静岡遠征。
約5年ぶりの「成生」。
あの頃、師匠に連れて行ってもらった感動は今なお忘れられず。
移転後、念願の訪問です。
木造平屋建て。京都『木島徹建築設計事務所』設計。
カウンター席からはこの借景。浅間神社に隣接し、
室町時代後期の武将、太田道灌が築造したとされる庭園を望む。
はやる気持ちを抑えつつ、ビールで喉を潤し…。
■落花生のすり流し
潰した落花生をクエのだしで。
じんわり広がる優しい旨みと、甘やかな香りに、
心地いい緊張感がほどける。
■クエの刺身
50℃の油にくぐらせたクエ、そのものの
脂が弾けるようなテクスチャー。ねっとり広がる甘みが堪らん。
クエに翻弄され、画像ブレましたわ
「開運 純米吟醸」(静岡・土井酒造場)
まるみのある味わい、の中にもキレを感じるいい酒。
■静岡の伊勢海老
ぷっくりねっとり、ほんのり炙りの香ばしさも。
湯煎したミソと、浜納豆の、えもいわれぬ旨みにより
伊勢海老の甘みが際立つ。
大根鬼おろし。天ぷらが登場する前に…
これをつまみにチビリチビリ。小さな幸せ。
目の前で、始まった……。
主人・志村剛生さんによると、鍋は銅の鋳物を使っているそうな。
反応がひじょうに早いんだそう。
(対して鉄は、反応が遅いけれど温度をキープできるので大人数向け、だとか。)
その油は、太白ゴマ油と、焙煎ゴマ油をブレンド。
薄力粉は-50℃の冷凍庫で2週間、寝かせたものを用いるとか。
繊細で軽やかな衣を作り上げる、そのコツに一堂「ほほぅ〜」と頷きながら、
飲んでもメモメモ。
■太刀魚
「大根いっぱいのせて、かぶりついてください」と志村さん。
言われるがまま。ハフハフ頬張れば、
蒸された身はしっとりホワッホワ。清々しい旨みが炸裂。
魚介類は、焼津の老舗鮮魚卸『サスエ前田魚店』より。
店主・前田尚毅さん、志村さんの最強タッグ、、
詳しくは、料理人のための和食専門ウェブ・マガジン
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あまから手帖」12月号〜サロン・ド・カドカミ 最終回〜を
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「真澄 純米吟醸」(長野・宮坂醸造)
綺麗。水のような透明感の中から、米の旨みがしっかりと。
次はブロッコリーを、塩で。
凝縮感ある甘みと、ブワッと押し寄せる香りに、ただただ驚く。
蓮根の土を落としはじめた志村さん。
ラッキーなことに、数日前、解禁になった「あさはた蓮根」。
■あさはた(麻機)蓮根
カラメルのような甘やかな香りに続き、糸の引きにこれまた驚いた。
菊芋のような食感も感じつつ、ホクホクしていて味が濃いんだ。
(photographed by今西さん)
■キス
荒めの塩で。
艶やかでファッファ。唸りっぱなしだ。
「銀杏」はねっと〜り、甘い。

見惚れる。眺め続けていたい光景かもしれない。
■サワラ
うるうる、しっとり。その質感のグラデーションとともに、
深い甘みが広がりゆく。あゝ、食べ続けていたい。
■シラカワ
初めて知った。駿河湾の「白アマダイ」のことを、
地元の人は「シラカワ」と呼ぶそうな。
「冬の始まりです」と、志村さん。
美しき、鱗の立ち上がり。ザクッと香ばしく
蒸されてふぁっふぁの身。そのクリアな風味も唸る。
「箸休めのサラダです」と供された皿には、一軒の農家さんから届く野菜。
春菊、生白菜…etc。さらに
キャビアに鮑燻製、太白胡麻油の上品な香り。
「箸休めにならへんやん…」by川邉さん(笑)
■カボチャ
グッと広がる皮の香ばしさにやられた…。しかも
中は見事な蒸し具合。
そのねっとり感に目を細め、自然で質朴な甘みに感銘。
■小鰺
定置の小鯵は、すっきりとした味わい。
鬼おろしでさっぱり、清々しく。
すると、小鯵のピュアな旨みが浮かび上がる。なんて美味しいの。
■揚げネギ
香ばしさが堪んない。しかも見事な揚げの軽やかさ。
『サスエ前田魚店』の鰹節、その燻香とのコントラストも秀逸。
■小蕪
手渡しで。
炊いた蕪のような味わい深さ。
茎や葉の香ばしさもいい。
■さつまいも
皮を齧った瞬間、キャラメリゼしたような香ばしさと甘みが広がり
香りも甘みも、どんどん深まりゆく。
そして、シラカワ食べ比べ。
最初は高温で、そこから温度を下げて揚げ切る。
保湿性すごい。
羽釜に入るのは
「粘りが少なく、さばきがいい」という「はつしも」
〆は天丼、天ばら、天茶から選ぶ。
■天ばら
食材をばらばらに揚げ、ご飯に合わせている。
食感のコントラストが心地いい。これでまた飲めそうだ。
赤だし、公のものと共に。
半分ほど頂いた後はだし茶漬けに。六腑に沁み入るのでした…。
興奮冷めやらぬ、ってこの気持ち
伝説的ライヴの、アンコール直前の感覚に似ている。
そして場所を、茶室へと移します。
530年の歴史に育まれた、見事な日本庭園を眺めながら。
志村さん自ら。
一煎目は水出しで、丸みのある味わいを楽しむ。
■無花果のジェラート
ジャージー牛のジェラート。素材は季節ごとに変わる。
無花果は今週で終わりとのこと。
澄んだ風味と、無花果の質朴な甘みを堪能。
二煎目は65℃で。渋みのなかに、まったりとした甘みを感じながら。
庭園を眺めながら、志村さんの話にじっくり耳を傾けるのでした。
『サスエ前田魚店』から仕入れる魚介、契約農家さんから届く季節野菜
静岡ならではの地素材と対話しながら生み出す、ここにしかない天ぷら。
進化し続ける『成生』は異次元の世界でした。まだまだ興奮さめやらぬ。
『成生』
静岡市葵区丸山町12-2
054-295-7791
Open :12:00~14:30、17:30~
(火曜は17:30~19:30、19:30~22:00)
Close:土曜
Sting - Rushing Water (Official Video)
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