緊急事態宣言前の、おいしいハナシ。
神戸・元町「Fusible」へ。
室之園俊雄シェフ、マダムでありパティシエ・ナオミさんが夫婦で営むレストラン。
二人共に、フランスほか海外でキャリアを積んできた国際派。
目に飛び込むもの全てが、センスあるの。
レストランなのに、お二人のおしゃれな自宅に招かれたかのような居心地。
アルコールとノンアルコール、両方ともペアリングあり。
もちろん私は前者にしたけど、
ナオミさん調合のノンアルコール、その味わいの広がりにも唸ったね。
スターターは、ソルティドッグ。
カルバドスの名門『クリスチャン・ドルーアン』が造るジン使用。
リンゴをベースにしたジンらしく
甘やかな風味とほんのり広がるスパイス香に、胃袋開く。
▶︎oyster
キウイ 海藻
軽く茹でた坂越の牡蠣はぷっくり、濃いエキス感。
キウイとライムの溌剌とした甘みと酸、海藻の海味という意外なハーモニー。
▶︎firefly squid
豆豉 レンズ豆
ホタルイカは豆豉炒めに。といっても、中華のそれとは違い
豆豉の香りとキレある辛み、さりげなく。
レンズ豆のサラダでホッと和み、
イカスミとお米の煎餅でさらにホッ。
「Vin de Frantz Rose / Frants Saumon」の優しいコクが
すっとなじむ感じ。
▶︎nanohana
八朔 貝のクリーム
カダイフで巻いた菜の花は、ザクッ。そのほろ苦さ心地よく
八朔の甘酸っぱさ、貝のエキス感が和音を奏で……そこにだ。
「MENTI 2019 /Roncaie sui Lieviti」
瓶内二次発酵させたガルガーネガに、八朔の皮で香りをプラス。
このナチュールが秀逸!
菜の花の苦味、柑橘の苦味と酸味が心地よく手をつなぐ。
素朴な風合いのパン、なんて味わいんだ。
▶︎sea bream
トマトスープ
明石の鯛。
スープは、鯛の骨と和歌山のトマトからダシをとった
とても伸びやかで爽やかな味わい。トゥルンとじゅんさい。
初夏の清々しさを感じる一皿。
スペインのナチュールと共に。
ハーブっぽい香りと華やかさが、料理にピタリ寄り添う。
▶︎escargot
えんどう豆 ブルーチーズ

エスカルゴを練りこんだコロッケは、ぐっと旨みを感じ…。
えんどう豆の甘やかな香りと、ゴルゴンゾーラの風味が重なり合い
優しくも深みのある後味。ここに合わせるは、ローヌの赤
「chat fou 2018/Eric Texier」。重たくなく、ふくよかな果実味ってのが好き。
室之園シェフ、目の前で、なかなかクラシックなお仕事を…。目が点になる。
▶︎beef pie
ポルト酒のソース
西区で育つ六甲牛、そのランプ肉、そしてフォアグラなどをパイ包みに。
ぐっと焼き色がついたパイ生地の、高貴な香りと一緒に
肉の清々しい風味が続く。
ポルト酒のソースはコクを感じながらも、
赤ワインビネガーやラズベリーを加えることで重たさ皆無。
「LES ESCURES MALBEC 2017/Mas del Perie」と共に。
ラストにこの存在感、印象深いエピローグでした。
続いて、ナオミさん作のデセールは
▶︎strawberry
ゼラニウム バジル
バジルアイスの香り気持ちよく、
ゼラニウムのハーブっぽいニュアンス、イチゴの香りのハーモニー。
ナチュール「TOHU BOFU」の木苺のような甘酸っぱさが、共鳴。
小菓子は、焼きたて!
ポルトガルの郷土菓子「パステル・デ・ナタ」
ザクッとしたタルト生地、カスタードクリームの優しいコク。
心もカラダも蕩けそうなくらい、心地いい食後感でした。
どの料理も、味わい、香り、膨らみや余韻がとても印象的。
しかも、室之園シェフならではの創意あり、郷愁あり
様々な感情を掻き立ててくれる料理たち。
ナオミさんによる、ワイン・ペアリングも考え抜かれたものばかり。
ハーモナイズという言葉がぴったりの、美味しい感動。
さらに、お会計で嬉しい驚き。
次の予約を取って、レストランを後にしたのでした。
「Fusible」
神戸市中央区北長狭通5-1-13 ベルビ山手元町1F
050-3204-3196
open:通常は[木・金]18:00~23:00、
[土・日]12:00~15:00、18:00~23:00
close:月・火・水曜
※2021/4/25(日)から2021/5/11(火)の期間休業(2021/4/29現在)
Keith Jarrett Trio - I Fall In Love Too Easily