兵庫・三田「こにし家」
この日本料理店をめがけて、わざわざ客は三田へやってくる。
そして、食の同業者のファンも多い。
この日は、春の訪れを告げる「うど」を味わう会が
「こにし家」で開かれた。
三田では、100年前からうどの栽培が盛んらしい。
なかでも、稲刈りを終えた田んぼに、ワラで「うど小屋」を作り、
伝統的な手法でうど栽培を続ける生産者がいる。
これめっちゃ、青空レストランか、旅サラダに
ぴったりのシーンやん(笑)
「こにし家」の小西くみこさんが手に持つ「うど小屋の三田うど」。
ハウス栽培のうどが約1ヶ月の栽培に対して、
「うど小屋の三田うど」は2ヶ月を要する。
小屋のなかで育てるのだが、米ぬかとワラ、干し草、水を発酵させた
「発酵熱」を使い、じっくり栽培するんだとか。
うど小屋で、昔ながらの栽培を手がける生産者は、今やごく僅か。
「三田の伝統を守り、次世代へつなぎたい」と立ち上がったのが
「こにし家」をはじめとする、市内4軒の飲食店やバーの店主たち。
トップバッターは、「こにし家」の主人・熹志侑紀但(きしうきただ)さんと、
若主人の小西智充さん。
「まずは、フレッシュなうどの味わいをお楽しみください」
▶︎生の三田うど 金柑 昆布だしのジュレ 木の芽
鮮やかな食感はもちろん、透き通った甘みにビックリ!
昆布だしのジュレのクリアな旨味が、うどの風味を際立たせている。
▶︎こにし家「三田うどの含め煮」
「三田なので、田舎風の味を」と若主人。
うどは皮を剥かず、油で炒った後、油抜きして出汁で煮たそうな。
こちらも清々しい味わい。切り胡麻の香ばしさがいいアクセント。
合わせる酒は
「山名酒造/木桶生酛 Yamana Sake Natural 純米生原酒」
口当たり美しい……。そこから木桶の生酛らしい、厚みのある旨みが追いかけてくる。
うどの清々しい味わいと、ほっこりとした美味しさに寄り添うねぇ。
お次は「Brasserie Agen(アジャン)」の佐藤卓さんによる一皿
▶︎三田うどのタルタル(帆立貝・蛍烏賊・蛤・蕗の薹)
うどは、さいの目切りに。
オリーブオイルで和えた魚介はねっとり旨み深く、
そこに、うどの小気味いい食感と香りが、和音を奏でる。
うど&はまぐりのブイヨンの泡が弾け、その爽やかな香りが心地よい。
レンゲ、カラスノエンドウなど野草と、
ビーツや、ベリーのソースで味の変化も楽しいね。
三田うどのタルタルに、この酒。
ペアリングが素晴らしかったなぁ……。
▶︎三田うどのサングリア
CAVAに、ローストした三田うどを漬け込んでいる。
ぶどう品種は、チャレッロ、マカベオ、パレリャーダ。
ノンドザージュの泡というのがポイントやね。
うどの香りがシュワっと広がる。
続いて、「La Cucina Italiana Trentuno (トレントゥーノ)」
藤本雅仁シェフ。
▶︎三田うど アサリのソース 春のオレキエッテ
手打ちオレキエッテにアサリと菜の花のソースが絡む。
うどは、ビネガーで和えたのと、フレッシュなものを
オレキエッテのサイズに合わせて。
しみじみ旨いなぁ。
むちっと食感のオレキエッテに絡むソースの優しい旨み。
うどのシャキッと感、時折キュッとくる
ビネガーの酸味が全体を引き締める。
合わせるワインは、大好きなヤツでした。
「Angiolino Maule Sassaia/ La Biancara di Angiolino Maule」
ラストは「Bar Cher Bucchs(シェール バッカス)」
吉岡雅紀さんによるカクテル。
▶︎インフュージョンうどウォッカ ショコラ
うどは、白ワインビネガーでマリネした後、ウォッカ漬けに。
ミルクと生クリーム、卵白をスロージューサーにかけ、
ウォッカ漬けうどを混ぜ込んでいるという。まさにインフュージョン。
ミルキーな甘やかさの中に、うど特有の香りが広がる。
グレナデン・シロップの赤をアクセントに使い、
うどの風貌も表現とは素敵だなぁ。
撮影し忘れたけど、スリランカ産カカオを使ったショコラと共に。
水出し玉露のまろやかな甘みに癒されたのでした。
皆さんのクリエーションに驚きました。さらに。「三田うど」のおいしい魅力を通して、
三田の食を盛り上げる、飲食関係者のアツさを感じたな。
今日、登場いただいたシェフやバーテンダーの店では
4月3日から2週間限定で、「うど小屋の三田うど」を使った特別料理を提供するという。
食の同業者がタッグを組み、
地域の食文化を未来へ繋げようとする取り組みに、エールを送りたい。
この地ならではの旨いを求め、
これからも三田へ、足しげく通うことになりそうです。
期間:4/3(土)〜4/16(金)
店舗情報: