2022/2/17OPEN
「上方中華 新瓊(SHINTANI)」
大阪・中崎町
店主・新谷亮人さんのことをご存知の方も多いはず。
店名もエリアもコンセプトもガラリと変え、新たなスタートを切ったのだ。
上方中華、という聞き慣れないキーワード。
新谷シェフ曰く「なにわの伝統的な食文化、出汁文化の素晴らしさを
中国料理の技法を用い、上方中華として表現します」とのこと。
おまかせコースにてその真意を楽しむことに。
「Rene Jolly/Blanc de Noir Extra Pur」でシャン杯。
■鶏蓉青菜
野菜のおひたし。
広島産・芥藍菜(カイランサイ)に
鶏ササミのミンチを纏わせ、スープ仕立てに。
芝麻醬とクミンを利かせたエキゾティックなテイスト。
アスパラやブロッコリーの芯のような芥藍菜の食感、甘みもいい。
■凍金目鯛
金目鯛の冷製。下味を含ませ低温加熱したそうな。
プルン、ねっとり。キンメは不思議なテクスチャー、
口中の温度で澄んだ脂がじんわり。
陳皮と青山椒のおこげ、自家製カラスミ、柚子のピュレなどで味変を。
■上方辣串
串カツ文化にフォーカスしたそうな。
車海老は高温油で2秒揚げた後、昆布だしに漬けて。
キンメに続き、車海老の質感もすばらしい。そして
お隣の串は、牛センマイ、ハチノス、砂ズリ、ハツ、クエのガツ。
四川のピリ辛香味ダレは、2度付け禁止(冗談)という
串カツ的、意匠がオモロい。
■蜂巣芋角
広東点心に、蒸したタロイモをすりつぶした皮を揚げて作った
蜂の巣のような点心がある。名前は「蜂巣炸芋角」
その技術をもって、関西の食文化を表現、といたところか。
中には、蓮根や銀杏、里芋などからなる餡。
ソースはカボチャと白味噌を、
利尻昆布と鰹節(本枯節)からひいただしを合わせたもの。
ザクザクッと小気味良い食感で、具はホックホク。
食感のコントラストが面白いし、白味噌ベースのソースは琴線に触れる。
■濃湯魚翅
青鮫のフカヒレ(尾びれ)煮込み。
黄金色したそれは、太い金系のよう。頬張れば、ほろり解けつつ
金華ハム、地鶏のひね、鴨肉などからなる濃湯の、
濃厚かつクリアな旨みがじんわーり響く。
優美なシャルドネへと続く。
「Marramiero Punta di Colle 2018」
■藤椒石斑
長崎・天然クエの炭火焼きは、四川の青山椒のソースと共に。
このソースには、クエのうるか(内臓の塩辛・5ヶ月発酵)を忍ばせている。
■一品海参
湖南の伝統名菜を、新谷シェフ流に。
小豆島の青ナマコ(干しナマコ)の豚肉鋳込みだ。
ホロホロ柔らかく煮込まれた豚肉と、もっちりとしたナマコ
互いの食感が不思議と調和。
なんと、京都のすぐきを用いたソースが絡み、酸と辣のバランスも素晴らしかった。
15年物の紹興酒とともにいただくのは
■新瓊焼鴨
「河内鴨」のローストだ。
八角や桂皮などを加えた鹵水(ルースイ)で下味をつけて、オーブン焼きに。
皮の香ばしさとしぶとい旨み、さらには
河内鴨ロース肉特有の、味わいの良さが見事に引き出されている。
好物の河内鴨、これはエンドレスでいただけるわ(笑)
奥には、河内鴨のモモ肉の小籠包。クリアな肉汁が迸った。
■虫草菜庭
守口大根、天王寺蕪といったなにわの伝統野菜、
さらには菜の花を、冬虫夏草で煮込んだ料理。
干し貝柱を加えた清湯の、澄みきったスープに
冬虫夏草のナッツのようなニュアンスに、心が洗われるかのよう。
■葱香鴨麺
河内鴨と難波葱で鴨なんば。
ムッチリとした自家製麺、という食べ応え。
■翡翠燕巣
燕の巣とアボカド、さぬきひめのソース。清々しいね。
左上から時計回りに
「苿莉布丁」ジャスミンと山芋のプリン
「百合桜酥」桜を象った白インゲンのパイ
「黄金蒸翅」ふかひれ餅(フカヒレに見立てたタピオカの餅)
「流沙月餅」アヒル卵黄の自家製塩漬け・カスタード仕立ての月餅
新谷シェフは「青冥」(京都・祇園など)で湖南、四川料理を学び、
その後「知味斎 本店」(千葉・柏)にて修業。
2006年に独立され、今に至るまで
中国料理の料理人歴は26年。その集大成がこの「新瓊」。
上方と中国、それぞれの文化をしっかりと咀嚼した
大阪出身の新谷シェフらしい
アイデンティティを感じさせる料理の数々でした。
(撮影のときだけマスク外してもらってる)
新谷シェフ、移転オープンおめでとうございます★
大阪市北区中崎1-4-21 1F
06-7410-6334(要予約)
Open :17:00-23:00
Close:日・月曜
カウンター8名、個室1室(6名)
コース¥18,000(税・サ10%別)