2023/1/26
神戸港を臨む、最高のロケーションに
新スタイルのレストランがオープンした。
その名は「Sincro(シンクロ)」
場所は大手通販会社「フェリシモ」の新社屋。
2021には都市型醸造所「f winery」を誕生させるなど、
食の新しい価値やストーリーを生む
矢崎和彦社長による新展開は
「食にまつわる、あらゆる要素が共鳴しあい変化し発信し続ける場」でした。
先日、お披露目会が開かれた。じつは2度目の訪問。
あらゆる要素が共鳴しあう…。それは、
今を時めく、気鋭のシェフたちが期間限定でタッグを組みメニューを考案。
もちろん、兵庫県産のローカルな食材を駆使しながら、
“おいしさ・いろいろ・ちょっとずつ”をテーマにした
「cobacci cuisine[コバチ キュイジーヌ]」スタイルで。
ユニークなのは、プロジェクトごとに料理のジャンル、
そしてメニューを考案するシェフが変わることだろう。
作品により演者が変わる劇場のようなスタイル、ありそうでなかった!
その第1弾(〜5月末まで)を飾るシェフたちを紹介させていただこう。
右から
酒井 研野さん(京都「日本料理 研野」店主)
中東 篤志さん(カリナリーディレクター)
崎 楓真さん (銀座「いづく」シェフ)
3人の和食料理人が創造したメニューを
「Sincro」エグゼクティブシェフ・北川 理映子さん率いるチームが提供。
そのコース料理と、ペアリングを愉しむことができる。
~献立~
■玉ねぎの真ん中 【中東 篤志】
淡路島の玉ねぎを皮ごとロースト。その芯の部分を、京の白味噌とすり流しに。
清純な甘みがすーっと広がる。玉ねぎピュレのチップスの食感、楽し。
ペアリング、スターターは
【Henriet Bazin Sélection de Parcelles】

飲み物は、アルコール もしくは ノン・アルコールのペアリングが中心。
■冬の裏六甲
兵庫県産野菜と六甲牛のローストビーフ 【中東篤志】
六甲牛のローストビーフを、冬と春の野菜と一緒に楽しませる。
篤志さんらしい創造。
ビーフは清新な旨みが広がり、白菜のピュレとの調和も良い。
パリッパリの白菜の葉は、落ち葉に見立てて。
菜花の香りに、すぐそこに来ている春を実感。
「Sincro」ならではといえば、
料理人と、地元生産者とレストランを紡ぐ、映像の存在。
一品一品と、映像がセットに。
料理人による現地視察や生産者との交流。
そのエピソードを視聴すれば、より一層、味わいに広がりが生まれる。
しかも、すべての料理にメニューカードが添えられる、という細やかさ。
撮影し忘れたのだが、ここで「f winery」のシャルドネが登場。
【f winery 113 Chardonnay】
生樽のシュワっとフレッシュな味わいのみならず、ふくよかな果実味も健在。
■前菜5品
・鰆の炙り【崎 楓真】
皮目を炙った鰆の香ばしさと、ベビーリーフの苦みが共鳴。
・胡桃豆腐【酒井 研野】
香ばしさ、上々。ワサビを溶いた出汁のジュレが全体を引き締める。
・弓削牧場チーズの一口ピザ【中東 篤志】
「神戸は日本におけるビザの発祥の地ですから」と篤志さん。
餃子の皮と、チーズ、ローズマリーが渾然に。
・海老の紹興酒漬け【酒井 研野】
兵庫北部から届いた新鮮なボタン海老を、紹興酒漬けで。
ねっとりと舌に絡みつき、しぶとい甘みを放つ。
長芋のシャキシャキ感とのコントラストもいいね。
・柿のマリネ【崎 楓真】
ブランデーで一晩マリネ。リッチで複雑味のある味わい。これはお酒が進むわ。
■蕪のみぞれ仕立【崎 楓真】
斬新な煮物椀。ハフハフ頬張れば、聖護院蕪の清らかな甘みがスッと響いた。
柚子胡椒がいいアクセントに。
次の一品に合わせて【瑞穂黒松剣菱】兵庫・灘五郎
50℃前後とのこと。優雅な香りと、コクのある味わいがさらに深く。
■のどぐろ味噌幽庵焼き 【酒井 研野】
研野さん考案の一皿は、兵庫北部・香住揚がりのノドグロ。
味噌の旨みが程よく染み込み、脂の甘みと交わる。
剣菱の熟成感ある味わいが、美しくハーモナイズ。
■柚子の白和え射込み 【Sincro】
【Sincro】エグゼクティブシェフ・北川 理映子さんによる一品。
柚子の皮を甘く煮た「編笠柚子」に
「Sincro」で出会えるとはしみじみ感動。手間のかかる昔ながらの手仕事だから。
干し柿やクコの実など7種の素材を白和えにした餡が入る。
編笠柚子の甘味や酸味、白和えのまろやかさ、小気味良い食感も楽しい。
【Shannon Rockview Ridge Pinot Noir 2019】南アフリカ
ポテンシャルの高さに驚く。南アフリカおそるべし。
「朝倉さんしょ農家」を訪ねた、研野さんの映像とともに
■鶏のあられ揚げ 【酒井 研野】
あられを纏わせた鶏肉は、ザクッ、ジューシー。
隠し味にリーぺリンソースを忍ばせた甘酢餡が絡む。
兵庫・養父の朝倉山椒、その鮮烈な香りで後味、清々しい。
研野さんらしい、日中いいとこ掛け合わせ。
■岩津葱うどん 【酒井 研野】
岩津葱は、柔らかで甘みが深い。
柚子の香りを利かせ、冷たいだしで、口の中さっぱり。
私は取材3軒後のディナーだったので、炭水化物は小ポーションで。
皆は、この倍以上。
■始末のハヤシライス 【中東 篤志】
この日用いた、野菜の皮やヘタ、牛骨など
「食材を使い切る」と言う想いが込められた一品。
始末の心の先にある、おいしさに感銘を受けました。
■Sincroのデザートと茶菓子
米粉ヴィーガンブラウニー 【中東 篤志】
苺アイス 【崎 楓真】
鬼に金棒(きなこ棒)【酒井 研野】
椿餅 【Sincro】
懐かしのきなこ餅から、ヴィーガンスイーツに至るまで、
料理人たちの想いが込められていた。
矢崎社長、ありがとうございました。
画像の右は「Sincro」エグゼクティブプロデューサー・平井直人さん。
「株式会社ダイズ」の代表取締役であり
「Sincro」メニュー開発、さらにはシェフの想いや生産者を訪ねる映像など、
総合的にプロデュースをされている。
平井さんらしい、食の縦横無尽な繋がりと広がり、今後も楽しみにしています!
気鋭のシェフ3人によるクロスオーバー。
それは、兵庫ならではのローカルなストーリーはもちろんのこと
生産者との繋がりあり、未来へ向けてのメッセージあり。
料理とペアリング、映像もひっくるめて、
食の新たなる醍醐味を楽しむことができました。
黄昏の神戸港を臨む、映画のセットのようなロケーションも素晴らしかった。
神戸の新たなる食の舞台、大注目です。
「Sincro(シンクロ)」
神戸市中央区新港町7番1号 Stage Felissimo 2F 海側
78-332-4960
open :昼11:00~、夜18:30~
close:月、火曜