渡辺幸樹(こうき)さんが、
京都・綾部の奥地で営む中国式の農家楽(ノンジャーラー)
久しぶりの訪問だ。

農家楽(ノンジャーラー)とは、農村地帯で田舎の暮らしに触れ、
地元の料理を味わうことができる、中国の農家レストランのこと。
■中国茶とお菓子
ウイグルの干しぶどう、チベットのくるみ。
中国の昔ながらのクッキー・タオスー(桃酥)はナツメ入り。
のっけから、稀少な品々。珍しい地域の恵みを、しみじみいただく。
その後は幸樹さんに連れられ、
自然の恵み、命をいただく学びの時間。
2日後に稲刈りという日だった。
日本昔ばなしの世界が、廃れずここに存在。
■丹波黒豆 むかごの炒め
黒豆は香り高く、ふっくら。
むかごはホコホコ。ひしっと決まった塩味が、
素朴な甘味と香りを引き立てていた。
■ASOBI Pale Ale
京都・与謝野町産ホップを使った「ASOBI」。
ペールエールは、爽やかな香りとキレのある苦味が良いね良いね〜。
円卓を囲み、幸樹さんの調理、ガン見。
ちなみに「田舎の大鵬」は1日1組限定。
■スー・ロウ(猪)
サクサクという意味をもつ「スー・ロウ」
通常は豚を用いるそうだが、この地域のイノシシが主役。
雲南省の漬物と、もちごめからなるタレで味の変化を楽しんだ。
■鹿肉
4種の香辛料、山椒を使用。これは飲ませる最強のつまみ。
■命のスープ(勝手に命名)
梅干菜(メイガンツァイ)、モリーユ(茸)、6年ものの陳皮などが入る。
滋味深い、という言葉では語り尽くせないくらい深淵。
■鶏の内臓の湯引き
絞めたばかりの鶏(純国産種)は内臓も骨もすべてを使いきる。
内臓の湯引きは、熱した鶏油をジュッとかけて。
調味料は、ナマズや鯉から自家製の「川魚ナンプラー」や
愛媛・大洲「梶田醤油」(我が家の定番醤油の一つ)、
ニンニクなどを合わせている。
いただいた命の滋養により、
疲れ果てていたカラダに力がみなぎっていく。この感覚、久しぶり。
■ナマズの肉団子
魚の白湯と、ナマズの骨や皮からとっただし、
クロモジではなくアオモジの根などを用いたスープ。
肉団子は上品なクネルのよう。
深みのある味わいでいて、清々しい余韻。心が洗われた。
■天然すっぽん 小炒(シャオチャオ)
4kgの天然すっぽん。
幸樹さんいわく――
「目の前の川で獲れたすっぽんと、そこで摘んだ大葉です」。
無心のまま、頬張り、しゃぶりつく至福。
この上なく肉肉しく、体の芯から力がみなぎる。
野生のニラの根っこ・野韭根(ピェツァイガン)の漬物がいい仕事をしていた。
■白ごはん
この集落の米を、土鍋で炊いて。贅沢すぎるわ。
ここらで「ご飯のおかず」続々、登場。
■秋茄子の炒め
カリザク、ジューシー。しかもナスの素朴な風味ふうわりと。
黒酢と中国醤油と砂糖のたまらん組み合わせも、ご飯泥棒なのだが
驚いたのは「近所の農家さんが作る」という金ゴマ!!!
私にとってこの一皿は、偉大な酒のつまみ。
■鶏と干松茸のスープ
地の食材と
ブラックカルダモンの個性が響き合う、ワイルドな味!
■里芋 ネギオイルソース
ホコホコねっとり緻密。素朴ながら、なんだこの力強さ。
■宮保鶏丁(ゴンバオジーディン)
四川の名物・宮保鶏丁。
鶏肉と唐辛子、甘酢、ピーナッツを炒め合わせた四川の代表料理。
香ばしく焼き付けた鶏肉はブリンブリン食感と、ほわっと残る山椒の余韻。
甘辛くてあとを引く、食欲を誘う一皿だった。
■油呛(ヨウチャン) ニンニク唐辛子レモングラスのオイル煮
豚の血と猪の内臓を、生のレモングラスと唐辛子でぐつぐつ。
なんてワイルドな煮込み…!しかも、しみじみ美味な。
鼻に抜ける生レモングラスの香りに、ノコギリパクチーがスッと追い打ち。
口の中が熱気で満ちる。ビール、無限にいけるやつ。
奥の小皿は、ゴマの葉のしば漬け。これもお酒泥棒(ご飯泥棒)
中秋節にちなんだ甘味、続々。
大変美味しゅうございました。
ご一緒させていただいた「京、静華」の宮本静夫さんと、幸樹さん。
いい笑顔!
「食を通して、いのちを考える」。
最近、食とは何かを改めて感じる場面が多い。
鶏や豚を育て、畑を耕し、料理をする「田舎の大鵬」もまた、
その答えを静かに語りかけてくれる場所だ。
中国式の農家楽(ノンジャーラー)で円卓を囲み、
笑い声と食の話が絶えない、あたたかなひととき。
渡辺幸樹シェフ、スタッフの皆さん
宮本静夫さん、清水泰三さん、そして皆さまに、心から感謝を。
「田舎の大鵬」