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一日限りのセッション!SABOTEN in 奈良「翠門亭」

奈良・高畑「翠門亭」
ちょうど1年ぶりの訪問です。(前回の模様
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メキシコ×ガストロノミーという独創性、
さらにはセッションの掛け合わせも何もかもが、個人的には前代未聞!
そんな食事会が開かれ、運よく参加することができました。



大阪・堀江にあるメキシカンレストラン「Saboten / 覇王樹」。
シェフのウィリー・モンロイ氏は、今春開かれた「Noma Kyoto」の
キッチンメンバーとして活躍するなど新たな表現にも挑戦し続ける、
いま大注目の料理人。

余談だけれど、私はウィリーの故郷「La Manzanilla (マンザニーラ)」に、
バカンスで3回ほど行っていて、いつも妙なご縁を感じている。
https://kaorin15.exblog.jp/12589301/
彼はこの地で14歳のときに料理の世界へ入った。
若かりし頃、所持金4万円を持ち、来日。
苦難を乗り越え、ここニッポンで彼の才能は開花した。


今回は、ウィリーが創造するガストロノミックなメキシカンを特別コースにて。
さらに!それだけにとどまらないのが、
プロデューサー「ル シュクレクール」
横田益宏くんの人望の厚さ&クリエーション!
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イタリアのパルマにて研鑽を積み、
日本唯一のパルマハム職人の称号を持つ生ハム職人
「ボンダボン」の多田 昌豊さんが、コースに加わり

さらにさらに。
イタリアのバール文化の神髄を大阪・京町堀から発信する
「プント エ リーネア」の名バルマン鎌田和佳氏による
ミクソロジーカクテルのペアリング…というのだから。
もうこれはね、即決めでしたよ。

「僕たちもリミッターを外して、チャレンジします。
 伝統と革新、そして融合、生の時間…
 音楽のセッションのようなひとときになれば」と横田くん。
その一部始終をご覧いただきましょう。



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始まりは、烏賊とコーンの葉のスープ。
イカの風味、葉の質朴な雰囲気、続くチリの鮮烈な辛味に胃袋が広がった!



鎌田さんによる1杯目は
大和茶とボタニカルシロップをつかったカンパリソーダ。
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ほんのり広がるお茶の香ばしさ、やわらかな味わいが
カンパリの個性と調和、夏から秋への移ろいを感じさせる味わい。




■LECHE DE TIGRE
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手前の皿が「LECHE DE TIGRE(レチェ・デ・ティグレ)」
セビーチェのつけ汁というかマリネ液を「レチェ・デ・ティグレ」と呼ぶそうな。
ライムの酸味をしっかり感じさせつつ、ハマグリのピュアな旨みがじんわり広がる。
カンパリのほろりとした柔らかな苦味がめちゃ合うなー。
その奥の皿は…


■TOSTADA
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アボカドとホタテの「トスターダ」。
トルティーヤを揚げた生地は、ザクザクッと香ばしく
トウモロコシの素朴な香りや甘みをくっきり感じる。
しかも、アボカドやホタテの、包丁の入れ方がもうね…見目麗しく
かつ、口に入れた際の繊細なテクスチャーと完成度の高さに、ハッと驚くばかり。


ここで…魅惑のペルシュウが登場。
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手前、17ヶ月熟成は、ふぁっふぁ、なんて甘いの。
24ヶ月熟成は、切り方にもよるのだろう、凛々しく、旨みはすこぶる深い。

鎌田さんが合わせるカクテルは
お米を原料にした「奥飛騨ウォッカ」に
シャインマスカットと擦りたてのワザビ。
どこどなく草っぽい香りに、後追いでピリリとワサビのアクセント。
ペルシュウと欲し、カクテルを欲する、無限ループに突入。


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目の前に差し出されたそれは
「コーンを鰹出汁で茹で、3週間スモークし続けました」とウィリー。
まさに「コーン節」!
鰹節からヒントを得たのだろう。日本の食文化に対しての知識も深い、
ウィリーならではの発想!



■ESQUITES
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エスキーテス(またはエスキーテ)は、トウモロコシを使った屋台フードの定番だそう。
スナック的なそれが、ウィリーの手にかかると、クリエイティブな一皿に。

フレッシュ・トウモロコシを使ったスフレは、ファファで清々しい甘みが広がる。
スモークした生クリームとパセリオイルからなるソースと
コーン節の泡を絡めながら味わえば、
程よい燻香のなかで、コーンの香ばしさやピュアな甘みが浮かび上がる。
はぁしみじみ美味いの。



■FLAUTA
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フルートをイメージした料理、それが「フラウタス」。
中の具は、トリッパとチョリソ。
トルティーヤは、先のトスターダよりも揚げ時間を短くしているのだろう、
程よくしっとり、柔らかい。優しく噛むほどに
チョリソの刺激やトリッパの清々しい風味が溢れた。
グリーンオイルやサワークリームの爽やか後味もいいね。

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フラウタスに狙いを定めた
鎌田さんによる3杯目は
スペイン産ロゼのベルモットとレモンマリーゴールドからなる一杯。

フラウタスの噛めば噛むほど広がる辛みや旨みに、
ベルガモットが放つ軽やかな苦味と、
レモンマリーゴールドの柑橘を彷彿させる清涼感あるテイストが絶妙にマッチ。



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次は「ペルシュウ」24ヶ月が登場。
いつも思う、多田さんのペルシュウは、エンドレスで食べ続けていたい、と。
相棒は、「ル シュクレクール」より。
カルダモン、ターメリック、クミンなどのスパイスをがっちり効かせたグリッシーニ。
フレッシュなスパイス(ホールの)を齧っているような鮮烈さ!
グリッシーニを齧りながらずっと飲めそうなくらい。笑


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この皿に鎌田さんは、
「ホップを効かせたピエモンテのジン」で攻めてくる!
ここでホップのほろ苦さも感じさせるシャープな一杯、というのが素晴らしかった。


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続く一杯は、「MAKINO GIN」とハイビスカスのカクテル。
スエコザサ(牧野博士が奥様の名前から命名)を使用したジンがあったんだ!

柑橘系の爽やかさ、ウッディな香り、ハイビスカスの爽やかさ…
これは昼酒にサイコウです。


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ちょっと余裕が出てきたであろう鎌田さんを激写。
隣には強力な助っ人、マルケ料理専門「オステリア ラ チチェルキア」の連久美子シェフ!
最強のコンビネーションでしたよ。



■LOTUS MACHA
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抹茶ではない。笑 「ルータス マチャ」
マチャとは4種のチレを軸にした深い味わいのサルサソースのこと。

主役はレンコン。12時間コンフィにした後、
奈良のパインナッツオイルを塗りながら、炭火でじっくり火を入れたという。
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頬張れば、むっちりホクホク。これは肉に引けを取らない存在感だ。
マチャにはセップやラム酒も加えていて、香り高い。
複雑味のある辛さだけでなく、奥深い味わいの余韻が心地よかった。

一緒に味わったサワードゥ・ブレッド(カンパーニュ)は、
一晩かけて発酵させる(オーバーナイト法)ところを異例の48時間熟成。
咀嚼するほどに広がる心地よい酸味、飾らない武骨な優しさが、
ウィリーのプリミティブな料理に合うんですよこれが。


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ルータス マチャとともに味わうのは
「ベルモット ディ トリノ」とカンパリ、カカオニブと柿の葉茶。
多彩なスパイスのような香り、木の実を思わせる甘酸っぱさ、
その奥に広がる香ばしさが、サルサマチャの深い味わいと響き合う。
さらに柿の葉茶の素朴な風合いも広がり、
イタリアを感じながらも着地点はここ奈良。見事でした。




■MOLE NEGRO
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「モレネグロ」=黒いモレとは
数種類の唐辛子やドライフルーツ、ハーブ、カカオなどを用いる
リッチで複雑な味わいのソースとのこと。
炭火でしっかり焼き上げた野菜を用いるのが、ウィーリー流。

玉ねぎは透き通った甘みを放ち
イベリコ豚ヒレの、この色気ある火入れに唸るわ。
フルフルしっとり、噛むほどに優しい旨みが溢れ出る。
モレを添えて味わえば、カカオの香ばしさや一休寺納豆のような熟成香も。
いやしかし、味や香りの記憶は面白いもので
マンザニーラで味わったモレネグロの懐かしい味わいがよみがえった。

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奈良の橘花ジン(KIKKA GIN)とライムと。
やや甘みを加えて、大和水で割った一杯。
まろやかな中に、ライムの溌剌としたニュアンスが
モレネグロのコク深い、伝統的な味わいと呼応していた。

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トウモロコシを茹でて乾燥させ、粉にするところから手がける
ウィリー手製・トルティーヤと共に。
しみじみ旨いし、メキシコが香る、のです。




■CHURROS
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デザートは揚げたて「チュロス」

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エスプレッソ・マティーニと共に。嗚呼、至福以上の何ものでもなかった。


ここで終わらせないのが、横田くんはじめ彼らならではのセッションだ。
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最強のタコス「カルニータ」が登場!
カルニータ(カルニータス)とは、豚をじっくり煮た料理で
ウィリーのそれは豚の耳を揚げるように煮込んでいる。
ギュッと搾ったライムの酸味、サルサの刺激がたまらない。
しかも、コーラと共にってめっちゃ現地の屋台!
ガストロノミーとメキシコならではの根っこの部分も大いに堪能した。



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ウィリーの料理は、どこにもないメキシコ料理だった。
日本で長年暮らし、北欧のエッセンスも会得した彼ならではの視点。
そこには、母国の伝統に敬意を払いながら、繊細さと独創性が入り混じり
独自の世界を創り上げている。
何しろ丁寧な仕事を感じさせる料理は、そのどれもが奥深い。
だから、色気や刺激、トラディショナルの香りを感じさせながら、
しみじみ旨いなぁという安堵さえも感じ、あらゆる感情に響くのです。


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左から、プロデューサーの横田益宏さん、「Saboten」ウィーリー・モンロイさん
「プント エ リーネア」鎌田和佳さん、そして「ボンダボン」の多田 昌豊さん。

メキシコと大阪、奈良のエッセンスも感じさせてくれた
鎌田さんのミクソロジーカクテルが、メキシコの風と共鳴し合い
パルマの香りとも見事なハーモニーを奏でていました。

バックボーンとなる国は違えど、人の心を動かすおいしい技が至る所に潜んでいた。
なんだろう、それって新しいフレーズを見つけたり
彼らそれぞれの感性に合った即興を加えたり。
音楽でいうジャム・セッションの感覚。そしれ皆が個性を放ち輝いていた。
ありがとうございました!


翠門亭

覇王樹 -SABOTEN-

Punto e Linea」 

BON DABON

Le Sucré-Coeur

ルシュクレクールやや公式



by writer-kaorin | 2023-10-12 17:15 | 翠門亭 | Comments(2)  

Commented by ラメール at 2023-10-24 07:14 x
今夏メキシコと日本のハーフの友人が出来たので興味深く拝見しました!
それにしても、ここのところこのブログで紹介される料理って見たこともない、もちろん食べたこともない料理ばかりで、ちょっと一般ピーポーからすれば隔絶された世界ですね。ひと昔とは料理の次元が違うというか。どのようにしてこんなクリエイティブな料理を作れる若い世代がちらほら登場してきたのだろう。

そしてこの会場となった翠門亭の町内に兄が住んでいるので、帰りに立ち寄ってお茶でも飲んで帰ってくれたらよかったのにw
Commented by writer-kaorin at 2023-10-25 06:55
ラメールさん
おっしゃる通り、若い世代の躍進がすごいですね。
お兄様、高畑にお住まいなのですね!
とても閑静な地域で羨ましいです。笑

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