京都・岡崎「日本料理 研野」
この日は1回転目に訪問。
ワクワク……暖簾をくぐる瞬間のこの気分、
やっぱり外食っていいなと再認識する瞬間。
店主・酒井研野さんが解釈する日本料理。それは
「日本人にとって馴染みがあるもの」や
「これから馴染むであろうもの」だという。
さすが、「菊乃井」で伝統をみっちり学び、
ニューヨークの日本料理店で経験を積み、
「LURRA°」でイノベーティブの創造を、さらには
中国料理「京、静華」の店主・宮本静夫さんに弟子入りされただけある。
視点がひと味もふた味も違う。
■冷や汁
白味噌ベースの汁に、胡瓜や茗荷のシャキシャキ感たのしい。
お米や大麦のプチプチ感、鮎一夜干しの旨みが響きあう。
この冷たさ、うだるような暑さのこの日にぴったり。
主食は豚肉のワタシにとって、堪らんこの光景……。
■叉焼
八丁味噌の味噌床に漬けた叉焼を炙って。
ふくよかな旨み、ほんのり広がる唐辛子やクミンの風味がいいね。
赤玉ねぎの甘酢、新蓮根の甘酢とともに。
見事に、和と中のエッセンスが融合している。
■白とり貝 ミズ(山菜)
軽く炙った白とり貝は、塩とスダチでその甘みが際立ってる。
研野さんの故郷・青森から届いたミズの、
シャキトロッとした独特の食感が楽しく、
だしでさっと炊いたワカメ、土佐酢のジュレで味わいに膨らみも。
■明石 アコウ
艶やか。口に含めば、じわっと上品な旨みが広がる。
マルドンの塩、とともに味わえば、その甘みが引き立ち、
鯛の肝醤油にちょんとつければ、あゝ酒を呼ぶ。
これ以上、ネタバレさせたくないから書かないけど
料理に合わせた選曲も、ナイスなの
■伝助穴子と松茸の椀物
だしは優しく、深みのある味わいだ。
鱧ではなく、伝助穴子のくず叩き。
ふわっとろ、その繊細なテクスチャーと
初々しい秋の香りが和音を奏でる。
■鱧寿司
シャリにすぐき菜を混ぜていて
さっぱりとした後味がいい。
■夏野菜の冷やし炊合せ
賀茂茄子、万願寺唐辛子の揚げ浸し、
ニガウリ、冬瓜、ミニチンゲン菜、それぞれ
和だしや中華のエッセンスなど、味の含ませかた様々。
だから、ひと口ごとの味わいの広がり楽しく、
大根おろし・ネギ・生姜を混ぜただしのジュレが、見事なつなぎ役。
■ソフトシェルクラブ
まさかメインにソフトシェルクラブ、登場とは!
豆板醤など中国の調味料を用いたチリソースながら、
上賀茂トマトや薬味がいい具合に融合。中国と日本が行き交う不思議。
そのバランス感覚も、素晴らしいの一言!
ご飯のお供は……
左下から時計回りに、
・鱧の卵とひじきと昆布の佃煮、
・釜揚げシラスとカリカリ梅、
・青森のソウルフード・大根ビール漬け、えごまと白菜の甘酢漬け巻き。
・スルメ、数の子、キュウリ、大根、干し大根の松前漬け。
飲まなやっておられへん逸品揃いやん……(涙)
白ご飯、まずはそのままで。はぁ、ため息が出るおいしさ。
「鱧の卵の佃煮には、バターご飯が合うんです」と研野さん。
二膳目はこんなことも!
そして「キンメ(金目鯛)炙りでの卵がけもいかがですか?」って……
言われるがまま(笑)
魅惑の締めご飯でした。
■自家製 卵めん
鶏、豚、金華ハムからとったスープは、
うっとりするくらい透き通っていて、深みがある味わい。
卵めん共に、シンプルな凄みを感じる。
しかも、カリマンタン島の生コショウ、一粒。
この存在にノックアウト。なんて爽やかで芳しいんだ。
■ぶどう尽くしのパフェ
ソルベ、コンポート、寒天、
フレッシュなデラウエア・シャインマスカット…。
酢橘の香りをつけたタピオカが、全体をキュッと引き締める。
この一品に合わせ、流れてきたBGMは
松田聖子さん「SWEET MEMORIES」。
松本隆さん、最高のフィナーレでしたよ(笑)
州浜(すはま)とコーヒーでホッと一息。
大豆粉を砂糖と水飴で練り上げたお菓子「州浜」がここで供されるとは。
そのセンスに脱帽。
日本料理と中国、また違う視点の発想がクロスオーバー。
見事なまでに、ここにしかない世界を作り上げている。
しかも、椀物など正統派も抜かりなしだから、着地点は見事なのだ。
そんなコース料理の起伏はもちろん、飲み物、音の紡ぎ方にも唸った。
何かこう、新しい流れを感じたのです。
研野さん、女将さん・愛さん、スタッフの皆さん
ありがとうございました。
門上さん貴重なお席をありがとうございました。
「日本料理 研野」
京都市左京区岡崎徳成町28-22
075-468-9944
open :通常は17:00・20:00 一斉スタート
close:日曜、月曜、不定休あり
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