京都遠征続く。この日は
平安神宮近くにある「cenci -チェンチ-」へ。
いつ以来?ってググったら、
坂本シェフとは、しょっちゅうやり取りさせて頂いてるものの
久々に味わうシェフの料理。それは驚嘆の連続でした。
レモングラス、エルダーフラワーはじめ
8種のハーブを用いたハーブティー。
花粉症でツラい時期に、これは嬉しい。
「Seconde Nature Rosé de Macération / Bonnet-Ponson」
ドサージュゼロ、亜硫酸無添加のシャンパーニュってのっけからテンション上がる。
柑橘のニュアンスと、シャープでピュアな味わいに、胃袋開く。
泡とグリッシーニと。
▶︎ペルシュウ
24ヶ月熟成のペルシュウは、香り高くどこまでも甘いんだ。
岡山・吉田牧場のリコッタチーズを詰めた自家製ブッラータは清らかでコク深く
ウスイエンドウのピュレに春を感じ、
はぁ〜っ、幸せのため息。
▶︎キャベツ 甘海老 自家製キャビア
蓋の上には、甘海老のタルタル・自家製キャビア・春菊の芽。
タルタルには刻んだシブレットと、
塩で乳酸発酵させた聖護院かぶらを和えている。
甘海老とキャビアの甘みが共鳴し、そこにかぶらの発酵香。
それぞれの個性くっきり、美しきハーモニー。
蓋を開けると…
鶏節と甘海老の殻からダシをとったスープが。
春キャベツの甘みと、鶏のうま味、細やかなエビの香ばしさ。
クリアかつ、しみじみ味わい深い。
「森臥-shinga- 2019 Bacchus」北海道・森臥ワイナリーより。
冷涼な土地らしい酸と、凝縮感ある旨みが
乳酸発酵のニュアンスにピタリ寄り添う。
▶︎花菜 岩魚 胡麻
岩魚は、岩手・八幡平より。1日昆布で〆、皮目のみ炭火で炙っている。
発酵柚子果汁で漬けた京都産パラペーニョや
白胡麻のペーストを混ぜたバーニャカウダと共に味わえば……。
艶やかなイワナは深い旨みを放ち、そこに
仄かな酸味や辛味が絡む、香ばしいバーニャカウダ。
菜の花やからし菜、空豆などの伸びやかな春の香りも心地よかった。
何ですか…この発想と、経験したことない味わいの広がりは。
感動の一皿を前にすると、言葉が出ない。そのときだ
「筒美京平に食べさせたい……」。Mさんから、名言いただきました。
「La Castellada Collio Sauvignon 2012」
伊、フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州より。
樽香と緑の香りが堪んない。
▶︎新玉葱 春野菜 白魚
島根・宍道湖の白魚フリットはサクホクッ。
黄色の粉はなんと!鮒寿司の飯のパウダー。
その発酵のニュアンスと深みある味が、淡白な白魚にすこぶる合うの。
ホワイトアスパラガスや独活、筍、酢漬け金柑、焼いた葉玉葱は
新玉葱のピュレ、木の芽のペーストと共に。
まわりに散らした新玉葱のパウダーもいい仕事してる。
複雑と見せかけて、それぞれの素材の表情がくっきり浮かび上がる。
チェコの黄金。シャルドネ、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、ピノ・ノワール。
コクのある樽感が、料理に深みを与えてくれる。
この日はワイン・ペアリングを楽しんだが、
名ソムリエ・マネージャー文屋さんの審美眼もすごいのです。
▶︎じゃがいも 北寄貝 酒粕 アーモンド
北寄貝は80℃のスチームオーブンで1分蒸してるそうな。
そのピュアな旨みに、肝を混ぜて冷やし固めて揚げたじゃがいも、
竹野酒造の酒粕と乳製品からなるソースの風味が共鳴。
「TERPIN CHARDONNAY 2013/FRANCO TERPIN」
まろやかな果実味が、貝やじゃがいもの旨みと合うわぁ。
▶︎椎茸 大豆 酒井さんの羊 蕗の薹
みごとな加熱。仔羊の優しい香りに、大草原の情景が浮かび上がる。
その肉質は肌理が細かい。
炭火で焼いた原木椎茸の旨みのインパクトもすごいなぁ。
羊ミンチ肉の煮込みには、大豆のピュレとすぐきのソースを添えて。
すぐきの発酵の香りや酸味が、ひそかに見事な名脇役。
「Numero 3 Bressan 2004」とは、これにも唸った‥。
優雅で気品に満ちた味わいが、
仔羊の初々しさにそっと手を差し伸べる。
この後はパスタ、リゾット3種から1種をチョイス、となるのだが
メンバー、満場一致で「全種類食べたい」ってことで3品(笑)
▶︎九条葱 河豚 からすみ 柚子 スパゲッティ
河豚はぷりんっと歯ごたえよろしく、広がるは柚子香の清々しさ。
塩気が穏やかな自家製からすみで、ほんのり豊かな味わいに。
ここでぐっと王道の味というのが緩急あっていいなぁ。
シチリア「Terzavia Metodo Classico」と共に。
▶︎行者にんにく トマト ホタルイカ スパゲッティ
ケイパーとトマトをベースに、トウガラシがいいアクセント。
ホッと心が和むねぇ。そこにアブルッツォ州
「Launegild Chardonnay De Fermo」がすっと寄り添う。
▶︎筍 マナガツオ 山椒 リゾット
ここにも坂本流・発酵の極意。それは
鮎魚醤と米麹、香茸(乾燥)を2日発酵させた「魚醤・米麹・香茸のソース」。
気持ち味薄めのリゾットに、発酵ソースが重なり、ぐっと味が伸びた。
ホクッとした筍が香り、マナガツオの優美な甘みが融合。
北海道「IRENKA PINOT NOIR 2018」のクラシカルな味わいに
お料理、最高のフィナーレ。
▶︎カッサータ
ダッグワーズ的 生地の中には、ピスタチオとアイス。
グリオットチェリーがキュッと引き締め役。
▶︎モロ アマゾンカカオ
宇和島のブラッドオレンジ「モロ」は
コクのある甘さとすっきりとした酸味。
カカオのテリーヌの濃厚さと重なり合い、清々しい後味。
▶︎苺 桜
滋賀の無農薬のさちのか、カスタードクリーム、
キルシュシロップに浸したタルトを散りばめて。
発酵させた苺ソースの、ぐっと広がる酸味とキレにハッとなる。
この発酵ソースが、春の甘酸っぱさや香りを引き締め、まとめ上げていた。
なくなっていくのが惜しいとさえ感じる皿の連続。
お世辞抜きで、全ての料理がそうだった。
どの皿にも発酵の技が生かされ、
複雑な中に、素材の澄んだ味わいが広がる。
なんというか、食材の個性を引き出す独創性、あっぱれ。
ワイン・ペアリングも有無を言わせぬバランスでした。
ここまで感動させてくれるって、
坂本シェフならではのクリエーションはもちろん
シェフとスタッフたちによる「チーム力」の強みだなぁ。
「cenci -チェンチ-」
京都市左京区聖護院円頓美町44-7
☎075-708-5307
open : 通常は12:00〜13:30LO、18:00〜20:00LO
※新型コロナウイルスの影響で、営業時間変更の場合あり
close: 月曜休、日曜不定休