「Bec」という名をそのまま残す玄関の扉。
神戸・元町「IBRA」
市内でイタリアンを8店舗展開する瀬田亮太さんが
「Bec」を引き継ぐ形で開店したワインバーだ。2022年9月open
「Bec」の故・岸本達哉シェフは
亡くなる直前まで、店を閉めることはなかった。
ご常連もシェフ仲間も、彼が病を抱えていたことは知らず、
昨年5月に、旅立たれた。
その後、「Bec」存続に力を尽くすことになったのが瀬田さん。
内装も、料理を盛る皿も、CDデッキもそう。
岸本シェフが、ワンオペで切り盛りしていた頃と、ほぼ変えていないらしい。
この日は「Bec」と「IBRA」のご常連、松本隆さんと一緒に伺いました。
Champagne「Chartogne Taillet Brut Rose」でシャン杯。
▪️いちごとブッラータ
いちごはきゅっと甘酸っぱく、
モッツァレラと生クリームのミルキーな味わいが優しく寄り添う。
▪️ホワイトアスパラガス
ドイツ産アスパラの名残の時期に伺う。
注文を受けてから皮を剥き、その皮と共にじっくり茹でたそれはどこまでも香り高い。
ほろりとした苦味、ピュアな甘みが迸る。
ボルドー「Château Tour de Calens Graves」と共に。
フレッシュさを感じながら、バターのようなニュアンスも。アスパラに合うわ。
▪️ジャガイモのグラタン
「Bec」岸本シェフが出していた料理。
瀬田さんいわく「目と舌で覚えて」つくるエピソードの深い一品。
優しくて濃厚。牛乳と塩で炊いたジャガイモが、しみじみ旨い。
「BOURGIGNE CHARDONNAY 2021 HUDELOT BAILLET」
柑橘の風味が美しい。
▪️アマトリチャーナ スパゲッティ
潔いくらいシンプルだからこそ、心の奥底にまで響く。そんな味わい
▪️万葉牛イチボのロティ
低温でゆっくり丁寧に焼き上げたイチボは
しっとり繊細、清々しい脂が舌を喜ばせる。
25年熟成のソース・バルサミコと共に。こちらも岸本シェフの技を継承。
ワインは繊細優美な「Rosso di Montalcino 2020 Ridolf」
週に4日、ワンオペでカウンター内に立つ瀬田さん。そして松本隆さん。
いつも本当にありがとうございます。
「Bec」時代の質朴なフランスの味あり、
イタリアンの店を多くやっている瀬田さんらしい
パスタ、そしてイタリアワインあり。
直球かつ素材らしさをスッと引き出した料理の数々に
ついつい、グラスを持つ手が止まらなくなる。だから、足繁く通いたくなる。
「Bec」と「IBRA」については、
6/23発売のあまから手帖7月号
特集「神戸でお逢いしましょう」をご覧ください。
「松本隆さん、ベックを語る」というコーナーの
インタビュー記事を担当させていただきました。
心に響く味を生み出す料理人たちのことを、
いつだって応援されている松本さん。
その言葉は、愛と温もりに溢れている。
「Bec」岸本シェフ、「IBRA」瀬田さんとの
松本さんらしいエピソード、ぜひご一読くださいね。
「IBRA」
神戸市中央区中山手通4-2-2 ステイツワン1F
078-321-1817
Open :17:00〜24:00(土・日曜14:00〜)
close:月・火・水曜