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奇才のセンスが随所に。「cenci」の深化

いつメンの皆さまと一緒に「cenci」へ。
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いつも本当にありがとうございます。
今夜は海外からの旅行客が多い。
「No.32 Asia's 50 Best Restaurants 2023」の「cenci」ゆえに
「Noma Kyoto」前後に訪れる客も多いのだろう。


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スターターは7種のハーブを用いたハーブティー。
スーッと沁み入り、心が洗われる。

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「Chartogne Taillet/ Cuvee Sainte Anne Brut」でシャン杯。
この後、続くコース料理とともにペアリングを愉しむことに。



●ペルシュウ
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「BON DA BON」多田さんがつくる24ヶ月熟成のペルシュウは
ファリとエアリーな天女の羽衣。
すっと口どけ、甘やかで深い旨みが広がる。

ジャガイモのガレットには、岡山「吉田牧場」のリコッタチーズと
豆のスプラウト。ガレットの温さが、
チーズの澄んだ味わいと香りを引き立てていた。



●アボカド 桜鱒 ミント パクチー タプナード
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ワカモレと、エシャロット、ミントやパクチーに
高菜の種からなるマスタードを用いたハニーマスタード風。
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そのサラダから、皮目のみを香ばしく焼き上げた桜鱒が顔を覗かせる。
桜鱒の身はしっとり繊細、ハーブの芳しさや、
キレがありながらも丸い酸味、ワカモレのコクが渾然に。


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全粒粉のフォカッチャ。しみじみ味わい深い。



●新玉葱 ウド ホタルイカ 花山葵
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新玉葱と塩麹をあわせたピュレに、
イカスミを練りこんだ冷製タヤリン、富山産ホタルイカ。
もうね、この組合せだけで唸るのだが、
黒麹と花山葵からなるソースや、姫ネギの鮮烈な辛みが生きる。
麹の個性と春の恵みの、孤高ともいえるハーモナイズ。



●筍 蛤 稚鮎 豆乳 トマト
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スプーンをそっと入れると自家製の豆腐がお目見えだ。
頬張れば、塚原の白筍の甘さ、蛤のエキスが口中を占拠する。
トマトに芽生姜、国産キクラゲ、行者にんにく…
さらにはレモングラスが香り、パラペーニョをほんのり効かせ
オドロキの「酸辣湯」的ニュアンス。
でもバーニャカウダを思わせる稚鮎のソースでふと我に返る。
つまりは、いろんな国や日本を旅しながら
着地点はじつに「cenci」。


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全粒粉のロデヴも堪らん。
ロデヴによくあるもっちり、よりは、香ばしくしっとり。



●海藻 山菜 柑橘
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次はビーガン。
北海道のアスパラ専門農家「ジェットファーム」から届いたアスパラの
パキッと鮮烈な食感と瑞々しさ、濃厚な旨み、香りには目を見張った!
タラの芽とコシアブラは米粉でフリットに。
ウルイ、コゴミなど山菜の質感心地よく
不知火(柑橘)のコンブチャが放つフルーティーなニュアンスが気持ちいいし
炊いた米と富士酢で合わせたシソの新芽、
スジアオノリや昆布パウダーの旨みが、美しく調和。
「メインの前お口直し」と言うことだったが、これはもう心に響く一皿でしょ。



●白菜 龍泉洞黒豚 黒にんにく アーモンド
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龍泉洞黒豚はしっとり、歯切れよく濃厚な味だこと。
忍ばせたキャベツ(バターソテー)が、肉の旨みを引き立たせ
白菜の乳酸発酵、そのまぁるい酸味が重なり合う。
発酵黒ニンニクのドライフルーツのような質朴な味わいと
沖縄の島胡椒「ピパーチ」の爽やかな辛みを効かせる独創性に唸る。




●完熟梅 赤紫蘇 夏蜜柑 ベルガモット
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完熟梅の酵素シロップを、大原の赤紫蘇のジュレと共に。
炭酸につけたベルガモットはシュワっと爽快。



●ホワイトアスパラ 桜海老 マーガオ タリオリーニ
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桜海老が香り、幅を揃えたアスパラとタリオリーニは
舌ざわりよろしく、噛みしめるほどに味わい深く。
台湾のスパイス・馬告(マーガオ)が放つ
レモングラス風の爽やかな香りの加減が完璧。
日本人の琴線に触れる、ほっと落ち着く食後感も良き。



●十六島海苔 カルナローリ 香茸麹
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お米クリエイター佐藤裕貴さんが作る「カルナローリ」は粒感がしっかり。甘い。
島根の天然岩のり「十六島海苔(うっぷるいのり)」は香り高く
鮎魚醤のコク、乾燥させた香茸麹の独特の香りで立体的な味わい。
ペアリングこれはもう、痺れました。
「Beau Paysage Tsugane La Montagne 2020」
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草原を思わせる香り、苺のようなピュアな果実味。
心地よいだし感が、海苔や香茸麹の香りと共鳴していた。



●レモン 粗糖
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クレマカタラーナ、坂本シェフ流。
粗糖でキャラメリゼ外はパリッパリ、
コアントローは香り高く、無農薬レモンのクラフトビネガーの清新な後味。



●よもぎ 苺 アマゾンカカオ
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よもぎはアイスと餅に。
滋賀のさちのかのピュアな甘酸っぱさに
マスカルポーネと黒糖の爽やかなコク。

黒いパウダーの魔力に魅了。正体は「砂漠ライム」
イランの砂漠の地熱を利用して、真っ黒に乾燥させたライムだそう。
鮮やかな酸味、苦味と甘みさえも感じ、
よもぎの和のニュアンスと和音を奏でていた。


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カモミールでクールダウン。


じつにエキサイティングな夜でした。
坂本健シェフとスタッフによるチーム力も、本当に素晴らしくて…。

どの皿にも、発酵調味料や発酵食材を使ったアプローチがあり
素材の輪郭を引き立たせる技と味重ねがあり。
この時期、度々出合う旬の素材が、
食べ合わせの妙で驚きのある表情を見せていた。
「オーソドックスで尖っているのは一流なんだ」
目の前でそうおっしゃった松本隆さんの一言が胸を打つ。


ありがとうございました。



坂本シェフといえば!こちらもぜひ。
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画像はフェリシモのサイトより


フェリシモが展開する、新しいスタイルのレストラン「Sincro」
https://www.felissimo.co.jp/company/contents/press/nrr2023202972/
第2回目のプロジェクトメニューを、「cenci」の坂本健さんと、
東京・青山にある日本料理店「てのしま」の林亮平さんがタッグを組み考案!
5月17日(水曜日)から「Sincro」で味わうことができる。
ってまさに今日からスタートですね!


「cenci -チェンチ-」
京都市左京区聖護院円頓美町44-7
☎075-708-5307
open : 12:00〜12:30入店、18:00〜19:00入店
close: 月・火曜、日曜不定休
http://cenci-kyoto.com/

by writer-kaorin | 2023-05-17 08:49 | cenci | Comments(0)  

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