京都・高辻東洞院「wabiya」
細路地の奥の奥に、その店はある。
薪火と炭火を駆使する、鶏料理店であり
祇園・侘家古暦堂の別邸。
カウンター8席だけの、隠れ家という言葉が相応しい空間で
素敵な皆様とのスペシャルなひととき。
薪火と炭火を操る、秋山達行シェフ。
アミューズは、カリフラワーのピュレと豆腐、
薪火の香りを纏わせたキャビア。
カリフラワーのピュアな甘みがじわっと押し寄せた後に
キャビアの塩味と芳しさ
E.V.オリーブ油(アルベキーナ)の清らかさが響き合う。
シャンパーニュと共に。至福以外の何物でもない。
濃い飴色した、魅惑の品が目の前に…。
「手羽先の皮を北京ダック風に仕立てました」と秋山シェフ。
隣には、聖護院大根の大根餅と自家製カラスミ。
確かに北京ダックを思わせる、皮の香ばしさとインパクト!
木の芽が心地よく香り、和に着地。
大根餅と「初めての自家製カラスミ」と
秋山シェフが話す、その組み合わせも秀逸だった。
YASAKATURU「理非 -lihi-」(竹野酒造)と共に。
キレのある酸味が響き、シルキーさがずっと続く。
手羽先の皮の、脂の旨みと呼応した。
■むね タタキ
福知山・黒鶏のむね肉を、目の前の炭火で炙りタタキに。
何もつけずに味わえば、ねっとりと舌に絡みながら清々しい甘みを撒き散らす。
発酵させたタマネギと味わうと、むね肉の旨みをグッと感じ、
大根マリネとナスタチウムがいい箸休めに。
■鶏節のだしスープ
蕗の薹、うるい、セリ、金時人参
澄んだ旨みと共に、春が香る。
■京地どり 上もも
福知山産・京地どりの上ももを炭火焼きで。
皮バリ、その脂は厚みのあるコクを感じ
身はふっくら繊細でいて、瑞々しいというかどこまでもジューシーなのだ。
薬味はお好みで、とのこと。
秋山さんが配合をした粉末調理料「
うま味さん」の焼鳥七味と青唐山椒。
これが絶妙に合うんです。
■砂肝
間にエンガワ(砂肝の周りの肉)を挟んでいて。
砂肝ブリンブリン、エンガワめっちゃ名脇役。
ナパのシャルドネ「JCB No.76」を。
樽熟成のリッチな香り、厚みのある味わいの余韻に浸る。
■ささみ 胸皮
皮が弾け、ささみはしっとり繊細。
タスマニア産マウンテン・ペッパーベリーの
ベリーを思わせる香りがずっと続く。
ここまでが炭火。
■ねぎま
こちらは薪火を操り、熱伝導を捉えながらの火入れ。
すね肉はブリンと歯応えよろしく、ジューシーさ半端ない。
■かぶら ホタルイカ
かぶらと発酵バターからなるピュレには、カラスミという魅惑。
スライスしたかぶらの下には
昆布をあて、炭火で温めたホタルイカが。
1杯、2杯とつまみつつ
かぶらに乗っけて、ピュレとカラスミを纏わせれば
ピュアでクリーミー、小粒ながら弾ける旨みにニンマリ。
滋賀・長浜で、ハッピー太郎さんが醸すどぶろく
「ハッピーどぶろく No.093 湖北はみ出し米」がとめどなく合うのだ。
(iPhone撮影)
薪火で調理した「七谷鴨」が堂々、登場。
美しいロゼ色。歯がスッと入り、噛むほどに清々しい旨みが広がる。
ソースはバルサミコとカレー粉、シナモンからなり、
そのエキゾティックなニュアンスが、味わいに起伏をつけていた。
さらに、薪火で焼き上げた蕾菜や菜の花は、
香ばしくも素材がもつ水分を蓄えていて素晴らしかった。
「セセリ」は炭火、よだれ鶏風。
ブリンッと弾け、ピリ辛ダレとパクチーの香りが異国へと誘うのです。
そしてご飯ものへ。
シンプルに、炊き立てご飯のピュアな甘みを楽しんだ後は
「七谷鴨」のつくねと温度卵を、たっぷりの玉ねぎソースと共に。
つくねは、鴨と鶏もも肉のミンチを塩で練り、薪火で焼き上げている。
本能の赴くままに頬張れば、
つくねのホワファ感が堪らない。熱の通し方が絶妙なのだ。
迸るエキスは清々しく、
玉ねぎのピュアでいて深い甘みと一緒に口中を占拠。
このソースと卵と白ごはんがまった……最強だった。
麺屋棣鄂の細麺に、鶏清湯の清らかな旨みが響き渡る。
エシャロットとニンニクオイルが香る
潔いくらいシンプルな中華そば。最高の〆。
■りんごと赤ワイン ブランマンジェ
癒しの味わい。
薪火の香りを纏わせた、チョコレートのフィナンシェ。
チョコのほろ苦さ、カカオニブの食感や香ばしさ、
ほんのり漂う薪の香が、見事に調和。素晴らしいフィニッシュでした。
これ、レコードジャケットの掛け軸。カッコ良すぎ。
ということで食後は、LPレコードに遊ぶ、大人時間。
お会いしたかった方に挟まれ、
目の前には音楽関係者もいらっしゃるエキサイティングなとき。
「More Than This」が胸にじ〜んと心に響いたわ。
薪火と炭火を巧みに操り、素材力を導き出す秋山シェフ。
串には、部位ごとの個性を引き出す技が潜み
国境をするりと超えた味わいの発想も楽しく、
京都の季節野菜の素材らしさにハッとなる皿も。
勉強熱心な秋山シェフのセンスと技が、
焼鳥の新たな世界を切り拓いてた。
秋山シェフ、ご一緒させていただいた皆様、ありがとうございました。
「wabiya」
京都市下京区高辻通東洞院東入三軒町554番地
075-708-5508
18:30~22:00(18:30一斉スタート)
日曜休