大阪・豊中
「atebu」
取材でお世話になり、
プライベートで再訪という、休日の昼下がり。
「HENRIOT Brut Souverain」でシャン杯。
「atebu」は、料理だけでなく“人の縁”から生まれたレストランだ。
核となるのは、白竹俊貴シェフと、
ソムリエ・パティシエでもある池田晴紀さんとの関係。
二人は高校時代の同級生で、
かつてこの地にあったワイン酒場「ペルティカ」で共に働いた。
その後、別の道へ進み、約1年半、二人は海外で経験を重ねる日々。
そして、帰国の途中、バンコク再び合流することに。
わずか2カ月という準備期間を経て、
2024年8月、この場所にフレンチレストランとして「atebu」がリスタートした。
同級生ふたりの絆が生む、
小さくも確かな物語が、このレストランにはある。
■鰻 キャビア 豚 リエット チーズ 鱈
左奥から
・TOKYO X リエット
清々しい中に、優しい甘みと香ばしさ
・たらブランダード コロッケ仕立て
タラは塩味優しく、ナスタチウムの辛味がいい仕事をしてる
・グジエール 豆腐とポンレヴェック(チーズ)のソース仕立て
ウォッシュタイプのチーズのチーズはコク深く、
豆腐でまろやか。
そして左手前は
・ウナギ
ポートワインと醤油、紹興酒により、
その香ばしさと風味が、蒲焼を思わせる。
・アグーのジャンボン
クリアな味わい
・キャビアのタルトブリニー
シャンパーニュが止まらない
■カンパチ 黄柚子
カンパチは「脂のりが良すぎて一日干しました」と
"カルロス”こと、白竹俊貴シェフ。
栗の木と炭火で軽く燻している。
柚子薫るソース、
赤・緑大根、エシャロット、発酵・白アスパラなどをサラダ仕立てで
カンパチはねっとりとした旨みを放つ。しかも、
刻み野菜の香りと食感、みずみずしさ、その一体感に震える。
■フォアグラ カヌレ
フォアグラのテリーヌは、ねっとりと濃密。
塩と砂糖、ブランデーだけで仕上げた、シンプルだからこその凄み。
そこに、セミドライいちじくとピスタチオが
心地よいアクセントを添える。
そして相棒のカヌレ。
焼き切ったことで生まれるほろ苦さと、
ガリッとした食感のインパクト。
この組み合わせには、思わず惚れた。
■平鱸 蕪
平鱸の皮目は、潔いほどの香ばしさ。
身はしっとりとやわらかく、そのコントラストが印象的。
キレのある酸味とコクを併せ持つブールブランソースは、
ふわりとなめらかなテクスチャー。
こんがりと焼き色をまとった蕪の甘みと、
ほのかに香るハーブが、全体を美しくまとめている。
■自家製 全粒粉パン
オーバーナイト製法。
全粒粉の香ばしさがふわり。
噛むほどに、小麦の旨みがじんわり広がる。
■足赤海老 山葵
足赤海老はコンフィで、しっとりと。
主役はむしろスープ。
鯛とクエのアラをベースに、
ムール貝、あさり、はまぐりの旨みを重ねた、
ブール・ノワゼットのコクを感じる濃厚なポタージュ。
ポロネギのまろやかな甘みが、全体をやさしく包み込む。
菊芋の軽やかな食感がアクセントになっていた。
■鳩 人参
骨付きの鳩を3週間熟成。
胸肉のまわりに、
せせり・もも肉、さらに内臓で仕立てた鳩のパテ。
それをアンヴェルセ(逆折り)のパイで包み焼き上げている。
ナイフを入れると、繊細なパイの層。
中から、鳩の旨みがじわり。
火入れも見事。パイの繊細さも際立つ名作。
ソースは鳩ガラのジュがベース。濃くなく、深みを感じ。
濃密な金時人参は、マーガオの香りがいいアクセントになっていた。
お口直しに
「深蒸し煎茶 柚子」のグラニテをいただき
■ほうじ茶 シナモン 栗
菊の花をモチーフにした、柳原照弘さんデザインの皿には
ザクッとしたクッキーシュー。
中には、ほうじ茶とシナモンのアイス。
香ばしさとスパイスの余韻が心地いい。
自家製の栗の渋皮煮は、丹波篠山のもの。
さらにフランスのマロンクリームを重ね、栗のコクをぐっと深く。
ベリーのピュレが、全体をきゅっと引き締める。
クロモジのお茶
トンカ豆のフィナンシェ、黒トリュフのケイクと共に。
豊中駅前すぐにあるフランス。
一品ごとに技が冴え、
クラシックと自由な発想が気持ちよく交差するコース構成だった。
白竹シェフと、池田さんの阿吽の呼吸も心地よく、
安心して身を委ねる居心地の良さが
このレストランにはある。
atebu(アテブ)
豊中市本町1-2-45
070-8468-4450