大阪・江坂「旬彩天つちや」へ。
待ってましたの時間。
これから始まる、店主・土阪幸彦さんならではのクリエーションに心踊るとき。
先付は「熊本産ホワイトコーン 茶豆 塩のジュレ」
塩味(えんみ)は優しく、ホワイトコーンの清々しい風味がくっきり浮かび上がる。
あえて食感を残した茶豆の、咀嚼による味わいの広がりも、気持ちいいね。

まずは生ビール。
一気に飲み干したいところだが、仕事の合間なので程々に。笑
■向付
生カジキマグロは、NZからの空輸もの。
シャクッと歯触りよく、軽い漬けの旨みがじんわりと。
大分・豊後のモンゴイカはまったりねっとり。
いずれも絶妙な包丁入れが、素材らしさを際立たせている。
福井の辛味大根の、鮮烈な辛味、郷愁の味。
■八寸
「明石だこ」は深い旨みを撒き散らす。
「寄せ南瓜」の優しい甘みに癒され
織部の器には「淡路島 太もずく」。
揚げたての「小芋まんじゅう」は小宇宙。
だしの旨みと素朴な甘みを感じつつホロリとほどけた。
そのお隣「粟麩 照り煮」は色目とは裏腹、優しいコクを感じる。
「和歌山 カツオの変わり寿司」は、シャリソースとピンクペッパーとともに。
シャリソースの意図と技について、
土阪さんにレクチャーいただきながら、美味さに唸る幸せ。
「スモークサーモンと薄焼き卵の蓮根巻き」に至るまで、緻密な仕事が随所に潜む。
「Sancerre Domaine de Bellecours 2021」へ続く。
豊かな香りに、はぁ〜っと幸せのため息。
芳醇なオーラ、その長い余韻に浸る。
パーテーションもマスクもなくなり、フロアに漂うのは楽しげな空気。
さて、天ぷらの愉悦に浸るとしよう。
■天草 車海老
サクッフワッ。
甘やかな香りと、蒸されてしっとり感この上ない身質が堪らない。
■白甘鯛
鱗サクサク香ばしく、艶やかな身とエアリーさにくびったけ!
■トウモロコシ
打ち粉を使わず、トウモロコシを層に。
天ぷらを味わっていることを一瞬、忘れてしまうくらい
凝縮感のある甘みが迸る!
包丁の表面張力について、しかと勉強させていただいた。
■キス
身はふっくら繊細。
そして、香ばしい骨とのコントラストが楽しい。
■帆立 貝柱
香るインパクト。
咀嚼するたびに、上品な甘みが滲み出る。
■オクラ
写真では伝わらない、その大きさにびっくり!
聞けば、四方に包丁をとめどなく入れ、種を粉砕している
表面は香ばしく、蒸された中は、オクラそのもの旨みが餡のような状態に。
■香住蟹
旨みの凝縮感が半端ない。
■胡麻豆腐おかき揚げ
香住蟹から、胡麻豆腐のこの変わらない流れが、ホッと食べ手を落ち着かせる。
あえて油切りをあまりせずして、あんにじゅわっと。
唇やけどしそうになるくらいアッツアツを頬張る至福。
お口直しは鹿児島「キューティーキング」
緑色した果皮がめちゃ柔らかく、甘み濃厚。
さっきまで泳いでた
■琵琶湖の稚鮎
甘やかでピュアな苦味が押し寄せる。
鮎(揚・焼どちらも)を味わうと、条件反射でビールを頼んでしまう。笑
■淡路の鱧
程よく厚みのある身はぷるんぷるん。梅肉のやらこい按配が良き。
■信州アスパラガス
穂先はポキッと小気味良い食感。大地の香りが鼻腔をくすぐる。
根元は、穂先と比べ、温度高めの揚げ油で。
ピュアな甘みのジュが、たちまち溢れ出た。
■太刀魚
五島列島より。ファッファ、とろける舌触りに心奪われるわ。笑
一瞬、高麗人参??と自分の目を疑ったが、正しくは「浜防風の根っこ」!
生薬的な香りも感じるし、キャラメルのようなニュアンスも。
■シルクスイート
鍋底に、皮目を当て火を入れるらしい。
表面はザクッと力強く、時間をかけて蒸された身は濃密な甘みを蓄えていた。
汲み上げ湯葉、秋田のジュンサイ、オクラ、ワサビ酢という清々しさ。
もう一巡したい気持ちになりつつ、食事へと。
「島原そうめん」と「おいなりさん」
つるりと喉越しよく、酢橘の爽やかさが気持ちいい。
そして、おいなりさんでホッとクールダウン。最高の〆やん。
■パンナコッタ
岐阜のブルーベリーを用いたソース、宮崎のマンゴーとともに。
最後まで、手仕事が生きていた。
変わらない味と、挑戦と。その両軸が心に響く。
喩えるなら、ビッグネームのミュージシャンのライヴだって、
新譜があれば、やっぱ変わらない名曲を聴きたいよねーって。あの感覚。
西口さん、毎度な皆さん、いつも本当にありがとうございました♪
「旬彩天つちや」
吹田市豊津町41-4
06-6338-2288
open :12:00〜15:00(13:00LO)、18:00〜22:00(20:00LO)
close:日曜、月曜の昼