたし
昆布と赤ワインを使ったソースの 
ぐっと深みのある味わい
とてもバランス良かった。
器:和田山真央(和歌山・加太)


藤田シェフの料理と共に、ワインは
「仲村わいん工房 がんこゴールド」
(大阪 羽曳野市・仲村わいん工房)
この深みのある味、まぁるいタンニン…ソースのコク深い味わいとピタリ。




▶︎温菜2 【コムニコ・堀田大樹】
「待春の黒牛 希望の香り」
主食材:なにわ黒牛 蕗の薹
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「フードサスティナビリティの観点から、圧倒的に使用頻度の少ない
 スネ肉を使いました」と堀田シェフ。
そのスネ肉は、トゥルンと舌の上でとろけるー。
軽く煮詰めたブイヨンに、油脂分と酒粕、刻んだ蕗の薹を忍ばせたソース。
蕗の薹の香りを移したミルクの泡に、
春の到来、大地の息吹を感じ、
草を喰む牛さんたちの牧歌な光景が脳裏をよぎった。
器:高田志保(京都) 浅鉢七寸


アルコールペアリングは
「仲村わいん工房 ゴールドさちこ」
(大阪 羽曳野市・仲村わいん工房)
ソーヴィニョン・ブラン主体のブレンド。
仲村わいん工房のワインは、 
やっぱ存在感ある美味しさがある。


気づかれた方も多いはず。
同じ素材を使った、
シェフたちの創造が繰り広げられたのだ。
どの品も、考え抜かれた背景やアプローチがあり、
想像をはるかに超える料理ばかり。



▶︎〆1 【昇六・下田正人】
「伝助穴子の三箇牧トマト五色あんかけ」
食材:伝助穴子、三箇牧トマト、紀州うすいえんどう、三輪素麺、湯葉
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おかきの衣をつけ揚げた伝助穴子は
ザクッと香ばしく、中はふっくら。
素揚げにした三輪素麺の食感も楽しい。
三箇牧トマトの爽やかさ、出汁の旨みで
コース終盤の揚げ物をさっぱり楽しませてくれた。
器:唐草牡丹蒔絵椀

伝助穴子の骨を干し、焼きおかきと一緒に
粉砕して衣にするなど
下田さんならではの始末の心も、料理の隅々に。

ペアリングは「吉野杉の樽酒 雄町 山廃純米酒」(奈良・長龍酒造)
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吉野杉の柔らかな樽香がふわっと広がった。




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▶︎〆2 【RiVi・山田直良】
「煮穴子と三箇牧トマトのごはん」
主材料:伝助穴子、三箇牧トマト
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穴子は、紹興酒、赤ワイン、マデラ酒、
バルサミコなどを使い煮穴子に。
ご飯とのバランスもさすが。
穴子のアラやセミドライにした三箇牧トマトの
繊細な旨みが生きている。
和洋のエッセンスが行き交う、
ワインを欲する味わいだから
「大阪府太子町のまもんワインの
デラウェアオレンジ2020」
(オレンジワイン)のエキス感が
心地よく寄り添っていた。


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三箇牧トマトの出汁茶。
この時期ならではの、
三箇牧トマトの初々しい味を生かしてるね。
爽やかな酸味、清々しい旨みが凝縮。

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そして出汁茶漬けへと…。
食べるほどに食欲が増す感覚でした!
器・コップ・湯のみ、共に和田山真央さん作(和歌山・加太)

見た目は日本食だけど、技法は西洋というのが山田シェフらしい!
「まるで昔大陸から伝わってきた文化が、
また新たな文化として発展し、発信する食文化は
過去から未来へ繋がる文化だと信じています。
日本・関西・大阪から未来へ繋がる食文化を
発信できればと思います」と、 
山田シェフは目を輝かせていた。



ラストは7人のシェフによるお茶菓子。
テーマは「関西の柑橘」
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(左から)
▶︎八朔とフェンネルのわらび餅【RiVi・山田直良】
▶︎編笠柚子と蓬生麩のみたらし【昇六・下田正人】
▶︎大和橘のフィナンシェ   【コムニコ・堀田大樹】
▶︎八朔と人参のボンボン   【アニエルドール・藤田晃成】
▶︎菜の花と清見のタルト  【ディファランス・藤本義章】
▶︎伊予柑の黒ビールフリット 【靭本町がく・今川岳】
▶︎大和橘の羊羹       【幽玄・三船桂祐】

月ヶ瀬健康茶園 春摘みの和紅茶で〆。


久々にコラボで感動!素晴らしいコース展開でした。
しかも7人のシェフたちの!
予定調和な料理が一切なく、
日本人として、彼らが関西から発信するがゆえの
独創が随所に。料理ジャンルを超えつつ、
彼ら独自のアイデンティティを感じる
「関西料理」といったところか。
三本の矢…ではないけれど、
いい意味で仲がいい、
関西の料理人たちがタッグを組むと、
新たな創造が生み出されるなと実感した。

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このイベントは、「大阪・関西の食の魅力を発信しよう」と
食創造都市・大阪推進機構(大阪商工会議所と(公財)大阪観光局)が企画。
同機構のマーケティング&PRディレクターを務めるのが
「Office musubi」代表・鈴木裕子さん。曰く
「キャンセルすべきか、ギリギリまで議論を重ねました。
当初予定の1/5程の規模で、昼夜の2部制、完全招待制。
かつ個食、黙食で。考え得る感染症対策を全て行いながら、
国や大阪府からの視察も入りつつ」実施したという。

このポップアップイベントは、大阪・関西万博に向けた第一歩だと実感。
コロナが落ち着いたあたりに。
ぜひまた、彼ら7人によるコラボレーションを実現して欲しいと切に願うし、
さらなる企画も楽しみにしています!


【食創造都市 大阪推進機構】
https://www.facebook.com/syokuosaka

【OSAKA FOOD LAB】
https://www.facebook.com/osakafoodlab/
https://www.osakafoodlab.com/


by writer-kaorin | 2021-03-06 11:31 | =取材= | Comments(0)  

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