この日は大人の遠足。
京都・綾部にある「田舎の大鵬」へ
言うまでもないが、「田舎の大鵬」とは
京都二条にある人気中国料理店「大鵬」の二代目、
渡辺幸樹(こうき)さんが、綾部の奥地で営む農場レストラン。
だから「田舎」の「大鵬」。
久々にお会いする幸樹さんは、自然界に鍛えられている印象。
中国の奥地へタイムトラベルした気になってしまう。笑
幸樹さんは仕事のパートナーたちと一緒に
畑では野菜を育て、豚、鶏、馬や山羊を飼う。
ここ「田舎の大鵬」では
畑に根っこを張る野菜やハーブがその日の野菜として使われ、
大地を駆け回る鶏などが私たちのために捌かれる。
その日に採れる(獲れる)動植物の命をいただくという食の本質を
学び、味わい尽くすとき。
ニガヨモギを加えたワイルドエール
「HALM/NEVEL」fromオランダ
麦芽のほかにライ麦やスペルト小麦なども入っている。
まろやかな甘み、キレのある酸味、甘やかな香り。
■自家製メンマ
「竹藪の中から採ってきた」という
いろんな筍を発酵させてメンマに。
食感楽しく旨みじゅんわり。エンドレスで食べ続けていたい。
■胡瓜 鮒寿司の飯(いい)和え
パリポリザクッと食感、鮮烈!
飯の発酵香、酸味と旨みが堪んない。
◾️畑の枝豆
山椒やクミンの香りを利かせて。
噛むほどに豆の香りがぶぁっと膨らみ、ワイルドな味がした。
地元・綾部の米を浙江省紹興へ持っていって醸す紹興酒。
3年ものはカラメル不使用。甘み優しく、後味はすっきり。
10年熟成はまったりとした味わい深さがある。こちらも余韻はキレイ。
◾️烏骨鶏 春雨
烏骨鶏(2年半)の肝、砂ズリ、ハツほかモツとともに。
捌いたばかり。味が濃くて、風味はなんとも清々しい。
◾️芋づる 空芯菜の葉
シャキシャキ食感、按配もいい。
焦がした山椒の深みある香りと、唐辛子がいいアクセント。
■アップルゴーヤの炒め
香港や台湾ではメジャーのアップルゴーヤ。
もちろん畑で採れたたばかり。
粘りしっかり、苦味穏やか。
◾️中国ソーセージのミンチと豆の炒め
豚舎で育てた豚の肉からつくる中国ソーセージ。
畑で採れた豆たちとともに、
大豆から作る自家製豆板醤で炒めている。
寒い時期は保存食づくりに勤しむという幸樹さん。
自然界の恵みと、人の知恵が、暮らしの根っこにあることを
気づかせてくれる。
■スッポンの煮込み
天然もの。モモや腕はしっかりとした歯応えあって、旨味が迸る。
えんぺらの厚みは半端なく、ブリンブリンの食感が堪らんかった。
◾️揚げ豚と 芋、葉っぱの炊いたん
五臓六腑に沁み入る味。
◾️烏骨鶏、乾燥 金針菜
見た目はなかなかだけれど、烏骨鶏の骨周りはしゃぶるほどに旨い。
まるでズワイガニを頬張るように、無言無心で味わい尽くした。
この地域の米を、土鍋で炊いて。これぞ心の贅沢。
◾️水とレモングラス
クロモジと日本蜜蜂のハチミツと共に。
この潔さにグッとくる。
ハーブティーで〆。
ヨモギ、カラスノエンドウ
よもぎ、からすとえんどう、甘草、夏枯草。
香り深く、まったりとした甘みに癒されたのでした。
幸樹さんは言う「農業と料理を同時にしたかった」と。
「この時期が終わった、次はこれが始まる…の繰り返しですが
自然の中のリズムにあわせて料理するのが面白いんです」
たとえば、金針菜が豊富に採れたときには干したり、発酵させたり。
端境機は、塩蔵していた豚など保存食を駆使するなど
中国料理の知恵と工夫が随所に。
そこには、持続可能な方法を見出しながらの自給自足という暮らしがあり
人間が主体ではなく自然の一部として生きること。ある種の覚悟を感じました。
幸樹さん、スタッフのお兄さんたち。ありがとうございました!
そして食べ手である私たちは
都会では絶対にできない経験をさせていただいた。
想いを語りすぎると重たくなるので、心に留めておこう。
「自然の中で食べる、これはほんとに贅沢なこと」という
「京、静華」宮本静夫さんの言葉が印象的でした。
お隣には「京、静華」宮本静夫さん、「可門」清水泰三さん、
「ジャン・ムーラン」美木 剛さんのお姿も。心より感謝申し上げます。
そしてご一緒させていただいた皆さん、本当にありがとうございました!
「田舎の大鵬」