この日は、清水五条「佳肴 岡もと」へ。
カウンター席だけの店内。
BGMはなく、ただただ酒好きのお客たちが静かに、
目眩く(になる)佳肴たちを待っている。
ビールで喉を潤す。
店主・岡本良太さんは、上賀茂「御料理 秋山」ほか名店で経験を積み
2013年に自店を構えた。「佳肴」と謳うだけあり
会席を、日本酒のアテとして仕立てるおまかせコースが
左党のハートを鷲掴みにする。
■源助大根の大根粥
胃も身体もあたたまるわー。
お粥の甘みに、加賀野菜「源助大根」の風味が交わり
ねっとり絡むカラスミの、旨みと塩気が良き按配。
(photographs by Emiko Tonohata)
即、日本酒の口に。
常時60本ストックする日本酒。
店主・岡本良太さんとの会話のなかからチョイス。
「吉田蔵u -石川門-」(石川・吉田酒造店)
これ山廃?と驚くくらい、透明感あってナチュラルな味わい。
籠に入るのは、国産ムール貝、青大根、金時人参、原木椎茸。
ムール貝のエキスと、白子酢のコク&爽やかさに唸りっぱなし。
■松葉蟹のしんじょう
お椀には、津居山産1.2kgのズワイガニ。
活で仕入れ、店でゆがいてホジホジ。しんじょうに、この手間のかけよう。
つまは京の伝統野菜の一つ、うぐいす菜。
柚子香とともに広がる、冬の滋味。
(photographs by Emiko Tonohata)
お供には「京ひな 隠し剣 純米大吟醸」(愛媛・酒六酒造)
清流のような飲み心地。永遠に飲んでいたい。
■ヤイトガツオ
さっと炙り。じわっと滲み出る脂の旨みが堪らん。
岩手・遠野に伝わる「暮坪かぶ(くれつぼかぶ)」の爽やかな香りと共に。
いやー素晴らしき調和。
「崇薫(すうくん)純米吟醸生原酒」(熊本・瑞鷹)
無濾過、素直な味わいとフレッシュなニュアンスが交差。
これはワイン好きのための日本酒やな。
ここからは「ウチのスタイルの八寸です」と岡本さん。
「イワシの辛煮」。イワシは酢だけで2時間半炊き、
冷めてから調味料を加えてさらに2時間半。
粉カツオの旨み、しっとり系イワシの爽やかさに、
ナチュラルな崇薫がスッと寄り添う。
■はりはり鍋風
クジラのサエズリ 水菜とお揚げさん。
このどこまでも深い旨み…。なんぼ飲ませるんですか、って叫びたくなるわ。
■コハダ
酢橘の搾り汁で、さっと酢洗い。
ピンッと張りあり、強すぎず弱すぎずのえぇ塩梅。
忍ばせた亀岡産クレソンが、名脇役。
■蟹味噌カニ玉
津居山ガニの蟹味噌と卵だけで作った、極みのカニ玉!!
混じりっけのない、すっきりとした旨みが心に響く。
その味わいに唸っていると…
津居山のご近所。香住から「香住鶴 生酛純米 からくち」
爽やかな香り、スキッと端正なキャラクター。
カニの力強い旨みと、素晴らしき相性を見せる。
15年ぶりにいただいた香住鶴に、但馬の地酒の底力を感じました。
■明石の真鯛
炭火で炙った真鯛は、蕪のすり流しとともに。
脂のりのり。蕪の質朴な甘みがやさしく語りかける。
「真澄 純米吟醸生原酒 しぼりたて」(長野・宮坂醸造)
7号酵母の発祥蔵。どこまでも芳醇で、優しさに満ち溢れている。
(photographs by Emiko Tonohata)
やっぱライカはちゃいます。
圧巻。眠っていた鯖子の魂、よみがえるわ(笑)
■鯖寿司
2種の味違い。
塩だけで漬けたしば漬け入り。
もう一方は、有馬山椒を忍ばせた寿司飯で。
〆鯖の馴染みすこぶるよく、やらこい脂の甘みの余韻。
鹿児島シャポーン鶏からひいたコンソメに、フカヒレと麺。
清湯を彷彿とさせるどこまでも清らかなコンソメだ。
もう〆まで唸りっぱなし。
■代白柿
洋酒を合わせ、オレンジを忍ばせるという創意。
岡本さん、目の前で何やら包み始めた…と思ったら
ガス台にある蒸し器に入れ…
■ケシの実饅頭

中には、和三盆で味を調えた紅芋あん。
その風合い美しく、ケシの味のプチッと感
蒸したてならではの生地の香り、ファッファとした質感。
気絶しそうなくらい美味でした。
左党の店主・岡本さんによる佳肴会席には
ペアリングの酒とともに、もう何度唸ったことか。
そしてお会計で嬉しい悲鳴。通いたい一軒です。
@citrontokko @em_de_cuba
来月も楽しみにしてます〜。
「佳肴 岡もと」
京都市東山区常磐町470-4
075-551-1055
Open:17:00〜22:00LO
Close:月曜
コース¥13,500